日本植物病理学会報
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49 巻, 1 号
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  • Wen-hsiung KO, Wang-ching HO
    1983 年 49 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctona solaniおよびPythium splendensに対する土壌の抑止作用を探索するために,キュウリの根の搾汁を添加した土壌試料表面におけるR. solaniの菌糸の生長およびP. splendensの胞子のうの発芽を観察した。ハワイ島の各地で採集した30コの土壌試料を用いて実験を行ったが,そのうち5コはR. solaniの菌糸の生育を50%抑制し,8コはP. splendensの胞子のうの発芽を50%抑制した。また3コは両菌に対して抑制的に作用した。土壌を97∼98Cの蒸気で10∼15分間処理すると,抑止作用は消失し,R. solaniの菌糸生育の抑制およびP. splendensの発芽抑制がみられなくなる。蒸気処理により,菌類,放線菌および細菌数はそれぞれ約0.04%, 1%および5%に減少する。土壌試料によっては,ポリプレンオキサイドでくん蒸あるいは高圧蒸気殺菌をすると抑制が増加する例があった。しかしこの様な効果は上記の蒸気処理によっては認められなかった。抑止土壌は圃場のなかに点在し,抑止作用の程度は場所によって異なる。
  • 前田 孚憲, 脇本 哲, 井上 成信
    1983 年 49 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本の各地で採集した11科20種29個体の植物から得られたCMVの29分離株の血清型をCMV-Y(CMV黄斑系統)の抗血清を用いて寒天ゲル内二重払散法により調べた。その結果,25分離株の沈降線はCMV-Yのそれと融合したが,ヒャクニチソウ,フキおよびツワブキからの合計4分離株による沈降線はCMV-Yのそれとの間でspurを形成した。ヒャクニチソウからの分離株にCMV-Z,フキからの分離株にそれぞれCMV-P1およびCMV-P2の系統名を与え,これらの血清学的諸性質をCMV-Yのそれと比較検討した。ホルマリン固定したCMV-YおよびCMV-Zをそれぞれ家兎に静脈注射して得られた抗血清(Y-F-IV, Z-F-IV)はそれぞれのウイルス粒子とよく反応したが,それらのD-proteinに対しては反応がみられなかった。抗血清Y-F-IVを用いた場合,CMV-Yの沈降線とCMV-Z, CMV-P1およびCMV-P2の沈降線との間でspurが形成されたが,抗血清Z-F-IVでは,これらの分離株の沈降線は完全に融合した。無固定のCMV-Yをアジュバントとともに筋肉注射して得られた抗血清Y-IMは供試した4分離株のウイルス粒子と反応するばかりではなく,これらの分離株のD-proteinとも反応した。また,D-proteinの沈降線は互に融合しspurは形成されなかった。塩化カルシウム処理により調製したCMV-YのD-proteinをアジュバントとともに筋肉注射して得られた抗血清Y-Dp-IMは上記の4分離株のD-proteinと反応し,CMV-YのD-proteinに対する沈降線とCMV-Z, CMV-P1およびCMV-P2のそれぞれのD-proteinに対するそれらとの間でspurが形成された。しかしながら,これらの分離株のウイルス粒子とは反応しなかった。
  • 百町 満朗, 山本 好伸, 宇井 格生
    1983 年 49 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. テンサイ根腐病の発病程度の高い本別と低い清川地域で,病原菌Rhizoctonia solaniの菌核の生存と病原力を比較した。
    2. 両地域内のテンサイ畑に存在するR. solaniはほとんどが菌糸融合群第2群第2型であった。
    3. 本別地域は,罹病テンサイ株周辺土壌中の菌核形成数は少ないが,清川地域は多かった。一方,翌春の菌核発芽率はこの逆であり,その結果,越冬した菌核数は両地域間で差がなかった。
    4. 菌核発芽率が高いときには,菌核から出現する菌糸本数は多く,低いときは少なく,両者の間には高い正の相関があった。
    5. 越冬生存菌核数の対数変換値と根腐病発病程度の間には,本別地域の土壌ではr=0.978 (p<0.01),清川地域ではr=0.708 (p<0.05)で,いずれも高い正の相関があった。
