日本植物病理学会報
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35 巻, 4 号
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  • 松本 巍, 李 敬修, 〓 文盛
    1969 年 35 巻 4 号 p. 251-259
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    台湾におけるサトウキビ白葉病は1958年屏東地方に初めてその発生が認められたが,インドのgrassy shootあるいはalbino,またはタイ国のLampang地方のサトウキビ白葉病とは異なるものである。本病は汁液伝染をしない。本病激発地のサトウキビ圃場で採集した29種のヨコバイを用い接種試験を行なつたところEpitettix hiroglyphicus Matsumuraが本病を媒介することを確かめた。春から初夏にかけての実験ではこの虫における潜伏期間は約4-5週間であつて,植物体内では2ヵ月半-3ヵ月であつた。しかし秋あるいは初冬では植物体内のそれは3-4ヵ月となつた。若い苗は成植物よりかかり易く,まず上部の展開葉に淡緑色あるいは黄色の条斑を生じ,のちに淡黄色あるいは白色部が,基部から生じた新しい展開葉あるいは巻いている紡錘状の葉に現われ,ついに最上葉に典型的な白葉病の症状を生じた。この病徴は比較的低温の際にときにかくれることがあつた。
  • 田村 実
    1969 年 35 巻 4 号 p. 260-264
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報告は,各種の植物汁液によるTuMVの阻害作用を検討中,強い阻害作用を示したクロマツについて行なった実験の結果である。
    (1) クロマツ葉の磨砕汁液をダイコンとC. amaronticolorに散布し,24時間後にTuMVを汁液接種すると発病数またはlocal lesion数の発生が減少する。
    (2) クロマツの葉のほか,毬果,新梢の樹皮でも同様に阻害作用が認められるが,その他の部位では認められなかった。
    (3) 葉の老若および処理の時期によって阻害作用に大きな差異はなかった。
    (4) 葉汁液は噴霧器で十分に散布した場合に阻害作用が強くあらわれ,散布後に散水したり,また汁液に展着剤を加えると弱められる。
    (5) 葉汁液散布後7日目にもかなり強い阻害作用が認められるが,TuMVを接種したあとでは1時間後までわずかに阻害作用が認められた。
    (6) 葉汁液散布後アブラムシによってTuMVを接種した場合は,阻害作用はみられなかった。
  • M.S. PAVGI, A.N. MUKHOPADHYAY
    1969 年 35 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コエンドロ茎瘤病(stem gall disease)を原因するProtomyces macrosporus Ungerは,季節風(monsoon)による雨ののちに罹病植物の残さや罹病果(fruit gall)から土壌中に出た休眠厚膜胞子で生存している。この病原菌はまた熱に強い乾燥された内生胞子や出芽胞子などの形で土壌中に生き残り,集約的に耕作されている圃場では,おそらく厚膜胞子の形で,土壌中で越冬するものと思われる。
  • M.S. PAVGI, A.N. MUKHOPADHYAY
    1969 年 35 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    茎瘤病にかかったコエンドロ(Coriandrum sativum L.)から集められた果実は,TTC反応と発芽試験によると,かなりの種子の活性と発芽能力をもっている。本菌によって全身感染をうけると,被害植物の種子発芽能はかなり低下する。この発芽試験で得た子苗の茎は感染をうけているが,珠皮をとおって病原菌が早期に茎を侵したことによるものであって,このようにして本病の第一次感染能力を増している。
  • A.M. DAS, D.N. SRIVASTAVA
    1969 年 35 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コムギ苗の裾枯をおこすHelminthosporium sativumは,ブドウ糖加用コムギ根抽出液培地中でかなり高濃度の毒性物質を生産した。培地にブドウ糖を加用しなかった場合,本病菌の生育は見られない。窒素源として硝酸塩またはアスパラギンを含む合成培地では,サイアミンまたはビオチンの添加・無添加に関係なく毒性物質を生産しなかった。培養〓液のもつ毒性物質の耐熱性は,〓液のpHによって異なり,中性でもっとも安定であり,アルカリ性よりも酸性でより不安定である。コムギの根の先端組織は,培養〓液の10倍希釈液に浸漬することによって死滅した。
  • 玉田 哲男, 後藤 忠則, 千葉 一美, 諏訪 隆之
    1969 年 35 巻 4 号 p. 282-285
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new virus disease, soybean dwarf, was first noticed on the Tsurunoko variety of soybean in southern areas of Hokkaido in about 1952. Since then it has been widely observed throughout Hokkaido, causing a considerable loss in soybean yields. Soybean plants infected with the virus show dwarfing (stunting), and downward curling, rugosity, and/or interveinal yellowing of the leaves.
