日本植物病理学会報
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48 巻, 5 号
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  • 第3報D. citriの感染に対するカンキツ果実および葉の反応過程
    有本 裕, 本間 保男, 見里 朝正
    1982 年 48 巻 5 号 p. 559-569
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    D. citriの侵入をうけたウンシュウミカン(Citrus unshiu)葉の表皮細胞は接種1日後には顆粒化し,2日後には褐変した。つづいてその周囲の細胞の顆粒化,褐変が起こり,接種7日後には3∼5層の細胞を半径として,最初に褐変した表皮細胞を中心に半球形状に褐変した。その後,褐変細胞群に隣接した細胞が分裂し,2細胞となった。細胞分裂はくり返され,10∼12層の細胞から成るカルスが形成された。さらに褐変細胞群とカルス組織との間に周皮が形成された。このため,病原菌の侵入をうけた部位は健全組織から遮断された。黒点病斑はこれらの組織から構成されたものの総称である。したがって,カンキツの自己防衛のために形成されるものと推察された。さらにスターメラノーズ(銅の薬害)および傷害跡も褐変細胞群,カルスおよび周皮から構成されており,両者はともに黒点病斑形成と同様の過程で形成されることが明らかにされた。以上のことから,カンキツは病原菌の侵入,薬剤の浸透,機械的傷害などに対して自己防衛反応を引き起こし,防衛組織を形成すると考えられる。
  • V. イチゴ萎黄病防除に対する適用
    小玉 孝司, 福井 俊男
    1982 年 48 巻 5 号 p. 570-577
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    夏期のハウス密閉,地表面ビニルまたはポリエチレンフィルム被覆および注水処理などの複合処理による土壌消毒法の実用化の実験を行い,次の結果を得た。
    1. イチゴ萎黄病菌(F. oxysporum f. sp. fragariae)汚染土壌に可溶性でんぷんを添加してたん水下におくと,土壌中のF. oxysporum菌は40C前後の温度域においても処理後8∼14日目には検出されない。
    2. 本病病原菌の有効死滅温度域は約40C以上とみられ,この温度域の恒温または変温処理による土壌消毒に必要な積算時間数は192∼336時間(8∼14日間)であった。
    3. 7∼8月のハウス密閉処理によって有効死滅温度域に達するのは,高日射年で処理開始3日目,低日射年で5日目であった。また,死滅に必要な積算時間数を得るためには,高日射年で12∼17日間を要し,低日射年では20日間以上を要した。
    4. ハウス内の地表下20cmにおいて40C以上の地温を得るための気象条件は,全天日射量,気温,地温などが強く影響し,単年よりも複数年,当日値よりも3日間などの移動平均値との相関が高い。最も相関が高く利用しやすいのは最高気温の3日移動平均であり,Y=2.37X-33.27, r=0.889**の関係式が得られた。この数値はハウス規模など保温性の差によって若干の補正を要すると考えられた。
    5. 圃場における本病病原菌の菌密度はハウス密閉処理により急激に低下し,処理9か月後においてわずかな増加の傾向を示した。2か年にわたるイチゴ圃場の調査から,処理区は全く発病を認めず,生育,収量ともに高まり,高度汚染条件下での実用効果が実証された。
  • 荒瀬 栄, 新田 浩通, 糸井 節美
    1982 年 48 巻 5 号 p. 578-584
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    シコクビエ(Eleusine coracana (L.) Gaertn.)葉をあらかじめ55Cの温湯で10秒ないし15秒の熱処理を行っておくと,イネいもち病菌やメヒシバいもち病菌はシコクビに対して病原性を発揮した。シコクビエ葉に誘導されたいもち病感受性は,胞子を形成した病斑の存在と褐変病斑の拡大によって確認された。これらの現象は10秒処理よりも15秒処理でいっそう明瞭になった。また熱処理による感受性の誘導現象(病斑の形成,病斑上での胞子形成)は処理後24∼48時間以内に消失した。
  • 稲葉 忠興, 守中 正
    1982 年 48 巻 5 号 p. 585-591