    6. 両地域の最小発病菌核数は,乾土100g当たり本別地域土壌で2.3個,清川地域土壌で33.7個であった。
    7. これらのことから,地域による発病程度の差は,感染源である菌核の翌春の生存率,およびその活性の違いによるものと考えられる。
  • 藤澤 一郎, 土崎 常男, 飯塚 典男
    1983 年 49 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    テンサイから分離されたビートモザイクウイルス(BMV)の純化法を検討し,純化標品を用いて抗血清を作製した。罹病フダンソウ葉を0.5Mホウ酸緩衝液(0.05M EDTAおよび0.1%チオグリコール酸を含む,pH 8.0)中で磨砕し,ガーゼでろ過後,これを1% Triton X-100により清澄化した。この汁液に最終濃度4%のPEG (MW 6,000)を加えてウイルスを低速遠心により沈殿させ,沈殿を0.05Mホウ酸緩衝液(0.002M EDTAを含むpH 8.0)でけん濁後不溶物を低速遠心で除いた。得られたウイルスを含む上清をショ糖密度勾配遠心チューブ中の30%ショ糖層(4%PEGを含む)にのせ遠心分離後,沈殿を上記緩衝液でけん濁し,さらにショ糖密度勾配遠心によりウイルスを純化した。純化ウイルスの収量は罹病葉100g当たり0.5∼0.7mgと推察された。
    純化ウイルスを用いて作製した抗血清の力価は1/512(重層法による)であった。本抗血清はSDSを含む寒天ゲル内で純化ウイルスおよび罹病葉粗汁液と明瞭な反応を示したが,カブモザイクウイルス,レタスモザイクウイルス,インゲン黄斑モザイクウイルスおよびジャガイモウイルスYに対しては反応がみられなかった。しかし重層法では,インゲン黄斑モザイクウイルスおよびジャガイモウイルスYに対して弱い反応が認められた。
  • 牧野 孝宏
    1983 年 49 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    チャ樹の新芽から氷核活性細菌の分離を試み,チャの芽圏に比較的優勢な集団を形成する黄色細菌に高い氷核活性が認められた。毛細管法による氷核形成温度は,最高値-2C,平均値,-2.7Cであった。本細菌は芽圏で初霜時期から晩霜期まで検出された。特に晩霜期に菌数が多く,生芽重1gあたり106個以上に達した。一方氷核活性は懸濁液の細菌数と正の高い相関関係があり,106個/mlまでは高い活性が維持された。このことから本細菌が芽圏の結露液中に懸濁された場合,高い氷核形成温度が得られるものと推定される。-8∼-12Cで作用する氷核には,特に細菌の存在は必要でなく,氷核物質の一部が水中に放出しているものと推定された。-3C前後の氷核活性は細菌懸濁液を40C前後で加熱すると急激に低下し,80C以上に加熱するとほぼ完全失活した。細菌染色剤,界面活性剤および殺菌剤の中には氷核活性低下作用を示すものがあり,特に次亜塩素塩カルシウムには強い低下作用が認められた。しかし過酸化水素水には全くその作用がなかった。
  • ポリオキシン処理したAlternaria kikuchiana Tanaka菌糸の微細構造的・細胞化学的観察
    河野 満, 石崎 寛, 林 〓宏, 山守 一男, 久能 均
    1983 年 49 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ポリオキシン処理区および無処理区(対照区)のAlternaria kikuchiana Tanaka菌糸をNaOH, H2SO4および溶解酵素で処理し,菌糸細胞壁の形態的変化を組織化学および電子顕微鏡で検討した。NaOH-H2SO4-NaOHの一連の処理によって,ポリオキシン処理菌糸は無処理菌糸との間に顕著な差があることが認められた。すなわちポリオキシン無処理菌糸の酸,アルカリ処理の結果,その細胞壁内層には多くの微小繊維が認められる。この微小繊維は酵素処理によりキチン,β-1, 3グルカンおよびタンパク質などから構成されていることが示唆された。これに対して,ポリオキシン処理区の菌糸細胞壁は酸,アルカリ,酵素処理によってほとんど変化をうけなかった。ポリオキシン無処理区では薄い外層のみが酸,アルカリ,酵素処理によって分解されなかったが,ポリオキシン処理区では隔壁および細胞内菌糸の細胞壁も含めて,細胞壁全体が酸,アルカリ,酵素処理によって分解されなかった。キトサン呈色反応の結果,ポリオキシン処理区および無処理区とも,菌糸細胞壁にはキチンが含まれるが,NaOH-H2SO4-NaOH処理後に,キチナーゼあるいは塩酸処理をするとキチンは溶解する。以上の結果は,i)ポリオキシン処理によって,菌糸細胞壁とくに内層の構成成分に差異が生じ,ii)ポリオキシン処理区では細胞壁内層に存在するメラニン様色素により,菌糸細胞壁が溶解酵素によって分解されない可能性を示唆している。
