標準保健食1及び2の場合のキチン分解細菌出現最小糞便量は, 嫌氣培養にありては何れの被檢者に就ても10mgなるも, 好氣培養にありては1の場合は被檢者Hに, 2の場合は被檢者H及びSに於てのみ10mgにて出現を認めたるに過ぎず. 又動物蛋質過剩食1及び2の場合は, 2の嫌氣培養にありて被檢者Hに於てのみ1mgに出現を認めたるに止り, 他は好氣並に嫌氣培養共に出現最小糞便量は10mgなり. 尚キチン分解菌出現の場合に限り, 多くの菌培養液のpH5.0~5.6を示し, 微酸性を呈するを檢し得, 他は中性附近若しくはアルカリ化に傾けることを認めたり. 又80℃, 15分時加熱便群にありては, 何れの被檢者に就てもキチン分解菌の出現を檢出し得ざりき. 即ちキチン分解菌は熱に對して抵抗弱きものと推察せらる. 之に由つて之を觀れば人體腸内には堅靱なるキチンを分解する細菌の恒序することを實證し得たりと謂ふを得べし. 斯の種細菌が腸内にてキチンを分解し. 以て人體の榮養に貢献するものなりと早斷し得ざるは言を俟たざるところなり.
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