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    接種7日後の病斑片を,ろ紙1枚,殺菌蒸留水6mlを入れた9cmシャーレ中に浮かべ,15C暗黒(暗処理)または光照射(明処理)下に置き,蔵卵器および卵胞子形成と光との関係を検討した。蔵卵器および卵胞子形成量は明処理で著しく多く,暗処理で少なかった。処理7日後における蔵卵器と卵胞子の合計数の比率(明処理/暗処理)は,2.9∼4.0であった。暗処理では蔵卵器は処理3日後,卵胞子は処理5日後から形成され始めたが,明処理ではこれより早く,蔵卵器は処理2日後,卵胞子は処理3日後から形成された。明一暗処理日数を7日間の範囲内で変えたところ,明処理日数が長いと卵胞子形成量が増加した。1日の光照射時間を0, 8, 24時間とし,7日間処理すると,卵胞子形成量は光照射時間が長いほど多かった。光合成阻害剤のDCMU水溶液(0∼10-4モル濃度)に病斑片を浮かべ,7日間明処理または暗処理した。暗処理ではDCMU処理しても卵胞子形成量が全く変わらないことから,DCMUが直接卵胞子形成に影響を及ぼさないと考えられた。一方,明処理では10-6∼10-4モルで卵胞子形成が著しく抑えられた。これは,明処理では10-6∼10-4モルで宿主の光合成が抑えられ,その結果,卵胞子形成が抑制されたと推察された。以上の結果,ダイズべと病菌の卵胞子形成は宿主の光合成に依存していると考えられる。
  • 藤沢 一郎, 土崎 常男, 飯塚 典男
    1982 年 48 巻 5 号 p. 592-599
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 北海道各地よりホウレンソウのウイルス様症状株を採集し,病原ウイルスの分離・同定を試みた結果,わが国ですでに報告されているCMV, TuMV, BMV, BBWVと未報告のBYMV, TMV, BNYVVなど7種類のウイルスが分離された。本報告は,BYMV, TMVおよびBNYVVの諸性質について述べた。
    2. 芽室町のモザイク症状株から分離されたウイルスは8科28種の植物に感染した。本ウイルスは,モモアカアブラムシで非永続伝搬され,長さ約750nmのひも状粒子であった。不活化温度は55∼60C (10分),希釈限界は1,000∼5,000倍,保存期限は2∼4日(20C)であった。家兎を用いて作製した抗血清は本ウイルスおよびBYMV-Pと反応し,寒天ゲル内で形成された両ウイルスの反応帯との間に分枝線を形成した。またソラマメ,エンドウの上葉でえそモザイクを現わすことから本ウイルスをBYMV-Nと同定した。
    3. 札幌市の2か所から採集したモザイク株から分離されたウイルスは,寄主範囲が広く9科46種に感染した。本ウイルスは多くのアブラナ科植物に感染し,粒子は長さ約300nmの桿状で,不活化温度は90∼95C (10分),希釈限界は10,000∼50,000倍であった。家兎を用いて作製した抗血清は本ウイルスおよびTMV-Cと特異的に反応した。以上の諸結果から本ウイルスをTMVのアブラナ科系統と同定した。
    4. 北見市で採集したモザイク株から分離されたウイルスは,寄主範囲が狭く,10科34種の植物のうち3科12種に感染した。本ウイルスは3種類の長さの桿状粒子(80∼100, 250∼270, 350∼390nm)からなり,土壌伝搬した。不活化温度は65∼70C (10分),希釈限界は1,000∼5,000倍,保存期限は2∼4日(20C)であった本。ウイルスは,BNYVV抗血清と明瞭に反応することからBNYVVと同定した。
  • 百町 満朗, 宇井 格生
    1982 年 48 巻 5 号 p. 600-606
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. Rhizoctonia solani菌糸融合群第2群2型の菌核を接種した土壌に,3週間ごとにテンサイを繰り返し播種,栽培すると,2回目ですでに苗の発病は著しく減少し,その後ほとんど発病が認められなくなった。この減少は土壌中の腐生的活性の低下を伴わなかった。
    2. 同様の苗立枯病の衰退は,菌株,接種菌量,および土壌の種類を異にした場合にも認められた。
    3. 菌株と土壌の組合せによっては,播種3回目以降,土壌から初期生育の極めて遅い株が分離され,播種回数の増加に伴い,分離菌株の大半を占めた。
    4. 病土にテンサイを繰り返し栽培するたびに菌核を接種しても,立枯率は増加することなく,2回目に著しく低下し,3回目以降は発病はほとんど認められなかった。また,テンサイを栽培せず,菌核のみを繰り返し接種した土壌に播種したテンサイは,ほとんど発病しなかった。
    5. 死菌核の接種,あるいはサンサイ栽培を繰り返した土壌に菌核を接種したとき,テンサイ苗は著しく発病した。すなわち,病土に繰り返しテンサイを栽培したとき,土壌に見られる発病抑制作用は,寄主の存在,あるいはその発病とは関係なく,生きた菌体の存在するとき発現した。
    6. 発病の衰退と土壌中の全微生物数との関連は明らかでなかった。
  • 加藤 肇, 山口 富夫
    1982 年 48 巻 5 号 p. 607-612
