日本植物病理学会報
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65 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • Ampaabeng Gyedu KYEREMEH, 菊本 敏雄, 荘 敦堯, 高原 吉幸, 江原 淑夫
    1999 年 65 巻 6 号 p. 571-575
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    銅剤耐性の生物防除用菌株を作出し,この耐性菌と銅剤との併用による軟腐病防除の可能性について実験を行った。はじめに,ハクサイの切離葉に500倍の銅水和剤と有機銅水和剤をそれぞれ散布し,風乾後に銅剤耐性および感受性の非病原性軟腐病菌(108cfu/ml)を散布し,25°C湿室中に静置して経時的に菌数の変動を調べた。耐性菌の方が高い生残率を示した。前日に所定濃度(1200倍)の有機銅水和剤を散布しておいた圃場のハクサイに,両菌より分離したリファンピシン耐性菌を散布した。散布1日後の生残率は銅剤耐性菌の方が感受性菌より10倍高かった。しかし,その後の両菌の菌数はほぼ同様の推移を示した。これに対し,有機銅水和剤に直接菌を懸濁して散布した場合,感受性菌の生残率は著しく低くなった。つぎに,1週間後に再度銅剤を散布し,その影響を調べた。その結果,ハクサイに定着した耐性菌はまったく銅剤散布の影響を受けず,銅剤との併用が可能であることが明らかになった。
  • 岸 國平, 古川 聡子, 青木 孝之
    1999 年 65 巻 6 号 p. 576-587
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1993年10月愛知県渥美郡田原町(渥美半島)において,野外で栽培中のキダチアロエ(Aloe arborescens Mill.)に,紫色の斑点を多数生ずる病害の発生を認めた.病斑部からはFusarium属菌が容易に分離され,これらはキダチアロエに対し,有傷および無傷接種でいずれも強い病原性を示した。培養的性質ならびに形態から本菌をFusarium phyllophilum Nirenberg et O'Donnellと同定した。1994年から1997年までの調査の結果,渥美半島のほか,房総,三浦,紀伊,大隅,薩摩等の各半島においても本病は野外で栽培中のキダチアロエに広く発生が認められた。1998年10月,三浦半島城ヶ島において多量に分生子を形成する病斑を見いだし,それらから菌を分離して新たに4菌株を得たが,これらもすべてF. phyllophilumと同定された。以上より本病を新病害と認め,アロエ紫斑病(purple spot of Aloe)と呼称することを提案する.
  • 草場 基章, 衛藤 由希子, Le Dinh DON, 西本 夏佳, 土佐 幸雄, 中屋 敷均, 眞山 滋志
    1999 年 65 巻 6 号 p. 588-596
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    種々のイネ科植物から分離したいもち病菌菌株間の遺伝的相互関係を明らかにするため,核リボソームDNA (rDNA)の解析を行った。各菌株の全ゲノムDNAを2種類の4塩基認識制限酵素で切断して多型解析を行った結果,供試71菌株が13種類のrDNAタイプに類別された。このRFLPデータならびにITS2領域の塩基配列に基づいてデンドログラムを作成したところ,主要なイネ科栽培植物(イネ,アワ,キビ,シコクビエ,コムギ,エンバク)とその近縁種の病原菌は単一クラスターを形成した。一方,メヒシバ菌,ブッフェルグラス菌等はデンドログラム上において上記栽培植物寄生菌群の外側に位置し,日本産タケ・ササ菌はさらに遠縁であることが明らかとなった。つぎに,これらの菌株におけるレトロトランスポゾンMAGGYの分布を調べたところ,MAGGYを多コピー保有するイネ菌・アワ菌等の菌株は,ほぼ栽培植物寄生菌群クラスターの中の単一サブクラスターに属することが明らかとなった。一方,このサブクラスターから遠縁のブッフェルグラス菌にも,MAGGYが多コピー見出された。このことから,過去にMAGGYの水平移行が起こったことが示唆された。
  • 曵地 康史, 中澤(那須) 佳子, 北之 園忍, 鈴木 一実, 奥野 哲郎
    1999 年 65 巻 6 号 p. 597-603
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Vibrio fisheri由来のluxオペロンとBurkholderia glumaeゲノムDNA由来のプロモーター領域を有するpNP126でRalstonia solanacearum OE1-1を形質転換し,in vitroでの誘導期から定常期にかけての増殖能と生物発光に正の相関関係を示し,OE1-1と同等の病原性を示すYN5を得た。青枯病抵抗性品種LS-89と感受性トマト品種大型福寿の接木トマトにおけるYN5由来の生物発光と青枯病の発病について画像解析システムARGUS50を装着したVIMカメラを用いて経時的に観察した。根と地際部におけるR. solanacearum増殖量の程度が青枯病発病に重要な要因であり,LS-89の青枯病に対する抵抗性は,第一葉下のR. solanacearumの増殖抑制に起因することが明らかとなった。LS-89を子葉下の台木として,大型福寿を穂木として用いた接木トマトでは,R. solanacearumはいずれの接木トマトの台木においても潜在感染しており,未発病の接木トマトの穂木からもR. solanacearumは検出された。一方,R. solanacearumが穂木で著しく増殖した接木トマトはすべて萎凋・枯死した。すなわち,抵抗性台木LS-89のR. solanacaerumに対する何らかの増殖抑制機能が,感受性穂木大型福寿におけるR. solanacearumの増殖にも影響を及ぼし,青枯病の発病率を量的に調整していることが示唆された。