    The virus was transmitted by grafting and by the aphid Aulacorthum solani (Kaltenbach), but not by juice inoculation or through seeds. Three species of aphids, Aphis glycines Matsumura, Aphis craccivora Koch and Myzus persicae (Sulzer), and two species of leafhoppers, Scleroracus flavopictus Ishihara, and Psammotettix striatus (Linné) failed to transmit the virus. The virus was retained in the vector A. solani for 20 days after leaving the source plants.
    It was found that red clovers and white clovers in the neighborhood of affected soybean fields were symptomless carriers of the virus.
  • 西村 正暘, 林 真二, 千代西尾 伊彦, 奥田 純一郎, 佐藤 一郎, 田辺 賢二
    1969 年 35 巻 4 号 p. 286-293
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    最近,鳥取県下の砂丘畑に栽培中のナガイモに黒あざ状の汚斑を呈する現象が多発し,商品上大きな障害を与えている。これは,6月中旬以降,とくに集中降雨につぐ急激な地温上昇を境として,急に発生する。いちじるしい場合には,ナガイモ皮面の裂開,奇形に発展することもある。しかし地上部には外観上なんらの異常も認められない
    各種の調査の結果,これは寄生病害虫によるものではなく,有害な有機物の異常集積による土壌障害らしいことを観察した。栽培土壌の水浸出液について,ハツカダイコンの出芽時の幼根の伸長抑制能を指標として調査すると,その発生時期,発生土壌などを的確に知ることができた。
    被害土壌の水浸出液から,黒あざの発生原因となる有害物質として,アセトアルデヒド,フルフラールアルデヒド,およびイソ吉草酸アルデヒドを単離同定した。なお黒あざの発生イモ部位は,地下15-25cmに位置するイモの部位に多いが,その部位の土壌中にはアセトアルデヒド含量も多かった。
    黒あざイモの発生の誘因として,鶏糞などの有機質肥料の多用,殺線虫剤の施用,梅雨期の連続降雨とその後の土壌温度の急昇などが考えられる。砂丘畑では,これらが,土壌中の有機質の異常分解の結果,揮発性のアルデヒド類を一時的に集積させる原因となったものと考えられる。
  • 小室 康雄, 岩木 満朗
    1969 年 35 巻 4 号 p. 294-298
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    毎年トマトのモザイク病が多発するトマトの連作地圃場において,その地上部にまだモザイク病の発生のまったくみられない時期に3圃場(A, B, C),モザイク病が10%-15%の発生のみられる時期に2圃場(D, E),計5圃場のトマトを採集して,それについて試験した。採集はその茎葉部にモザイク症状のみられない株を各20株(C圃場では10株)選び,その株ごとに茎葉部と根部を1組にして,その各部におけるTMVの存否をNicotiana glutinosaに汁液接種して調べた。
    その結果,茎葉部にはTMVが(-)で,根部(+)の結果を示した株が,A, B, C圃場では計50株中24株(48%),D, E圃場では40株中13株(33%)と多数存在することが明らかになった。すなわち,その地上部になんら病徴がみられず,かつそこからTMVがまったく検出されない株でも,その根部がすでにTMVに感染している株が比較的多数存在するといえる。A, B, C圃場およびD, E圃場における茎葉部(+),根部(-)の株はそれぞれ0, 2株,茎葉部(+),根部(+)の株は16, 18株,茎葉部(-),根部(-)の株は10, 7株であった。A, B, C圃場およびD, E圃場において分離されたTMVの系統をタバコ(Bright Yellow)に汁液接種して調べたところ,それぞれトマト系100%, 95%,普通系10%, 10%で,このトマト系と普通系の発生状況は一般圃場での89株について調べた結果のそれぞれ92%, 13%の値に近かった。
    D, E圃場に生えていた外観健全なオニタビラコ,ノゲシ,ナズナ,ハコベ,ミミナグサを採集し,計25株についてその根部からTMVの分離試験を行なったが,その結果は(-)であった。
  • 2. 混合接種効果の菌系間差異
    勝屋 敬三, 清沢 茂久
    1969 年 35 巻 4 号 p. 299-307