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    シコクビエいもち病菌の2つの交配型Aおよびaに属する,それぞれ2株の標準菌株とイネいもち病菌をオートミール培地上で対ぢ培養により交配し,後者の交配型を決定した。イネ菌は世界20か国,すなわち,アフリカのセネガル,ギニア,マリ,コートジボアール,オートボルタ,カメルーン,エジプト,ウガンダ,マダガスカル,西ヨーロッパのイタリア,アジアのインド,タイ,マレーシア,インドネシア,フィリピン,中国,日本,南アメリカのコロンビア,スリナム,ブラジルから集めた718菌株である。172株はA型,18株はa型で,残り528株は子のう殻を形成せず,交配型不詳であった。Aおよびa型に属するイネ菌を相互に交配した結果,一部の組合せで子のう殻,子のう,子のう胞子が形成された。これらの形態,大きさはMagnaporthe grisea (Hebert) Barrに類似した。
  • 山本 孝〓, 石井 正義, 勝部 利弘
    1982 年 48 巻 5 号 p. 613-619
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    西日本各地から集めたWMV 20分離株について,分離株8 (E)から作製した抗血清を用い,寒天ゲル内二重拡散法および免疫電顕法によって分離株を血清学的性質の異なった2つの系統に分けた。拡血清と反応した系統には,ソラマメ,エンドウに対して全身感染する分離株群と,しない分離株群が認められた。抗血清と反応しなかった系統はソラマメ,エンドウに全身感染した。
    香川県西部のウリ類の栽培地帯から時期別にWMV罹病葉を採集し,免疫電顕法でWMV粒子の反応を調べた結果,抗血清と反応するWMV,反応しないWMVの2系統が発生していることが判明した。抗血清と反応したWMVはエンドウ,ソラマメに全身感染せず逆に反応が認められなかったWMVは前述のマメ類に全身感染した。
  • 脇本 哲, 歌津 幾代, 松尾 憲総, 林 長生
    1982 年 48 巻 5 号 p. 620-627
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    洗浄したPseudomonas solanacearumの野生株,およびそれらから得られた非病原性または弱病原性の変異株を,濃度102-3 cells/mlになるように純水に懸濁して22Cに置くと,菌株のコロニー型や病原力の差に関係なく,すべての菌株が4日以内に約106 cells/mlにまで増殖した。この増殖の機作について病原性株であるKu7501-1とKT-2,および非病原性変異株Ku7501-1-Avを使用して詳しく検討した。その結果,初期菌濃度が低濃度(104 cells/ml以下),中程度(104-6 cells/ml)になるように懸濁すると,いずれの菌株も106-7 cells/mlにまで増殖し,その後,長期間その濃度を保った。しかし,最初の菌濃度が107 cells/ml以上の場合は増殖も減少も起きなかった。純水中における増殖は菌株Ku7501-1を使用した連続継代培養実験によっても確認した。即ち,純水中で増殖した細菌懸濁液を毎回1,000倍に希釈しながら,3日おきに5回継代培養したところ,菌は毎回106-7 cells/mlの濃度にまで増殖した。継代培養の前後における菌を電顕で観察した結果,それらの大きさに差がみられなかった。
  • 百町 満朗, 宇井 格生
    1982 年 48 巻 5 号 p. 628-633
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. テンサイ根腐病菌のほ場における越冬,および越冬した植物残渣ど菌核の感染源としての役割について検討した。
    2. 越冬後の発病株周辺土壌中の菌核数,そのうちの生存菌核数,および残渣中での本菌生存率は,発病指数が高くなるにつれ増加した。すなわち,本菌は前年激発した株の周辺土壌中で主に越冬する。
    3. 越冬した植物残渣中における本菌の生存率は,0∼4.2%と低く,また残渣から培地に出現する菌糸本数は極めて少なかった。残渣中の本菌の病原力は弱く,感染源としての役割は著しく低い。
    4. 植物残渣に比較し,菌核の生存は14.5∼92.9%と高く,また菌核から出現する菌糸本数も多かった。越冬菌核数とテンサイ苗の立枯率の間には高い正の相関(r=0.800, p<0.01)が認められることから,越冬した菌核が感染源として重要であると考えられる。
  • 大島 信行, 橘 泰宣, 西口 正通
    1982 年 48 巻 5 号 p. 634-641
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    条斑病に感染したトマトの未熟果から分離したウイルスLFD-Stと,これから発生した3つの変異ウイルス株について比較研究した。
    LFD-Stはトマトに接種すると条斑病を,サムスンタバコの接種葉にはえそ斑点を生じた。この局部病斑は温度,葉令により退緑斑点,黄色斑点などに変化した。また,このほかのタバコ品種,多くのNicotiana属植物,ペチュニヤ,Ch. amaranticolorなどに局部病斑を生じた。インゲンは感染しなかった。
