日本植物病理学会報
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13 巻, 1-2 号
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  • 赤井 重恭
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 1-3
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    菌類に基く植物葉上の病斑では. 細胞の壞死, 萎縮等の退行性病變の他, 周縁部に進行性反應を認める場合もある。炎症とは斯かる退行性竝に進行性反應を共に稱するが, 夫等の細胞は次第に類壞死して, 空胞状或は顆粒状變性等を起すものである。壞死(局所死)とは細胞の生活現象を停止して靜止の状態に至る場合を云ふが, 1細胞が徐々に死滅する場合に夫を類壞死と稱してゐる。植物莖葉上に病斑を形成する菌類の多くは殺生菌に屬し, 自から殺した寄主細胞より自己の榮養をとるが, 菌絲は細胞内に侵入するものと, 全然侵入せず細胞間隙にりみ存するものとがある。
  • 横木 國臣, 森山 幸夫, 足立 操
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 4-9
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    根箱を使用し胡麻葉枯病發生地の土壤と無發生地の土壤を填充し苗時代は水稻2品種, 本田時代は5品種を供試して實驗した結果次の事項を知ることが出來た。
    (1) 發生地の土壤に生育せる稻は苗代, 本田共無發生地の土壤に比し胡麻葉枯病の發生は明かに多い。且, 其の較差は罹病性品種に於て大で特に苗時代に於て著しい。
    (2) 發生地の土壤に生育せる水稻は無發生地土壤に比して苗代, 本田共に根長短かきも, 根數は却つて稍々多く, 風乾重も多い。
    (3) 發生地の土壤に生育せる水稻は無發生地土壤に比して苗代, 本田共に根の分布が地表近くに多く深度を増す程根數を減少する。
    (4) 枝根の發生は特異の點が見當らない。
    (5) 發生地土壤の水稻は苗代, 本田共に草丈の割合に根は短いが1莖當りの根數は概ね多い。
    (6) 胡麻葉枯病の發生と特に關係あると思はれるのは根長, 根の地中に於ける分布等である。
    (7) 抵抗性強き品種は概して深根性で, 發生地の土壤に栽培するも罹病性品種に比して變化が少い。
  • 松尾 卓見
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 10-13
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The present paper deals with the results of the writer's investigations on the relation of potass um in the soil to the severity of “Helminthosporiose” of rice plant. The susceptibility of seedlings as well as the adult leaves of the host plant was tested by artificial inoculations of the causal fungus. The seedlings were planted in the water culture using Kasugai's solution, in which the potassium amounts were changed as 0mg, 10mg and 40mg per litre. The inoculation experiments to the adult leaves were also carried out, using a water culture technique as well as the potexperiments. The results showed that with solutions or soil in which the nitrogen and phosphorus levels were held constant, the disease-severity decreased as the potassium level was increased. The effect of periods of potassium-deficiency on the susceptibility was also tested. The results showed that the more deficient or thelongeri in deficient conditions of potassium thesoil or the solution is, on which the plants grow, the more susceptible they become. However, the effect of deficiency seems to become inconspicuous after the end of growing stages.
    Considering the results of inoculation experiments, the writer came to the conclusion that the pathogenecity of conidia produced on the diseased rice plants, grown in the solution lacking or containinga small amount of potassium fertilizer, seems to be stronger than those produced in the condition of high level of potassium. In this experiment, the diseased adult leaves and seeds of different samples were cut off at the same time and washed by a brush and kept in a wet chamber at 28°C. Gathering the newly formed conidia, the writer made suspentions having a similar concentration and sprayed them on the seedlings grown in the same conditions. The pathogenecity of these conidia was justified by comparing the number of diseased spots per unit area of leaves.
