日本植物病理学会報
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40 巻, 1 号
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  • [II]CGMMVの接種試験に関する研究
    黄 耿堂, 松沢 安秀, 見里 朝正
    1974 年 40 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    自動散布装置を用いて,接種試験を行なった結果,3週間生育のキュウリ幼苗(品種:相模半白)に対して,コンプレッサーのゲージ圧力4kg/cm2,接種距離20cm,接種時間0.5秒,カーボランダム含量1%の条件下では,罹病葉生体重(g)当たり50∼100倍稀釈液の接種源で,供試幼苗総数に発病が認められた。上記の条件は相互に著しく影響するが,カーボランダム0.5∼2%の範囲内では影響がなく,20%にすると発病を著しく促進することが認められた。
    尚,数種の化学物質について,その発病抑制効果を調べた結果,著しい効果は認められなかったが,N-lauroyl-DL-methionineの連続3回散布で,宿主に薬害が認められずに阻害活性が認められた。
  • 小畑 琢志
    1974 年 40 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    輸出みかんの主要産地(アメリカ向けに設定されたかいよう病無病地区を除く)から多数のX. citri菌株を採集し,CP1およびCP2ファージに対する感受性からみた菌系の分布実態および両ファージの溶菌範囲を検討した。
    静岡・和歌山・広島・徳島・愛媛各県の全域におよぶ採集の結果,菌系の地域分布は,広島県にのみCP1感受性菌系が多かったほかは,いずれの県においてもCP2感受性菌系が優勢であった。しかし菌系の分布は品種によって特徴があり,温州にはCP2感受性菌系が優位を占めるのに対し,温州以外の品種から採集した菌株には両菌系が種々の比率で検出された。CP1感受性菌が広く分布する広島県にあっても,温州単植園の多くはCP2感受性の菌系が優勢であった。この調査において検定した計1256菌株のうち,両ファージ耐性菌は17菌株(1.4%)であった。耐性菌の検出頻度は低いだけではなく,これが特定の地域や圃場に局在して分布する兆候も認められなかった。
    菌系の微視的な所在様式を推定するため,愛媛・静岡両県下において数圃場を選び,局部的に多数の単個病斑から菌株の分離をおこなって調べた結果,既知の菌系のほか,両ファージのいずれにも感受性をもった菌系が一部に検出された。ひとつの圃場に複数の菌系が混在する場合,その混在は病葉レベルまではしばしば認められるが,ひとつの病斑を構成する菌系は単一であることが多かった。この調査で検定した計2514菌株中には耐性菌は存在しなかった。
    以上の結果からCP1およびCP2の両ファージを組合わせた溶菌範囲は,日本の輸出みかん関係地域に分布するX. citriのほとんど全部を包含するものと考える。
  • VII. CMV感染タバコ葉における葉緑素の分解
    加藤 盛, 三沢 正生
    1974 年 40 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    CMVによるモザイク病徴形成に関して葉緑素の分解面から検討した。感染葉では病状の進展に伴い葉緑素含量が急速に減少する。クロロフィラーゼ活性もまた減少傾向を示し,罹病による本酵素の活性化は認められない。また,モザイク葉内にはクロロフィラーゼによる葉緑素の分解産物であるクロロフィリドやそれからMgの離脱したフェオフォバイドは殆んど検出されないが,フェオフィチンが高濃度に検出されるのが極めて特徴的であった。このフェオフィチンは葉緑素の酵素的な分解によっては決して生成されない。従ってモザイク葉でみられたフェオフィチンの異常増加は感染細胞内の環境変化により非酵素的に形成されたものと考えられる。また,モザイク部や黄変部ではカロチノイド,特に黄色色素のキサントフィルが著しく増加しているのも特徴的であった。以上からCMV-タバコ系での葉緑素の分解はクロロフィラーゼによる酵素的分解とは思われず,非酵素的な葉緑素からのMgの離脱がその主因と思われる。またこのようなMgの離脱には先づ葉緑体中の蛋白分解が先行し,葉緑素・蛋白の結合の切れることが必要である。葉緑体蛋白の大部分を占めるフラクションI蛋白を例として調べた結果,フラクションI蛋白は葉緑素の分解と平行して急速に減少し,両者の間に極めて密接な関係のあることが認められた。しかし,このフラクションI蛋白の減少は蛋白分解酵素の活性化による直接的な分解というより,その合成機構の病的な抑制によると考えられるものであった。
  • 大内 昭, 富永 時任
