日本植物病理学会報
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21 巻, 2-3 号
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  • 第2報 植物体に吸収されたストレプトマイシンの動静及びそれによる植物細菌病の防除
    日高 醇, 村野 久富
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 49-53
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報には, タバコの茎及び葉の表面より吸収されたストレプトマイシンのタバコの体内の動静, 及びそれによるタバコ立枯病 (病原菌 Pseudomonas solanacearum) と野火病 (病原菌 Ps. tabaci) との防除について記した。
    葉に吸収されたストレプトマイシンは, 生長中の部分では生長とともにうすめられて行くが, 展開してしまつた葉では, 5週間以上もその葉の中にとどまつていた。茎から吸収されたものは, 皮層部及び髄部に存在し, 吸収した部分のすぐ上の葉, ついでしだいに上方の葉に移行するようである。木質部については検定しえなかつた。1枚の葉の中央で横に2分し, または中肋を境にして, そのどちらか1方に散布しても, 他の1方には移行しなかつた。
    220, 110及び73mcg/mlのストレプトマイシン水溶液を葉の裏に散布して, 1日後に Ps. tabaci を接種しても, 10日後になお強い防除効果を示した。110mcg/ml前後が散布液として適当と思われる。病斑を認めてから散布しても, 病斑はひろがらず“かさ”は消えて回復した。Ps. solanacearum は, 接種区では散布後5日目にはかなり発病してくる。これは導管内のストレプトマイシンが移動して, うすめられる結果と思われるから, 何回か補給すれば防除しうるであろう。
  • IV. Phytophthora infestans の侵入を受けた寄主細胞原形質の運動に就いて
    富山 宏平
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 54-62
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 抵抗性ならびに罹病性の馬鈴薯葉中肋表皮細胞に対する疫病菌の侵入過程につき生体観察を行つた。
    2. 抵抗性を示す場合には, 侵入初期に寄主細胞に原形質糸の出現の激化, 核の侵入部位への近接, および近接核の接種部位を中心とする周期的な運動が認められた。このような現象は寄主細胞に於ける原形質流動推進力の増大によるものであろう。この傾向は抵抗性を示す場合に著しく罹病性を示す場合に少ない。
    3. 原形質糸の方向, およびその上の顆粒の運動方向から, 疫病菌の侵入を受けた細胞の原形質流動推進力は侵入部位に向う傾向がその逆方向に向う傾向より大であると結論した。核の接種部位に対する近接もこの原形質流動推進力によるものであろう。
    4. このような原形質の運動の激化は, 接種を受けた組織の代謝活性と密接な関係をもつものであろう。
  • 山本 昌木, 尾添 正雄
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 63-67
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文は抵抗性の異る馬鈴薯品種を通過した疫病菌の病原性の変化についての実験及び観察の結果をのべた。
    (1) 馬鈴薯の14品種について, 塊茎による抵抗性の検定を行い, その結果に基き, 罹病性の男爵薯と抵抗性の種間雑種42044-15を以後の実験に用いた。
    (2) 罹病性の品種を通過した疫病菌は, 抵抗性の品種を通過したものよりも病原性が強い。
    (3) 同一品種を3回連続通過しても, その菌の病原性は固定しない。
    (4) 疫病菌の病原性の変化は, それが最後に通過した品種によつて決定される。
  • 第1報 病原菌の必須ビタミン類, 微量元素並びに最適合成培地
    浅田 泰次
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 68-70
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    稲胡麻葉枯病菌は Richard 培地では全然発育せず, Thiamin, Biotin, Fe, Mn, Zn を必須とする。Cu, Caの添加はさらに発育を良好ならしめる。これより本菌の最適合成培地を創製した。
  • 桂 〓一, 原田 賢之, 村上 道夫
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 71-73
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Phytophthora capsici Leonian 菌の游走子嚢の発芽から游走子を経て被嚢胞子に至る経過中, 特に游走子の鞭毛の変化について, 位相差顕微鏡下に生体観察を行つて得た知見を述べた。游走子の鞭毛は游走子嚢の発芽直前既に形成が認められる。鞭毛の1つは前方へ向い強く打ちかつ他より少しく長いが, 他の1つは後方へ向い緩く打ちかつ前者より少しく短い。活溌な運動の後, 鞭毛の中央部に1個の小球体を生じ, やがてその部分で折れ曲つて前半と後半とが合一して1本となり, 所謂耳掻状のものになる。それが漸次短縮して游走子に吸収されて消失するか, 或は離れ去つていく。鞭毛に小球体を生じて後の変化は, 以上の方法と少しく異るものもある。
  • 内藤 中人, 谷 利一
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 74-78
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 2,4,5-T或はM.C.P. を添加したペプトン加用合成寒天培地におけるオリーブ炭疸病菌 (Gloeosporium olivarum Alm.) の生長曲線は凸字の対数曲線型で, また同液体培地では早期に生長がとまる。即ち“staling”型の生長を示す。これに反しI.P.C., P.C.P. 或はα-ナフタレン醋酸加里塩を添加した寒天培地の生長曲線は凹字の指数曲線型で, また液体培地では自己消化の域に至つてはじめて生長がとまる。即ち“non-staling”型の生長を示す。
    2) 本菌の2,4,5-T或はM.C.P.添加培養濾液を硫酸々性 (pH2.0) としてエーテルで振盪し, エーテル層を更に4% NaOH水溶液で振盪後エーテルをとばすと, 黄色油状の粗抗生物質を得る。
    3) 本抗生物質は培養経過日数と共に増大し, 供試濃度の範囲では両剤の添加濃度が高いほど生成量も多い。
    4) 抗生物質生成を誘致するこのような性質は, 生長ホルモンに共通のものではなく, 2,4-Dと構造が類縁の薬剤に特有のものであろう。
  • 第3報 室内試験方法の比較検討
    福永 一夫, 見里 朝正, 石井 至, 浅川 勝
    1956 年 21 巻 2-3 号 p. 79-84
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In order to apply antibiotics as agricultural chemicals, the establishment of the testing methods for their antifungal activities in the laboratory seems to be most important. In this paper, three methods of the agar streak dilution method, the paper disk diffusion methods and the spore germination test on the slide glass were compared. As the test organisms, Piricularia Oryzae, Ophiobolus Miyabeanus, Macrosporium bataticola, Alternaria Kikuchiana, Sclerotinia Mali, Penicillium Q 176 and Aspergillus niger were used. As the test antibiotics, Antipiriculin A (Antimycin A), Aureothricin, Eurocidin and Trichomycin were used, and phenyl mercuric acetate was employed as the control. A definite quantitative relation between the antifungal activities obtained by the three testing methods could not be found. The results obtained by three testing methods gave the different antifungal activities by each organism, and the relation between three methods was different by each antibiotic. But, generally, the concentration required to decide the antifungal activity of each antibiotic was lowest in the agar streak dilution method, and the next in the spore germination test, and highest in the paper disk diffusion method. Among these antibiotics there was no one which showed higher activity than phenyl mercuric acetate, but Aureothricin and Trichomycin were better than the others.
  • 1956 年 21 巻 2-3 号 p. 97-147
    発行日: 1956/11/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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