    LFD-Stのトマト感染はTMVの弱毒トマト系統(L11A)の接種により干渉された。
    LFD-Stおよびその局部病斑を用いて分離したウイルス株を接種したタバコから,LFD-1, LFD-2,およびLFD-3の3つの変異ウイルス株が分離され,これらはいずれもブライト・エロータバコに局部病斑を生じた。その後,LFD-2は全身的なえそ斑点や退緑斑を生じ,LFD-3は全身的なザイク斑紋を生じた。また,LFD-3はインゲンに局部病斑を生じ,TMV抵抗性トマトに接種試験を行った結果からTMVの一系統,Ohio Vに類似していた。
    LFD-Stは局部病斑の出ているサムスンタバコ葉汁液中で希釈限界は10-5∼10-6,トマト病葉では5,000倍希釈で感染力を失い,90C, 10分処理でほぼ不活化した。LFD-1, LFD-2およびLFD-3の希釈限界は10-8∼10-9であった。いずれのウイルス粒子も長さ300nmの棒状粒子で同時に観察したTMVのOM系統のウイルス粒子と同形であった。
    実験の結果からLFD-St, LFD-1, LFD-2およびLFD-3はいずれもTMVの系統であり,LFD-Stはトマトの条斑病を起こす系統であるが,不安定で変異株を発生しやすい性質をもちLFD-1, LFD-2およびLFD-3などを発生するものと推定された。
  • 上運天 博, 脇本 哲
    1982 年 48 巻 5 号 p. 642-647
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    繊維状ファージXfの感染がX. campestris pv. oryzae N5850株の増殖,微細構造および病原力に及ぼす影響について検討した。Xfに感染した菌は非感染菌に比べて30Cにおける初期増殖がかなり抑制された。しかし,Xf感染菌は感染後36時間目から急に増殖し,72時間後には非感染菌の菌濃度と同程度にまで達した。感染菌は35Cでもある程度増殖することができたが,非感染菌はほとんど増殖できなかった。30, 33.8および35Cで増殖させたXf感染菌と非感染菌の超薄切片を作成し,電顕観察を行った結果,Xf感染菌では非感染菌とは異なり,菌体表面に多数の小胞が認められ,またリボゾームや核内繊維状物質の不均一な分布が観察された。さらにX. campestris pv. oryzae N5850株はXf感染により菌体外多糖類の産生量が多くなり病原力も強まった。
  • Chitta Ranjan MOHANTY, Srijib GANGOPADHYAY
    1982 年 48 巻 5 号 p. 648-658
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Zenith, Tetep, Tadukan, Ranta, Karuna, Co. 13およびこれら品種のF2のいもち病抵抗性を検定した。カーリフ雨期),ラビ(乾期)の両期,多窒素区とその約半量の少窒素区を設け材料苗を育成した。C1分離菌株およびそれよりやや病原力の劣るC3分離菌株を用い,噴霧接種を行った。Zenith, Tetep, Tadukanは両菌株に抵抗性であり,他の3品種は罹病性である。Zenithの抵抗性は2遺伝子に,Tetepのそれは1遺伝子に支配される。Tadukanでは,C1に対して2遺伝子,C3には3遺伝子が作用する。抵抗性品種間交配のF2には,栽培期,窒素施与量にかかわりなくC1罹病性個体が認められた。罹病性品種間交配のF2には,抵抗性個体があらわれなかった。窒素施与量,栽培期はイネの遺伝構造に影響を与えない。しかし多窒素区において,F2の罹病性個体が増加した。例えば抵抗性個体数:罹病性個体数の比が13:3が9:7に,57:7が54:10に変わる。
  • I.菌糸融合群第1群内における遺伝的類縁性
    国永 史朗, 横沢 菱三
    1982 年 48 巻 5 号 p. 659-667
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniの菌糸融合群第1群(AG-1)には,病徴および培養型を異にするsasakii type(イネ紋枯病系,IA)と,web-blight type(くもの巣病系,IB)の2系統が含まれる。これら系統間における遺伝的類縁性を検討するため,DNA-DNA再会合反応速度解析に基づきDNA塩基配列の相同性を比較した。DNAの相同性はsasakii typeおよびweb-blight typeの各系統内菌株相互では著しく高く,それぞれ98.0%∼100.3%, 95.7%∼99.4%であった。またsasakii typeとweb-blight type間でのDNAの相同性は,49.9%∼55.9%であった。DNAの相同性比較結果から,AG-1内のsasakii typeあるいはweb-blight typeの各系統はそれぞれ遺伝的に均質なグループであり,またsasakii typeとweb-blight typeは,遺伝的類縁性の低い系統であると考えられた。
