(1) 黄銹病特發地と目される長崎縣南松浦郡久賀島村を中心として,黄銹病第二次傳染源調査を行つた。
(2) 昭和26年の黄銹病發生状況を全國的に見れば,五島及び山陰地方に最も早く,東に移行するにつれて初發期がずれて行く。
(3) 〓麥での發生は全國的で,小麥での發生は比較的少なかつた。又〓麥と小麥兩者に發生を見たのは五島久賀島及び天草本渡町のみであつた。
(4) 初發の部位は,大體頂葉より第2乃至第3葉に多く,又一葉の中,病斑は先端に近い部分に多かつた。
(5) 酸生地に共通した氣象的特色は明瞭でなかつた。
(6) 發生地の地形的特徴は東閉西開であつた。これは必ずしも黄沙停滯の好條件であるとは云われない。或いは局地的な氣象條件が影響するのかも知れない。
(7) 發生地の土壤は有機質の不足した砂壤土乃至壤土で,やや酸性であつた。
(8) 品種は小麥では外海に最も多く,貞坊主,新中長,農林49號に僅か發生,〓麥では愛媛〓に多く,御厨〓,御島〓に極く一部發生した。
(9) 黄沙飛來日は五島地區で8日,他は概ね2~1日で,五島地匠に特に多く,飛來時の風向は大體北ないし北西であつた。
(10) 胞子採集は黄沙飛來時に於ても成功しなかつた
(11) 麥作期間後は幼植物への自然感染起らず,接種も成功せず,越夏状況不明であつた
(12) 以上本年の調査成績では,春期の夏胞子飛來説は甚だ有力視されるが,越夏,越多試驗の成績をまたねば結論は下し兼ねる。
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