日本植物病理学会報
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41 巻, 4 号
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  • 白葉枯病菌株間のプロテアーゼ活性の差異
    藤井 溥, 植松 勉
    1975 年 41 巻 4 号 p. 337-344
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌の病原力の変異と関連づけて,N7301菌の非病原性変異株,および数系統の野生株についてプロテアーゼ活性を比較した。その方法として,カゼイン培地上におけるhalo-colony径比(H-C比)の測定,および菌の培養濾液から得られた粗酵素液についてCasein-Lowry呈色法(B)の両者をこころみた。
    いずれの方法によっても本菌は明らかにプロテアーゼ活性を示し,粗酵素液についての検討結果では,その活性は細菌の増殖につれて高まり,定常期以後は減少する。最適pH 9.3, pH 6∼9の間で安定なアルカリプロテアーゼのようである。
    病原力とプロテアーゼ活性の関係については,H-C比からみると供試した野生株間にかなり明らかな相関がみられ,強菌株は弱菌株に比べてH-C比が高く,またhaloが明瞭であった。しかしN7301の変異株間ではこの関係が明らかでなく,またCasein-Lowry呈色法では,いずれの菌株についても病原力との関連は明らかでなかった。
  • II. ウイルス粒子内RNA転写酵素の阻害
    中田 昌伸, 鈴木 直治
    1975 年 41 巻 4 号 p. 345-355
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    用を測定するためのin vitroの系を用い,数種色素および薬剤の両酵素活性に対する阻害程度を比較検討した。アクリジンオレンジ,エチジゥムブロマイド,メチレン青,アズールB,アズールA,アズールC,チオニンはP/D比10/2∼10/4で両酵素ともほぼ同程度に30∼70%阻害した。クロロキン,キナクリン,アクチノマノマイシンD,ルテオスカイリン,リファマイシンSVは大腸菌DNAの転写を阻害し,RDV-RNAの転写は全く∼ほとんど阻害しなかった。メチレン青などについては光化学反応を触媒することが知られているのでアズールBについて同じ,効果を検討した結果,20,000ルックス照明下ではP/D比10/0.06でRDV-RNA転写の50%阻害がおきた。反応液に含まれるXTPがP/D比(RNAの含むPと色素との分子比)の効果の解釈に混乱をおこすことをまぬがれるため,トリス-塩酸中にRDVと色素とを加えて照明し,のちに反応液に入れて酵素活性を測定したところ,P/D比10/0.015, 30分照明で50%阻害がみられた。RDV-RNAに色素を加えて照明するとグアニンだけが減少する。32PラベルRDV粒子に色素を加えて照明すると,フェノール法抽出によるRNAの収量が減り,その減少分はタンパク分画に結合される。以上によりアズールBはRDV-RNAの転写を,暗黒下においては塩基対間挿入により,照明下においては光化学反応を触媒することにより阻害し,後者の方がはるかに効果的である。罹病イネをアズールBで処理した場合,日中太陽光線下においては光化学反応による阻害が塩基対間挿入による阻害よりも優勢であると判断される。
  • 家城 洋之
    1975 年 41 巻 4 号 p. 356-363
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    紫紋羽病り病クワ根の微細構造を観察したところ,菌糸はクワ根の表面に侵入座を形成して,菌糸束がコルク化した表皮細胞縫合部から侵入していた。菌糸が皮層部に達すると四方に蔓延し,周囲の皮層細胞へと侵入していた。中心部に近い皮層部には多数の侵入菌糸がみられ,皮層細胞はいちはやく崩壊し原形をとどめていなかった。また,pitを通って導管中に侵入していく菌糸が観察された。皮層細胞壁ではセルロース層のmicrofibrilの配列が不規則となり,崩壊過程をたどり,核は顆粒状を呈し,原形質膜はいたるところで分離し切断されていた。細胞壁中層のペクチン質は分解され,細胞は分離して間隙を生じ,ていた。
    侵入座の菌糸細胞は不整形で,周辺部の細胞は中心部に比較して大きく,中心部の菌糸細胞間にはcementing materialと推察される物質が観察された。菌糸細胞にはグリコーゲン様顆粒がみられ,細胞内小器官に富んでいた。菌糸の隔膜には1個の隔膜孔が認められ,その部位に1枚の膜につつまれたWoronin bodyらしいものが観察された。
  • I. 感染葉における病原細菌の増殖と呼吸量の変化
    渡辺 実, 浅海 孝夫
    1975 年 41 巻 4 号 p. 364-372
