エネルギー消費量の算出を生活時間調査より行う場合, 活動の記録および計算ともに煩雑で多大な労力が必要とされる。そこで, 個人の計算を, 実際の活動に合わせて, 詳細かつ迅速にするためのパーソナルコンピュータ用のシステム (ソフトウエア) を作成した。
まず, 主な活動を入力し, その間に行った別の短い活動を特記事項として, 1分単位で入力できるようにした。この方法は, グラフィックで表示される画面を見ながら, 主動作と特記事項を入力していけるので, 計算方法をよく理解した人が行えば, 対象者と面接しながら個人の概算値を算出することも可能と思われる。日記法では, 1人1日当たりのエネルギー消費量を算出する所要時間は10~20分であった。このシステムを用いて, 男女の一般社会人, 学生計185人のエネルギー消費量を, 平日2日, 休日1日の計3日間調査し, 解析した。
座り仕事が主な男性と学生の生活活動指数 (
x) の平均値は約0.4であり, 立ち仕事を主とする男性で約0.5,主婦では約0.6であった。
立ち仕事が主な男性は, 職種によって労働の強さに開きがあるので, 平日のばらつきが大きかったが, 休日では睡眠, 座り時間が増えて, 休養する傾向がみられた。一方, 座り仕事を主とする男性は, 平日の活動の強さはよく似ているが, 休日には運動をする人と休養する人に分かれて, ばらつきが大きくなり, 全体としては歩き時間が増え, 平日より活動する傾向がみられた。
主婦では, 専業主婦と有職主婦の間に休日では活動の差がみられなかったが, 平日は有職主婦の
xが有意に小さかった。これは有職主婦に座り仕事の人が多かったためである。
社会人や学生より主婦の
xが大きい理由の1つは, 使用した家事労働のRMR (Relative Metabolic Rate) は20~30年前に発表されたものが多いので, 現在の生活様式に合っていないものもあるためと考えられた。
また,
xが小さいグループには, 走ったり階段を昇る時に息切れを訴える人が多くみられた。
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