日本植物病理学会報
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75 巻, 1 号
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原著
  • 小林 享夫, 粕山 新二, 那須 英夫, 小野 泰典, 渡辺 京子
    2009 年 75 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/07
    ジャーナル フリー
    リンドウの褐斑病は1984年に岡山県で発生し,葉に多数の病斑を形成し,激しい場合には全体を褐変枯死させ,その被害の激しさから問題となっている.病原菌は病葉内部から病斑上に立ち上がった菌糸より毛鞠状ないし箒状の胞子塊を形成し,その所属は未決定であった.分生子懸濁液の噴霧接種により無傷でも潜伏期間が短く,発病後の進展も速やかであることが再確認された.病原菌の形態および分生子塊形成過程は,1931年に原・小川によって設立されたケヤキ円星病菌Mycochaetophora japonicaに酷似したが,分生子の大きさ,隔壁の数などが異なり,ケヤキには病原性を示さなかったことから,同属の新種としてM. gentianae Tak. Kobay., Kasuyama et Nasuと命名記載した.
  • 内藤 秀樹, 菊地 義人, 三浦 杏菜, 冨岡 慎太郎, 藤田 学, 藤 晋一, 古屋 廣光, 佐藤 幸生
    2009 年 75 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/07
    ジャーナル フリー
    2001~2006年に秋田県の7地域の山地においてうどんこ病菌の宿主植物,そこに寄生しているうどんこ病菌属種の種類,分布,およびうどんこ病の発病を左右する要因について調査を行ったのでその結果について報告する.うどんこ病菌の宿主植物は秋田県の調査地域全体と調査地に行く途中の秋田市や大仙市で見つけられたものを含め48科126種が認められた.この宿主植物で最も多くの種が採集された科は秋田県北部地域ではスイカズラ科,中央部および南部地域ではキク科であった.また,日本において未報告の,新宿主と考えられる宿主植物がバラ科,スイカズラ科,キク科でそれぞれ2種,オトギリソウ科,ウコギ科,ツツジ科でそれぞれ1種,合計9種認められた.秋田県において,これら宿主植物に寄生しているうどんこ病菌の属は未判定菌を除き10属(新分類体系で7属)認められ,これらの属(節)の中ではUncinula属(ErysipheUncinula節,Parauncinula属),Microsphaera属(ErysipheMicrosphaera節)菌の寄生が他の属(節)より格段に多かった.また,9種の宿主上で寄生うどんこ病菌は既報告のものと種が,また,別の9種の宿主上では既報告のものと属(節)が異なると考えられる菌が観察された.さらに地域により「発病宿主植物」数に大きな差があることの要因について検討した.その結果,その地域の「分布宿主植物」種当たりの「発病宿主率」が約30%以上の多発病地域は,6月~9月の月当たり平均降雨量が約166 mm以下,平均風速が1.2 m/s以上で,調査地の平均土壌Ca含量が1900 mg/kg以上であること,発病を左右する主要因は土壌Ca含量であり,その上に気象条件が乾燥気味であること,が加味されることにより発病がより助長されると考えられた.
  • 星 秀男, 佐藤 幸生, 堀江 博道
    2009 年 75 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/07
    ジャーナル フリー
    2005,2006年に,東京都多摩地域の半促成および露地栽培において,OidiumReticuloidium亜属菌(OR菌)によるキュウリうどんこ病の発生状況を調査した結果,5市2町11圃場の6品種で発生が確認され,本菌が広範に分布することが明らかとなった.本菌の発生は,多くは5月上旬~6月中旬で,その後は従来のOidiumFibroidium亜属菌(OF菌)が優占したが,それぞれは単独で発生し,両種が混発することは少なかった.圃場(品種:南極2号,京涼み)におけるOR菌の発病状況は,発病葉率21.8~39.0%,発病度5.8~12.8に達した.OR菌の形態的特徴はいずれも既知の日本産OidiumReticuloidium亜属菌と一致したが,分生子柄のfoot-cellの大きさは菌株によりやや異なった.品種によるOR菌に対する感受性の差異は,OF菌とほぼ同様の傾向であったが,湧泉に対しては,菌株により異なった.
短報
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平成20年度地域部会講演要旨
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