  • 堀田 光生, 土屋 健一
    1999 年 65 巻 6 号 p. 604-611
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本産および外国産Ralstonia solanacearum 83菌株の細菌学的性質について調査しクラスター解析することで,菌株間の比較を行った。54項目の細菌学的性質について調べた結果,20項目で菌株間に違いが認められた。供試した日本産株は4つのbiovar (1-4)に類別され,とくにbiovar 3および4の株が大半を占めた。日本産biovar 2では,外国産biovar 2およびN2とトレハロース,D-リボース,L-酒石酸およびmeso-酒石酸等の利用能でそれぞれ異なっていた。日本産biovar 3では,タバコおよびカランコエより分離された11菌株でイノシトールを利用せず,他の菌株と異なっていた。20項目の細菌学的性質をもとに単純一致係数と群平均法によるクラスター分析を行った結果,供試株は78%の類似度で7つのクラスターに類別された。biovar 3および4はそれぞれ1つのクラスターを形成し,類似していたのに対し,biovar 1および2では2つ以上のクラスターに分かれ,それぞれ日本産株または外国産株を含んでいた。また,各クラスターおよびbiovar間で分離宿主に違いがみられ,とくにナス科作物以外の植物から分離された株はいずれもbiovar 3と4に属した。
  • 高橋 翼, 渡辺 雄一郎, 夏秋 知英, 奥田 誠一, 岡田 吉美
    1999 年 65 巻 6 号 p. 612-615
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマトモザイクウイルス(ToMV)が合成する30kDaタンパク質(移行タンパク質:MP)は原形質連絡に局在し,ウイルスの細胞間移行に関与している。本研究では,ToMVのMP遺伝子にGreen fluorescent protein (GFP)遺伝子が融合して,MP: GFP融合タンパク質を発現するキメラToMVを,トマトプロトプラストに感染させた。その結果,感染12時間後より感染プロトプラストの表面から蛍光をともなった管状構造物が形成されるのが蛍光顕微鏡下で観察された。管状構造物は時間の経過とともに伸張した。また,細胞間移行能力のない変異キメラToMVを用いて,同様の実験を行ったところ,管状構造物の形成は見られなかった。この結果,管状構造物の形成はToMVの細胞間移行と密接な関係があり,特に37番目のセリン残基がその形成に関与していると考えられた。
  • 川波 政和, 古屋 成人, 飯山 和弘, 金 京姫, 森元 聡, 松山 宣明
    1999 年 65 巻 6 号 p. 616-619
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    抗クワ褐斑病菌物質をBacillus subtilis AB89株の培養ろ液中に見出し,その純化を試みた。培養ろ液より1-butanolで粗抽出し,薄層クロマトグラフィー(TLC)ならびに逆相型の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供試することにより純化標品を得た。本純化物質を各種機器分析に供試した結果,分子量が819で数個のベンゼン環を有する複雑な構造をもつポリエン系の新規抗菌物質である可能性が示唆された。
  • 富岡 啓介, 森 充隆, 佐藤 豊三
    1999 年 65 巻 6 号 p. 620-623
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1999年3月,香川県の施設で栽培中のラナンキュラス(ハナキンポウゲ;Ranunculus asiaticus L.)に灰色かび病の典型的な症状を呈する病害が確認された。葉,茎および花に,初め水浸状の不整形病斑が現れ,病斑はしだいに褐変・乾燥しながら拡大・癒合し,それら器官が腐敗して株全体が早期枯死に至る。病斑上には灰∼灰褐色のビロード状の菌体が観察され,その出現は多湿条件で促進された。この菌体では典型的なBotrytis属菌の分生子柄と分生子がみられ,本菌を主にその形態的特徴からB. cinerea Persoon: Friesと同定した。本菌分離菌株の分生子を健全宿主に接種した結果,原病徴が再現されるとともに接種菌が再分離され,同菌の病原性が確認された。本病はすでに記録のあるラナンキュラス灰色かび病と思われた。しかし,病徴とともに病原菌の同定根拠および病原性に関する報告がない。本研究はその科学的根拠を示すものである。
  • 加藤 公彦, 花田 薫, 亀谷 満朗
    1999 年 65 巻 6 号 p. 624-627
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    静岡県の温室メロンに,葉全体が黄化し,多数のえそ斑点が発生するウイルス様症状を示す激しい病害が発生した。発病株から分離した本病の病原は,ミナミキイロアザミウマにより永続伝搬された。トマト黄化えそウイルス(TSWV)およびスイカ灰白色斑紋ウイルス(WSMV)抗血清とは,間接ELISA法で本病原は反応しなかった。本病原の宿主範囲はやや狭く,22科68種の植物のうち,6科14種の植物に全身感染した。キンギョソウ全身感染葉の粗汁液中には,平均直径142nmの被膜をもつ大型粒子が多数観察された。超薄切片観察では,同様の粒子が感染細胞の細胞質に散在して観察された。これらの結果により,本病害は日本では発生報告がないメロンの新病害であると考えられる。
  • 篠原 弘亮, 森脇 丈治, 門田 育生, 西山 幸司
    1999 年 65 巻 6 号 p. 629-634
