日本植物病理学会報
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75 巻, 2 号
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原著
  • 大場 淳司, 吉田 重信, 對馬 誠也, 生井 恒雄
    2009 年 75 巻 2 号 p. 93-101
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/15
    ジャーナル フリー
    赤かび病の感染がコムギの開花と関連していることは知られているが,これまで圃場レベルでコムギの開花小穂率(1穂あたりの開花小穂の割合)を基に開花期を定義し,穂の感染時期と発病およびマイコトキシン蓄積量の関係をあわせて解析した報告はない.本論文では,開花小穂率が40~50%に到達した時期を開花期と定義し,宮城県の主要コムギ2品種(赤かび病抵抗性「中」の品種シラネコムギと「やや弱」の品種ゆきちから)の穂の感染時期と発病程度およびマイコトキシン蓄積量の関係を3年間にわたり解析した.すなわち,圃場での出穂と開花時期の実態を調査するとともに,出穂始期から開花後30日にかけて両品種の穂に赤かび病菌を経時的に噴霧接種し,感染時期と発病程度およびデオキシニバレノール(DON)蓄積量の関係を調べた.その結果,接種時期別による発病程度およびDON濃度は,年次に関係なく両品種ともに開花期3日前から開花期当日の間の接種で最も高く,品種間で比較した場合には,ゆきちからがシラネコムギより有意に高かった.一方,開花3日前以前および開花期以降に接種した場合では,発病度は両品種間で有意な差は認められなかったが,DON濃度では品種ゆきちからで高かった.すなわち,赤かび病菌が感染する時期によっては,発病程度とDON汚染程度が必ずしも一致しないことが示唆された.このことから,より適切な本病の防除対策を講じるためには,品種ごとに開花特性を明らかにした上で,穂への感染時期と発病程度およびDON蓄積量との関係を把握する必要があると考えられた.また,開花穂率(開花小穂が見られた穂の割合)が防除指導のための基準となる開花期を推定する指標として有効であるかを検討するため,開花小穂率と開花穂率の関係を調べた.その結果,両品種ともに開花期間の開花小穂率(x)と開花穂率(y)との間には高い相関(品種シラネコムギ:y=22.792ln(x)−4.1541, R2=0.9642,品種ゆきちから:y=20.284ln(x)+7.065, R2=0.9171)が認められた.このことから,これら2品種の薬剤防除適期の把握には開花穂率を指標として活用しうることが考えられた.
  • 山崎 修一, 酒井 淳一, 上曽山 茂, 花田 薫
    2009 年 75 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/15
    ジャーナル フリー
    大分県のサツマイモから分離されたウイルスは,10科16種の植物中,アサガオ,I. setosaおよびC. amaranticolorに感染し,アサガオの病徴はSPFMV-S, -O, -Tと異なった.アサガオ粗汁液中の本ウイルスの保存限界は20℃で1日以内,希釈限界は103~104倍,不活化温度は50~60℃であった.
    さらに,ウイルス粒子の長さは約850 nmであり,モモアカアブラムシによって非永続的に伝搬された.一方,外被タンパク質は355アミノ酸より構成されており,SPVG各分離株と93~99%の相同性を示した.また,これを元にした分子系統樹により,本ウイルスはSPVG各分離株と同じ独立したクラスターを形成した.本ウイルスは,サツマイモへの単独感染では塊根表皮のわずかな退色のみの病徴にとどまったが,SPFMV-Sとの重複感染では,SPFMV-Sの単独感染よりも激しい病徴を示した.以上の結果から,本ウイルスはわが国では未報告のSPVGの分離株であることが明らかとなったため,SPVG-Oitaと命名したい.
短報
  • 行徳 裕, 岡崎 真一郎, 古田 明子, 衞藤 友紀, 溝辺 真, 久野 公子, 林田 慎一, 奥田 充
    2009 年 75 巻 2 号 p. 109-111
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/15
    ジャーナル フリー
    In 2004, an unidentified disease causing chlorotic yellows on the leaves of melon (Cucumis melo) plants was found in Kumamoto Prefecture. A few flexuous filamentous structures (ca. 900 nm in length) were observed with transmission electron microscopy. RT-PCR and subsequent nested PCR amplified a DNA fragment, which had 75% and 73% similarities with a corresponding sequence for Cucurbit yellow stunting disorder virus and Beet pseudo-yellows virus, respectively. Both Bemisia tabaci Q-biotype and B. tabaci B-biotype (syn. B. argentifolii) acquired and transmitted the virus, and the infected melon plants developed the original symptoms of the disease. These results demonstrate that the virus is a new species in the genus Crinivirus (family Closteroviridae), and we propose the name Cucurbit chlorotic yellows virus.
  • 西村 聡, 古閑 篤史, 衣川 勝, 山崎 祐未子, 加藤 寛, 片岡 郁雄, 五味 剣二, 秋光 和也
    2009 年 75 巻 2 号 p. 112-115
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/15
    ジャーナル フリー
    A 2658-bp full-length cDNA encoding a lipoxygenase (AaLOX1) was identified from Baby kiwi (Actinidia arguta). The deduced amino acid sequence of the gene is about 70% identical to plant liopxygenases (LOXs) of strawberry, potato and cucumber. The amino acid sequence possesses a PLAT motif and several of the typical LOX motifs. AaLOX1 is predicted to be located in the cytoplasm. AaLOX1 is inducible, and the transcripts accumulate in leaves within 0.5 hr after either wounding or inoculation with a pathogen or nonpathogen.
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