    1974 年 40 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    腐敗病細菌,N-6301株のペクチントランスエリミナーゼ(endo-PTE)を純化して,本酵素の組織崩壊作用を検討した。該菌株の培養液より調整した遠沈上澄液に,硫安を0.2∼0.6飽和になるように加えて,共存するペクチン酸トランスエリミナーゼ(PATE)をとりのぞき,PTE活性に富む画分を得た。この硫安塩析物を0.005M pH6.2のリン酸緩衝液で透析したのち,同一緩衝液で前処理したDEAE-セルロースカラムで分別した。PTEは該カラムによって,非吸着部(“PTE I”)と吸着部(“PTE II”)に分かれ,その大部分が前者の画分に回収された。“PTE I”画分に冷アセトンを60%濃度になるように加え,得られた沈査を0.005M, pH6.8のリン酸緩衝液で透析したのち,同緩衝液で前処理したCM-セルロースカラムに吸着させた。食塩の濃度を連続的に高めると,該画分の成分はさらに4つの分画に分かれ,PTE活性は第4番目のピークにのみ見出された。この活性画分を再び同カラムで処理して,遠沈上澄液に対し,約362倍の比活性を示す酵素標品を得た。本標品はチゼリゥス電気泳動および超遠心法による分析で,いずれも単一のピークを示した。なお,純化酵素にはポリガラクトウロナーゼ,およびペクチンエステラーゼ活性は検出されなかったが,痕跡程度のPATE活性が混在した。以上の分別および純化の一連の操作において,組織の崩壊作用はつねにPTE活性画分た見出された。また,2, 3の物理的性質(至適温度およびpH,不活化温度およびpH)において,組織崩壊作用とPTE活性の間に顕著な差異はなかった。したがって,本菌株の組織崩壊作用はPTEにもとづくと判断され,プロトペクチナーゼ,マセレーション酵素あるいはphytolysinなどの存在は否定された。
  • 稲葉 忠興, 梶原 敏宏
    1974 年 40 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリべと病と寄主の光合成の関係を明らかにするため,キュウリ葉に14CO2を与えて同化させ,罹病葉における14C-光合成産物の挙動,および14C-光合成産物の分生胞子へのとりこみを調べた。
    1. 接種前に14CO2で同化処理すると,接種後病斑が形成されても,14C-光合成産物は病斑に全く集積しなかった。
    2. 接種2日後,病斑がまだ現われない罹病葉を14CO2で同化処理すると,14C-光合成産物は,接種6日後,8日後,14日後のそれぞれの病斑部にいずれも斑点状に集積した。
    3. 接種8日後,典型的な病斑を形成した罹病葉を14CO2で同化処理すると,同化直後は病斑部の14C量は健全部に比し少ないが,7時間後になると健全部より多くなり,14C-光合成産物の病斑部への集積が認められた。病斑部に集積した14C-光合成産物の量は,その後わずかに減少するが同化20時間後はほとんど減少しなかった。一方,罹病葉の健全部の14C量は同化20時間後までは著しく減少し,対照の健全葉よりも減少した。
    4. 接種7日後,罹病葉の罹病部(病斑と一部の健全部を含む)を黒紙で遮光し,同葉の健全部だけを14CO2で同化処理すると,14C-光合成産物は同化開始1時間後にすでに病斑部に転流・集積した。
    5. 接種後病斑の現われた罹病葉を14CO2で同化処理し胞子形成させると胞子に多量の14C-光合成産物が検出された。胞子中の14C量は,同化当日に胞子形成させたときに最も多く,同化1日後,2日後,および3日後になると経時的に減少した。一方,接種前日に14CO2で同化処理し,接種7日後に胞子形成させると,胞子にとりこまれた14C量は著しく少なかった。
    以上の結果から,罹病葉で同化生成された14C-光合成産物は,短時間の間に病斑部に転流し,病斑中の菌糸に急速にとりこまれ,さらに胞子中に移行し,胞子形成に直接関与していることを明らかにした。
  • 菅原 政芳, 小島 誠, 村山 大記
    1974 年 40 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ葉巻病罹病植物(Physalis floridana Rydb.)上で3時間獲得吸汁させた(以後吸汁虫と呼ぶ)モモアカアブラムシ(Myzus persicae Sulz.)は吸汁後9時間目にはじめて本ウイルスを伝搬し,また4日間病植物を吸汁させたアブラムシの磨砕液(原液)および体液を注射した(以後注射虫と呼ぶ)虫の場合でも,注射後6時間目にはじめて本ウイルスを伝搬し,それぞれ吸汁虫および注射虫とも数時間の虫体内潜伏期間が存在することが認められた。保毒虫の磨砕液を注射する場合,高濃度のウイル液を注射した虫ほど虫体内潜伏期間が短かくなり,またその伝搬率が高くなった。