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    導管細菌病としてのイネ白葉枯病の特異性を把握する目的で,単純な実験系を組み,感染葉における病原細菌の増殖と呼吸量の関係を検討した。
    1. 本病細菌の強病原力系統N5824 (AI群菌),弱病原力系統N5612 (BIII群菌),およびイネに非病原性のインゲン葉焼病菌の3菌株(いずれもストレプトマイシン耐性菌)を本病感受性品種金南風および抵抗性品種アサカゼの葉に針束接種し,罹病系,抵抗系および免疫系の6組み合わせについて経時的に細菌数と呼吸量を測定した。
    2. 罹病系では細菌が急速に増殖し,2葉片あたり106∼107個に達して発病するとともに,呼吸量は病徴出現期ごろから著しく増大して最高で健全葉の1.7倍まで高まった。この場合,細菌数の増加と呼吸増加率との間には+0.9以上の高い相関係数が認められた。
    3. 抵抗系では細菌の増殖が緩慢で,105∼106個に達したのち定常状態となり,潜伏感染のままで終った。呼吸量は感染初期には増加せず,後期に至ってわずかに健全葉の1.3倍まで高まったに過ぎなかった。さらに,免疫系(インゲン葉焼病菌接種葉)では25日後まで103∼104個め低濃度で細菌が生存したが,組織の呼吸増加は全く認められなかった。
    4. 接種点からの距離がへだたるに従い組織中の細菌数が漸減し,それに対応して組織の呼吸増加率も低下した。
    5. 以上の結果から,本病感染組織の呼吸量の変動は組織内で増殖した細菌数と密接に関連することが明らかとなった。
    6. さらに,本細菌がin vitroで好適な基質を消費して示した最大呼吸量から組織中での細菌自身の呼吸量を推定した結果,感染葉にみられた呼吸増加は主として宿主組織の呼吸増大を反映しているものと推察した。
    7. 今後,さらに高度抵抗性品種あるいは病原性最強の系統をも組み合わせた実験系について検討の予定である。
  • 桐山 清
    1975 年 41 巻 4 号 p. 373-377
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコ矮化病(TSD)の典型的病徴を示すタバコ病葉から,分画遠心法により,ウイルス学的方法による純化を行ない,その試料をadjuvantと混ぜてマウスに注射し,腹水抗体を作製した。この抗体は健全タバコに含まれる蛋白質の抗体を含むことが認められたが,これを健全抗原で吸収したマウス抗体はTSD抗原とだけ特異的に反応した。
    TSD秦野株で作製したマウス抗体は,岩手県紫波町のタバコ(バーレー21)に発生した矮化病株に対し,秦野株と同様の沈降線を生じマウス抗体によるTSDの血清学的診断が可能であった。
  • 鈴木 和夫
    1975 年 41 巻 4 号 p. 378-382
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    葉さび病菌を接種したポプラの葉に含まれる糖類の経時変化鈴木和夫葉さび病菌(Melampsora larici-populina Kleb.)を接種したポプラの葉に含まれる糖類の変化について経時的に調べた。
    感染にともなって,葉に含まれる糖類の全含有量は,増加の傾向を示す。また,罹病葉では,感染による著しい変化として,arabitolの出現が認められたが,本菌に多量のarabitolが存在する事実から,罹病組織中に蔓延している菌糸の影響によって生じたものと考えられる。
    感染にともなう変化で,最も興味ある関係は,sucroseと未知物質において認められた。すなわち,感染初期に,sucroseの減少と未知物質の増加とが,時を同じくして現われた。
  • 本田 雄一, 柚木 利文
    1975 年 41 巻 4 号 p. 383-389
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クローバ菌核病菌,Sclerotinia trifoliorum Erik.の子のう盤の成熟に有効な光の波長域を明らかにするため,殺菌土壌に埋没した本菌の菌核に対し,温室内で着色セロファン透過自然光の照射,および室内で着色螢光灯による連続照射および着色螢光灯を光源としたガラスフイルター透過光の連続照射を行った。その結果無色,青色,緑色および黄色のセロファン透過光は子のう盤の成熟に有効であったが,赤色セロファン透過光は有効でないことが明らかになった。一方,着色螢光灯による実験では,赤色螢光灯のみならず,緑色螢光灯および黄色螢光灯による照射も子のう盤の成熟に有効でなかった。指示波長より短い波長を完全に吸収除去する一連の色ガラスフイルターを用いた実験の結果,300∼390nmの近紫外光は子のう盤の成熟に有効であるが390nmより長波長側の可視光は有効でないことが明らかになった。
    これらの結果は,本菌の光に対する子のう胞子形成反応は,これまでの近紫外光感受性菌群と同一であること,および黄色と緑色のセロファン下における子のう盤の成熟はこれらのセロファンが有する近紫外部の透過帯を透過した光によることを示すものと考えられる。