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    非病原性菌系を抵抗性品種に接種したとき,その上に現われる罹病性病斑数(Ra)と,同一菌系を罹病性品種に接種したときに現われる罹病性病斑数(Sa)との比から,その接種胞子浮遊液中に含まれる病原性突然変異胞子率を求める方法は簡単なため利用価値が高いが,このようにして求めた突然変異胞子率は非病原性胞子と病原性胞子(突然変異体)との間の相互作用(混合接種効果)が存在するため修正されねばならない。菌系北1,研54-20,研54-04,および稲168についてそれぞれの菌系からえられたPi-k抵抗性遺伝子を侵す突然変異体との間の混合接種効果をみ,混合接種効果(促進的)はあるが,その菌系間差異はないことを見いだした。この結果に基づいて,Av-k非病原性遺伝子の突然変異胞子率を修正した。
    またAv-k遺伝子の存在は,本実験方法においては,これらの菌系の病原力に影響を与えないようである。
  • 第1報 キュウリ幼苗根圏糸状菌と立枯れ発生との関係
    洪 春洋
    1969 年 35 巻 4 号 p. 308-314
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文ではキュウリ幼苗根圏微生物相,およびつる割病菌Fusarium oxysporum f. cucumerinumとキュウリ幼苗根圏糸状菌との存在が苗立枯れに及ぼす影響を検討した。
    キュウリ幼苗の根圏ではFusarium菌が他の糸状菌よりも多く分離され,幼苗の生育にともなって増加を示した。またキュウリの品種が異なると微生物の種類およびpopulationもやや異なった。
    Fusarium oxysporum f. cucumerinumはキュウリ幼苗に対して強い病原性を示すが,根圏糸状菌と混合接種した場合には,微生物間の競合により,子苗の立枯れ発生率の経時上昇は遅れ,菌の種類の増加にともなってその程度はいちじるしくなる。キュウリ種子の発芽に及ぼす影響も幼苗の立枯れ発生と同じ傾向を示し,混合接種では発芽抑制の減少が認められた。
    幼苗の生育に及ぼす影響では,菌が存在するかぎり,幼苗の生育を抑制するが,混合接種区とF22単独接種区とを比較した場合,抑制率の減少が認められた。
    これらの結果から,自然界における苗の立枯れ発生は根圏微生物によって影響されることが考えられる。
  • 第2報 キュウリ幼苗根圏細菌および放線菌が立枯れ発生に及ぼす影響
    洪 春洋
    1969 年 35 巻 4 号 p. 315-318
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文ではキュウリ幼苗根圏細菌と放線菌が,つる割病菌による苗立枯れに及ぼす影響を検討した。
    殺菌土壌中におけるつる割病菌は単独接種の場合には,キュウリ幼苗に対して強い病原性を示すが,根圏細菌および放線菌と混合接種した場合には,いずれもpost-emergence damping-offの経時上昇率はおくれ,とくにグラム陰性細菌と混合した場合に,その程度はいちじるしい。また,pre-emergence damping-offの発生も細菌と混合接種した場合に減少が認められ,放線菌においてはA-C株をのぞいていちじるしい影響は認められなかった。
  • 吉井 甫
    1969 年 35 巻 4 号 p. 319-321
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トリプシン,パンクレアチン,牛すい臓RNA分解酵素,およびアカザ搾汁液をウイルス感染阻止物質とし,キウリモザイクウイルス,タバコモザイクウイルス,同ウイルスのRNA,およびダイコンモザイクウイルス(すべて生葉の搾汁液)を供試ウイルスとして,阻止物質とウイルスとの種々の組合せを作り,それぞれのウイルスの壊死斑寄主を用いて,これらの阻止物質のウイルス感染阻止作用を調べた。すなわち,ウイルスの汁液接種後にこれらの阻止物質をすり付けた実験,またその反対に,ウイルス接種前にこれらをすり付けた実験の両者の結果よりみれば,アカザ搾汁液と高濃度の牛すい臓RNA分解酵素液は,これらをウイルス接種後30分ないし60分以内にすり付ければ,寄主の細胞質に害作用をおよぼすことによりそのウイルス吸着能を失わしめ,したがってウイルスの感染を阻止するのに対し,トリプシン,パンクレアチンの両者はたんにウイルスと寄主細胞質との結合を妨害しているものと考えられた。
  • K.G. SINGH
    1969 年 35 巻 4 号 p. 322-324
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    マレーシアのイネの病害penyakit merahはタイワンツマグロヨコバイにより伝搬されるウイルス病であるが,伝搬様式は非(あるいは半)永続型であることが示された。ウイルスの獲得,伝染,保持期間,またイネ品種の抵抗性などから,本病はOuらのいうように,フィリッピンのtungroとごく近縁あるいは同一のものと考えられる。
  • 西原 夏樹
    1969 年 35 巻 4 号 p. 325-327
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 35 巻 4 号 p. 328
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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