    罹病植物上で3時間以上吸汁させたアブラムシでは,本ウイルスを検出することができたが,1時間吸汁させた虫では検出されなかった。なお実験を行なった24時間内の獲得吸汁では,吸汁時間が増すにつれて虫体内のウイルス濃度は上昇する傾向が認められた。吸汁虫および注射虫いずれもその伝搬率は24時間内ではウイルス獲得後の時間の経過にともない上昇する傾向にあったが,本ウイルスを獲得吸汁(3時間)させた虫および注射虫体内におけるウイルス量およびウイルス検出率は時間の経過にともない減少しており,潜伏期間内におけるウイルス量の増加は認められなかった。
    以上のことから,本ウイルスのアブラムシ体内における潜伏期間はアブラムシ体内でウイルスが増殖する期間ではなく虫体内を循環したウイルスが植物に達するまでに要する期間と考えられる。
  • 横沢 菱三, 生越 明, 酒井 隆太郎
    1974 年 40 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. Aphanomyces raphaniの遊走子は病土中で宿主(カンラン)子苗胚軸に集積する。
    2. 宿主子苗胚軸上にはニンヒドリンで特異的に発色する箇所,エオシンで特異的に染色される箇所が存在する。
    3. 遊走子は宿主胚軸上のエオシン被染色箇所に集積する傾向が認められた。
    4. 宿主子苗の胚軸からの分泌物は,本菌遊走子を誘引する。
    5. 宿主子苗の胚軸からの分泌物を酸性,中性,塩基性に分画し,その遊走子の誘引活性を調べると,塩基性分画に強い活性が認められた。
    6. 塩基性分画中に検出された16のアミノ酸と他の2つのアミノ酸は本菌の遊走子を効果的に誘引しなかった。
  • 栃原 比呂志, 小室 康雄
    1974 年 40 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    わが国のキュウリとスイカから分離されたCGMMVについて伝染経路の一端を明らかにする目的でイギリスとインドからCGMMVを輸入し,わが国のウイルス(CGMMV-Wa, CGMMV-Cu, CGMMV-Y, TMV-OMおよびTMV-T)との比較を行なった。その結果CGMMV-Waとイギリスから輸入したCGMMV-E1, -E2との間には寄生性と血清学的関係でわずかの差異が認められたが,インドから輸入したCGMMV-CはCGMMV-Waとほとんど一致し,同じかきわめて類似したウイルスであることが認められた。わが国でのスイカ肉質劣変果の発生時期とユウガオ種子の輸入時期とをあわせ考えると,CGMMV-Waはインドからユウガオの種子で持ちこまれた可能性が高いように思われる。CGMMV-Cuがわが国へ侵入した経路については,手がかりを掴むことができなかった。
  • 化学物質ならびに熱処理による毒素効果の減少
    尾谷 浩, 西村 正暘, 甲元 啓介
    1974 年 40 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒斑病菌の宿主特異的毒素は,感受性品種のナシ葉のみに,透過性の異常増大を引き起こし,その結果,ナシ葉は,葉脈に沿う特徴的な壊死斑を形成する。このような毒素による透過性の異常増大は,ナシ葉をあらかじめS-S結合還元剤処理することによって,ある程度抑制された。さらに,この抑制効果は,SH結合酸化剤処理によって完全に打消されるが,還元剤処理後にアルキル化剤処理すると,酸化剤処理の効果はみられなくなった。一方,感受性ナシ葉を,あらかじめ40Cで6分以上,あるいは55Cで2秒以上温湯処理すると,毒素による透過性の異常増大,さらに,壊死斑の形成は極端に抑えられた。この抑制効果は,33∼60Cの範囲の温度処理で常に認められた。なお,熱処理葉は,時間の経過とともに徐々に抑制効果を失ない,再びもとの感受性にもどることが認められた。以上の諸結果から,毒素作用の特異性に関与する因子は,感受性品種の側に存在し,抵抗性側には存在しないと推論できた。
  • A.N. BASU, A. GHOSH, M.D. MISHRA, F.R. NIAZI, S.P. RAYCHAUDHURI
    1974 年 40 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 冨山 宏平, 李 好植, 道家 紀志
    1974 年 40 巻 1 号 p. 70-72
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 荒井 啓, 松田 泉, 小金浜 碩城, 奥田 誠一, 土居 養二, 与良 清
    1974 年 40 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1974/01/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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