  • 吉井 甫
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 14-18
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1 稻熱病菌をその寄主に非ざる蕃茄に接種する時は, 接種せられたる蕃茄の葉の表皮細胞は菌の攻撃に對して抵抗するが如く動作し, 健全葉にありては表皮細胞膜壁の肥厚木化により殆んど完全にその侵入を阻止する。又, 菌の侵入絲によつて表皮細胞の上側壁膜が貫通せられた場合には, 侵入せる菌絲とその細胞の原形質との間に抗爭が行ほれるらしい。その結果は菌絲の枯死及び原形質の部分死となる場合と, その冒された細胞の黒色壞死となる場合とがある。後の場合に於ても, 侵入せる菌の侵害はその被侵入表皮細胞のみに止るのであつて, 被害部は四圍に擴大しない。これらの場合は麥類各種銹病菌の侵害に對する強抵抗性麥類の細胞の態度に髣髴たるものがある。
    (2) 然るに生葉を傷つけこれに本菌をその培養寒天片と共に接種する時は, 培養菌叢の有する毒物の作用の爲に組織が中毒を來して壞死に陷り, 菌は容易にその傷口より侵入し, この中毒した壞死部中に蔓延する。即ち稻熱病菌による蕃茄葉の被害は, 生理障害を蒙つた部位のみに甚しく起り, 正常葉に於ては殆んど完全にその被害より逃れ得ることを知る。このことは蕃茄の葉をエーテルによつて麻醉せしめると菌の侵害が大となることからも證明せられた。
    (3) 煮沸した葉或は固定劑にて處理した葉に對しては, 本菌は表皮貫通侵入をなす以外に氣孔からも容易に侵入して甚しく蔓延する。氣孔から侵入することはその部分が廣く開孔したままであることに大なる意義があると思はれる。
    (4) 而して, これらの處理を施した組織内によく蔓延することから見て, 本菌の侵害に對する蕃茄の抵抗性は靜化學的抵抗性によるものではないらしいことがわかる。
    (5) 以上の實驗により, 稻熱病菌の侵害に際して示される蕃茄の抵抗性は生活せる細胞の有する抗菌力にあるといふことが出來やう。而してこの抗菌力なるものは活力旺盛なる細胞に於ては大なるが如く, 幼組織なる胚・胚乳の細胞はこれに缺けるところが多い樣である。
    (6) この抗菌力は細胞膜の肥厚木化となつて現はれる場合と, 侵入菌絲殺滅の方向に向つて行く場合とがあり, 後者は又, 菌絲は死しても細胞の死の現はれない場合と, 細胞が先づ黒色壞死に陷り, 而してその爲に菌の生長の阻害停止せられる場合とがある。
    (7) 本實驗は單に稻熱病菌對蕃茄の抗爭の一場面を明かにしたのに過ぎないのであるが, 或病原菌が非寄主乃至強抵性寄主たる雙子葉植物を攻撃する多くの場合に廣くこの結果を擴大することが出來 又單子葉植物の場合に於てもその一部を除いては, この結果を敷衍し得るものと思ふ。
  • 高橋 喜夫
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 19-20
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 種々異つた外圍條件で栽培され, いもち病に對して抵抗性に差異を生じた稻に單胞子を起源とするいもち菌を接種し, 各條件下の稻の病斑から得た胞子の病原性を比較した。
    2. 窒素, 加里の施與量及び露風によつて抵抗性に差異を生じた寄主を通過したいもち菌の病原性の強さは, 寄主の抵抗性の強さと逆比例してゐたが, 乾燥及び珪酸施與によつて抵抗性の強くなつた寄主を通過したものは, 病原性が標準區よりも寧ろ強かつた。
    3. 以上の結果から, いもち病に對する抵抗性の機構として知られてゐる, 寄主の生理的機構と, 形態的機構とは, 各々他と無關係に全く單獨に存在し得ると推論した。
  • I. 病原菌の形態的性質
    瀧元 清透
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 21-26
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    著者は腐敗病に侵されたる蔬菜類, 特用作物及花卉等の被害作物より46株の細菌を分離しその形態的性質を實驗比較し, 相互間の相異を調査せり。人工培養基上に於ける腐敗病菌の大さは分離後に於ける培養の繼續年月, 培養基の種類, 培養の新舊, 聚落の疎密又は大小及培養中の温度の高低等により異なり, 培養を繼續する時は稍長徑を増し, 培養の古くなるに從ひ球状となるもの多し。又聚落密にして小形なるものは菌體小にして球形に近く, 温度の高くなるに從ひ細菌體は長徑の著しく伸長するものと反對に短くなるものとありたり。腐敗病菌は馬鈴薯寒天に於ては細菌體が著しく大形となる異常形體を生ずること多く, 又同培養基殊に密生したる聚落に於ては細菌體内に顆粒體を認むることあり。
    供試46株の細菌中ハナゲシ腐敗病菌は極毛細菌にして, 他の46株のものは何れも周毛なり。
    之等周毛腐敗病菌を同一なる好適條件の下に於て培養するときは, 各菌株とも形態的には著しき差異を認めず。
  • 岩田 吉人
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 27-30
