日本植物病理学会報
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77 巻 , 1 号
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原著
  • 鈴木 啓史, 黒田 克利, 貴田 健一, 松澤 章彦, 高垣 真喜一
    2011 年 77 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/24
    ジャーナル フリー
    2002~2006年の5年間に,三重県内のトマト・ナス生産ハウスより977菌株の灰色かび病菌を分離し,アニリノピリミジン系殺菌剤であるメパニピリムに対する感受性を検討した.FGAペーパーディスク法では,974菌株のMIC値が3 ppm以下であったが,2005年に1ヶ所から分離した3菌株(M0517,M0518,M0520菌株)のMIC値は3 ppmより高かった.これらの菌株について接種試験を行ったところ,100 ppmでも防除効果の低下が認められ,その程度がヨーロッパで分離された耐性菌と同様であったことから,メパニピリム耐性菌であることが確認された.アニリノピリミジン系薬剤耐性菌は,ヨーロッパの灰色かび病菌で報告されているが,日本では初報告となる.メパニピリム耐性菌を接種した防除効果試験において,メパニピリム水和剤散布は高い防除効果を示したが,無処理区に比べ耐性菌密度が高まる傾向であった.
  • 澤田 宏之, 功刀 幸博, 綿打 享子, 工藤 晟, 佐藤 豊三
    2011 年 77 巻 1 号 p. 7-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/24
    ジャーナル フリー
    2008年6月,山梨県甲州市でブドウ(ブドウ科ブドウ属ヨーロッパブドウ=Vitis vinifera )の葉および果房に斑点症状が発生し,2009年には南アルプス市にも発生が拡大した.葉では葉脈に囲まれた境界の明瞭な角斑が形成され,始めは黄白色~黄緑色で水浸状を呈するが,のちに褐色~黒褐色の壊死斑となった.幼果期の果粒や小果梗にも,表皮が裂開して中央部がやや陥没した黒褐色~黒色の楕円形壊死斑が認められた.品種別では‘甲斐路’,‘ロザリオビアンコ’で本症状の発生が多い.罹病組織からは黄色,不透明,円形,中高な粘稠集落を形成する細菌が分離された.ブドウに噴霧接種すると葉に暗緑色の水浸状斑点が形成され,病斑から接種菌が再分離された.本菌はグラム陰性,好気性で1本の極べん毛を有する桿菌であり,その主要な生理・生化学的性質や16S rDNAの分子系統解析における位置づけはXanthomonas 属細菌に一致した.gyrB あるいはrep-PCRに基づく系統解析において,本菌はX. arboricola の既知pathovarとともに明瞭なクレードを形成して独立した.以上より本菌をXanthomonas arboricola Vauterin, Hoste, Kersters and Swings 1995と同定した.X. arboricola によるブドウの病害はこれまでに報告がないため,本病を新病害としてブドウ斑点細菌病(Bacterial spot of grapevine)と呼称したい.ブドウに対する接種試験,gyrB やrep-PCRに基づく系統解析,および発生調査などの結果から,本菌は日和見感染菌的性質の強い弱病原菌であり,遺伝的に固定されておらず,多型を内包した状態であることが示唆された.
短報
平成22年度地域部会講演要旨
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