  • II.菌糸融合群第2群内における遺伝的類縁性
    国永 史朗, 横沢 菱三
    1982 年 48 巻 5 号 p. 668-673
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniの菌糸融合群第2群(AG-2)は,菌糸融合頻度によりAG-2-1 [winter crops type(アブラナ科低温系,II)]とAG-2-2 [rush type(イ紋枯病系,IIIB), root tot type(サトウダイコン根腐病系,IV)]に類別される。AG-2内における遺伝的類縁性を検討するため,DNA-DNA再会合反応速度解析に基づきDNA塩基配列の相同性を比較した。DNAの相同性は,winter crops type, rush typeおよびroot rot typeの各系統内では著しく高く,それぞれ100.3%, 98.1%, 100.1%であった。rush typeとroot rot type間では,DNAの相同性は68.6%∼71.5%と比較的高い値を示した。またwinter crops typeとrush typeおよびroot rot type間のDNAの相同性は,それぞれ37.6%∼40.1%, 43.5%∼49.4%であった。DNAの相同性比較結果から,AG-2内のwinter crops type, rush typeおよびroot rot typeの各系統はそれぞれ遺伝的に均質なグループであると考えられた。AG-2-2内のrush typeとroot rot typeは互いに遺伝的類縁性の高い系統であるが,AG-2-1とAG-2-2は互いに遺伝的類縁性の低い菌群であると考えられた。
  • 一谷 多喜郎, 後藤 久和
    1982 年 48 巻 5 号 p. 674-676
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • Coniothyrium fuckeliiによるシラカシのすす点葉枯病
    金子 繁
    1982 年 48 巻 5 号 p. 677-680
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 村田 伸夫
    1982 年 48 巻 5 号 p. 681-684
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 井理 正彦, 志村 富男, 戸川 英夫, 上野 雄靖
    1982 年 48 巻 5 号 p. 685-687
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In order to eliminate the grapevine leaf roll virus (GLRV) from grape cultivar, Zenkoji (socalled Ryugan), some experiments on the heat treatment and meristem tip culture were conducted and new plants were successfully obtained. These plants were indexed for GLRV by the observation of symptoms appeared on them and also indicator cultivar, Pinot noir, plants green-grafted with candidate plants. The results indicated that the elimination ratio in meristem tip culture (80.4%) was higher than that in heat treatment (27.3%).
  • 萩原 廣, 竹内 昭士郎
    1982 年 48 巻 5 号 p. 688-690
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Radish residue infested with radish-yellows fusarium was piled up for 20 days to examine for inactivating effect on the pathogen. No Fusarium oxysporum was detected in the tissue samples collected from the lower parts of the pile without plastic-film cover, from the parts where temperature rose up more than 50C, and from almost all parts of the pile covered with plastic-film even though temperature ranged from 15 to 35C. These results suggest that F. oxysporum is well inactivated under the conditions of anaerobic fermentation.