  • CaMoV, CaLVおよびCaVMVについて
    栃原 比呂志, 出射 立, 矢吹 駿一, 福本 文良
    1975 年 41 巻 4 号 p. 390-399
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Carnation mottle virus (GaMoV), carnation latent virus (CaLV)およびcarnation vein mottle virus (CaVMV)について寄生性を調べ,ウイルスを純化して抗血清を作製した。フクロナデシコはCaVMVに対して特長ある病徴を生じ感受性も高く検定植物として利用できる。CaLVは抗血清によるスライド法で容易に検出できた。またC. amaranticolorはCaMoVに対して感受性が高く,4×10-3μg/mlの濃度で1葉に280個のえそ斑点を生じた。カーネーション28品種について3種ウイルスの感染状況を調査したところCaMoVは116株中66株,CaLVは93株中51株,CaVMVは105株中48株から分離された。コーラルからはCaMoVが容易に分離できる株は少なく,感染していても極めて低い濃度しか含まれていない株が多数存在した。コーラルにCaMoVを接種すると他種カーネーションに比べ,より長期間ウイルスの全身感染がみられないか,あるいは感染しても低いウイルス濃度を維持した。しかし圃場でみられるような極めて低いウイルス濃度を示す株を高率に得ることはできなかった。
  • 高木 康至
    1975 年 41 巻 4 号 p. 400-404
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 家城 洋之
    1975 年 41 巻 4 号 p. 405-407
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • Islam Din KHAN, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1975 年 41 巻 4 号 p. 408-411
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 但見 明俊
    1975 年 41 巻 4 号 p. 412-414
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Orchardgrass clonal lines were used to maintain not only stem rust of orchardgrass, but also stem rust of timothy or ryegrass. The differentiation of three formae speciales were successful with some of these clonal lines. These facts indicate that three rusts are closely related each other.
  • 三浦 春夫, 伊藤 弘, 高橋 昭二
    1975 年 41 巻 4 号 p. 415-417
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The diminishing effect of an antibiotic, Kasugamycin, on rice blast fungus has been a serious problem since 1971 in Shonai district, Yamagata Prefecture. Most isolates of the fungus from this district showed resistance to this antibiotic in plate and field tests. Such endemic occurrence could be related to the exclusive and frequent usage of this antibiotic for these several years in this district.
  • 冨山 宏平, 深谷 雅博
    1975 年 41 巻 4 号 p. 418-420
    発行日: 1975/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 41 巻 4 号 p. 422
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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