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    (1) 胡瓜露菌病菌の新鮮な分生胞子を載物硝子の中央に塗抹し, 之を夫々空氣關係濕度45%, 66%, 75%, 84%, 92%, 100%に調節した乾燥器内に收め, 20℃前後の室内に置き24時間後發芽を檢し空氣濕度と發芽との關係を檢した。又各空氣關係濕度に夫々6, 16, 24, 48, 72時間, 20℃前後の室内に放置した後分生胞子上に蒸溜水滴を加へ發芽を檢し分生胞子の生存力に及ぼす空氣濕度の影響を檢した。
    (2) 分生胞子の發芽には水滴の存在を必要とし空氣關係濕度100%の下に於ても分生胞子に凝結水の附着した場合を除いては全く發芽を認めなかつた。
    (3) 分生胞子は上記各空氣關係濕度の下にて72時間後には生存力を失つたが48時間後では關係濕度66%, 75%に於ても僅少乍ら生力存を有し發芽した。
  • 西門 義一, 中山 隆夫
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 31-34
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 本研究は稻馬鹿苗病菌に依る徒長現象と土壤温度との關係を調べたものである。實驗は稻, 玉蜀黍, 及び小麥に稻馬鹿苗病菌を接種して, 異つた土壤温度で生育させて生長の量を測つたのである。
    2. 各植物に於ては, それぞれの土壤の適温は多少異つてゐたが, 何れの場合でも植物の生育に最も適した土壤温度で馬鹿苗病の徒長現象が最も大きく現はれた。
    3. 稻は25-34°Cまでの間何れの温度でも良く生長したが, 徒長は31°Cで最も大きかつた。玉蜀黍では28-34°Cが植物の生長には適温であつたが, 徒長現象は31°Cで最も大きく現はれた。又小麥は25-28°Cが適温であつたが徒長には28°Cが最もよかつた。之を要するに稻馬鹿苗病菌に依る植物の徒長現象はその植物に最も適した土壤温度で最も強く現はれる樣である。
  • 田中 一郎
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 35-37
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 本實驗は過酸化水素の水性菌類, 主として稻苗腐敗病及魚卵病害の病原をなす種類の游走子に對する影響を調査したものである。
    2) 實驗方法は游走子の活動しつつある水中に過酸化水素を添加してその後の游走子の寄生力に對する影響を觀ることとし, 玄米に培養繁殖せしめた菌が盛に游走子を形成しつつあるものを以て游走子浮游水をつくり, これに過酸化水素を容量パーセントにて0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5, 0.75, 1%の割合に添加し, 次で玄米を播種して, その後7日乃至10日目に玄米に對する菌の寄生率を調査した。供試した水生菌は苗代及水田土壤より分離した Achlya flagellata COKER, A. megasperma HUMPHREY, A. Oryzae ITO et NAGAI, A. racemosa HILDEBR., Aphanomyces stellatus DEBARY, Isoachlya parasitica (COKER) NAGAI 及ヤマメ及川鱒の魚卵より分離した Achlya 1種である。
    3) 供試した水生菌各種の游走子は過酸化水素により著しく影響を受け, 0.1%に於て既に寄生率が半減或はそれ以下の場合があり, 0.2%に於ては更に激減して35例中僅かに3例に於て4乃至12%を示した外は0%であり, 0.3%以上の濃度に於ては1の例外もなく全く活動力を失つて終ひ寄生率は0%であつた。
    4) 斯の如き過酸化水素の水生菌游走子に對する影響は疑もなくその殺游作用に基因するものと考へられ, 本實驗結果は過酸化水素の水生菌による稻苗腐敗病及魚卵及稚魚の病害豫防の可能性を暗示してゐる。
  • 遠藤 茂, 吉川 邦正, 兒玉 栢
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 38-39
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 横尾 多美男
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 40-43
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 逸見 武雄, 石橋 富美, 林 文惠
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 44-46
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 村山 大記
    1949 年 13 巻 1-2 号 p. 47-52
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1949 年 13 巻 1-2 号 p. 53-68
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1949 年 13 巻 1-2 号 p. 68-71
    発行日: 1949/01/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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