  • 清水 時哉, 一谷 多喜郎
    1982 年 48 巻 5 号 p. 691-694
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 楠 幹生, 一谷 多喜郎
    1982 年 48 巻 5 号 p. 695-698
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 小玉 孝司, 福井 俊男
    1982 年 48 巻 5 号 p. 699-701
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Solar heating of out-door field soil with plastic-film mulching produced significant raise of soil temperature. Maximum temperature in the mulched soil were 45.2-47.0C and 37.9-39.9C at the depth of 5 and 20cm, respectively. Fusarium oxysporum was not detected at all from the mulched soil at the depth of 5cm, and approximately 60% decrease of F. oxysporum population was noted from that at the depth of 10 to 15cm. Disease incidence in the mulched field was significantly reduced, especially in lightly infested soil and in more insolated summer. Effect of combined treatment of plastic-film mulching with application of calcium cyanamide on the disease incidence was almost similar to that of mulching only.
  • 志田 俊郎, 古木 市重郎, 有本 裕, 本間 保男, 椿 啓介, 見里 朝正
    1982 年 48 巻 5 号 p. 702-704
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Since 1973, a new disease of maskmelon caused by Rhizopus sp. occured in Shizuoka prefecture. The fungus of Rhizopus disease attacks on fruits of maskmelon were arrived at a market. Rhizopus sp. isolates obtained with high frequency from affected fruits. The symptoms appeared on the peduncle of muskmelon fruits at the begining of the disease development. The symptom on peduncle are covered with black mycelia. Soon after, the disease fruits softened and rotted circularly at the peduncle. The fungus was similar to Rhizopus stolonifer because of the agreements in their morphological and pathogenical properties to the description by Inui and Zycha. From these results, the causal fungus was identified as Rhizopus stolonifer (Eherenberg Ex Fr.) Lind (syn. Rhizopus nigricans Ehr.).
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