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringaeの種内におけるコロナチン生産能の分布についてpathotype strain 46菌株とその他の9菌株を用いて調査した。コロナチン生産能は,ジャガイモ塊茎を利用した生物検定法とPCRでコロナチン生産関連遺伝子(cfl領域)を検出する方法で調査した。その結果,コロナチン生産能を有することが既に知られていたP. s. pv. atropurpurea, pv. glycinea, pv. maculicola, pv. morsprunorum, pv. tomatoの5 pathovarに加えて,新たにpv. aesculi, pv. berberidis, pv. cannabina, pv. coronafaciens, pv. ulmi, pv. zizaniaeの各pathotype strainでコロナチン生産能を有することが判明した。これらの中でP. s. pv. coronafaciensはタブトキシンを生産することが知られるので,pathotype strainを含む8菌株を対象にして,tabA(タブトキシン生産関連遺伝子)をPCRで検出したところ,pathotype strainからはtabAは検出されず,残りの7菌株からはtabAが検出された。また,pathotype strainはエンバク上で原記載に一致する病斑を作らなかったので,pathotype strainとして不適当な菌株である。
  • 門田 育生, 西山 幸司
    1999 年 65 巻 6 号 p. 635-638
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new medium, designated as GANA (Glucose and Acetamide-amended Nutrient Agar), was developed to differentiate rice and non-rice strains of Acidovorax avenae subsp. avenae. The medium was composed of glucose 2g, acetamide 2g, nutrient broth (Difco) 8g, bromothymol blue 50mg and agar 18g in 1000ml of distilled water and adjusted to pH 7.2. On the medium, rice strain (MAFF 301505) was differentiated from non-rice strains (MAFF 301027 and MAFF 301149) by colony color and form. Plating efficiency of A. avenae subsp. avenae on the GANA medium against nutrient agar medium was about 60-110%.
  • 佐藤 衛, 堀内 誠三
    1999 年 65 巻 6 号 p. 639-642
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In October 1998, a new downy mildew was found on cauliflower [Brassica oleracea L. (Botrytis group)] in Morioka, Japan. The disease spots on lower side of leaves were angular and clearly limited to veins. Conidiophores, emerging from leaf stomata, expanded and adopted a tree-like shape. Conidia formed at the end of the branches were orbicular to ovoid or ellipsoid, measuring 18-26×16-23μm. Conidia germinated, forming a germ tube. The fungus had the same host specificity as downy mildew fungus of cabbage and broccoli. On the basis of these results, the fungus was identified as Peronospora parasitica (Persoon: Fries) Fries. Downy mildew of cauliflower is the name proposed for the disease.
  • 1999 年 65 巻 6 号 p. 643-649
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 65 巻 6 号 p. 650-660
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 65 巻 6 号 p. 661-670
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 65 巻 6 号 p. 671-692
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 65 巻 6 号 p. 693-699
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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