本報には, タバコの茎及び葉の表面より吸収されたストレプトマイシンのタバコの体内の動静, 及びそれによるタバコ立枯病 (病原菌
Pseudomonas solanacearum) と野火病 (病原菌
Ps. tabaci) との防除について記した。
葉に吸収されたストレプトマイシンは, 生長中の部分では生長とともにうすめられて行くが, 展開してしまつた葉では, 5週間以上もその葉の中にとどまつていた。茎から吸収されたものは, 皮層部及び髄部に存在し, 吸収した部分のすぐ上の葉, ついでしだいに上方の葉に移行するようである。木質部については検定しえなかつた。1枚の葉の中央で横に2分し, または中肋を境にして, そのどちらか1方に散布しても, 他の1方には移行しなかつた。
220, 110及び73mcg/mlのストレプトマイシン水溶液を葉の裏に散布して, 1日後に
Ps. tabaci を接種しても, 10日後になお強い防除効果を示した。110mcg/ml前後が散布液として適当と思われる。病斑を認めてから散布しても, 病斑はひろがらず“かさ”は消えて回復した。
Ps. solanacearum は, 接種区では散布後5日目にはかなり発病してくる。これは導管内のストレプトマイシンが移動して, うすめられる結果と思われるから, 何回か補給すれば防除しうるであろう。
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