  • 土屋 健一, 脇本 哲
    1983 年 49 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    病原型および病原力の異なるイネ白葉枯病菌野生株,あるいはニトロソグアニジン処理によって誘発された突然変異株の細菌懸濁液をタバコ生葉に注入した場合の葉組織の反応を検討した。高濃度(107生菌数/ml以上)の病原性菌懸濁液を注入した部位は24時間後までに退色し始め,その後徐々に黄化し,3∼7日後に褐色え死斑となった。この反応は日本およびフィリピンのすべての病原型菌で誘起されたが,低濃度(約106生菌数/ml以下)ではえ死斑は形成されなかった。これらの反応は生菌によってのみ起こり,熱処理菌,超音波処理菌および細菌細胞画分のいずれによっても誘起されず,また,菌体外多糖を注入した場合にも反応は陰性であった。弱病原性変異株では野生株に比べてえ死反応の進展はやや遅れる傾向を示したのに対し,非病原性変異株を注入した葉組織は後期においてもえ死斑は形成されず黄化反応にとどまった。一方,病原性復帰変異株は葉組織に対するえ死作用を再び獲得していた。タバコ葉組織に注入された細菌数の消長は,病原性株ではえ死斑の形成に伴い急激な生菌数の減少が認められたのに対し,非病原性株の場合は生菌数の減少はゆるやかで,注入96時間後においても比較的高濃度の生菌数を維持していた。
  • 横沢 菱三, 国永 史朗
    1983 年 49 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    わが国の5つの地域から分離したAphanomyces euteiches 29菌株について,暗黒下と白色螢光灯照射下においた卵胞子の発芽率を比較した。7菌株は光処理により著しく発芽が促進された。このうち2菌株(AE-F10, AE-M3a)を用い卵胞子発芽におよぼす光の影響をさらに検討した。AE-F10卵胞子は10日間,28Cで2,000luxの光処理を行うと90%以上が発芽した。同じ条件で光処理を行わなかった時の発芽率は4%以下であった。また,同菌株卵胞子は50lux, 15日間の光処理で20%が発芽した。AE-M3aの卵胞子は光処理により発芽が促進されなかった。AE-F10の卵胞子に5Cで10日間,光処理を行った後,さらに28Cに移し10日間暗黒に保っと50%の発芽率が得られた。このことから,卵胞子からの発芽には一定の温度を要するが,光刺激は低温下でも有効であることが示された。AE-F10の40日間のCorn meal broth培養中に,種々の期間光処理した培養から卵胞子を分離し,暗黒下での発芽を調べた。培養開始から30日後までの間に光処理した培養からの卵胞子の発芽率は,40日間暗黒に保った培養からの卵胞子の発芽率と差が認められなかった。培養30日後から40日の間に光処理した培養からの卵胞子の発芽率はやや高かった。光処理は,成熟した卵胞子に対し発芽促進効果を持つことが示された。10∼150日暗黒下で加齢したAE-F10, AE-M3a卵胞子の暗黒下での発芽率は大きな変動がなく,常に低い発芽率を示した。
  • 鈴井 孝仁
    1983 年 49 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 田中 博
    1983 年 49 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 小川 紹文
    1983 年 49 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 大村 敏博, 斎藤 康夫, 宇杉 富雄, 日比野 啓行
    1983 年 49 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 89-97
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 97-115
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 115-124
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 49 巻 1 号 p. 124-134
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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