栄養学雑誌
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71 巻 , 1 号
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巻頭言
総説
  • 寺本 民生
    2013 年 71 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】わが国は,戦後急速な経済復興と共に,生活習慣の欧米化が進み,それに伴い肥満,脂質異常症,糖尿病などの心血管疾患の危険因子が増加している。わが国では,血圧コントロールと共に,脳血管疾患による死亡率は減少し,最近はほぼ心血管疾患と肩を並べるところまで減少した。これは食塩摂取制限により,高血圧の頻度が減少し,それゆえに脳出血が劇的に減少したことによる。このような動脈硬化性疾患の危険因子として,高血圧に変わって問題になったのがコレステロールや肥満・糖尿病の問題である。わが国では,生活習慣の欧米化に伴い,コレステロールレベルは増加の一途をたどり,ほぼアメリカ並みになった。重要なことは,心血管イベントの発症には数十年を要するということであり,それゆえ,わが国のガイドラインは心血管イベントの増加を予防するためのガイドラインと位置付ける事ができる。心血管イベント予防のためには,血圧,糖尿病,喫煙などの包括的管理が重要であるが,脂質異常症は冠動脈疾患予防のためには最も重要なことである。わが国の食形態は,動脈硬化予防のためには適していると考え,わが国の疫学研究をもとに動脈硬化予防のための食事について検討した,その結果,動物性脂肪摂取を抑え,魚類などのn3系多価不飽和脂肪酸摂取を多くし,大豆,果物,野菜などを中心とした伝統的日本食が動脈硬化予防のためには適しており,推奨されるものと考えられた。
原著
  • 吹越 悠子, 山本 久美子, 赤松 利恵
    2013 年 71 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】食行動の共起を,複数の健康的な食行動の実行と非実行の組み合わせによって検討する。
    【方法】2010年8~9月,全国A企業健康保険組合の被保険者4,861人を対象に自己記入式横断的質問紙調査を行った。調査項目は,5つの健康的な食行動(朝食を食べる,食事は腹八分目にする,間食をしない,就寝前2時間は食べない,よく噛んで食べる)と性別,年齢を用いた。食行動の回答を実行群,非実行群の2群に分け,χ2 検定で食行動の男女差を検討した。食行動の回答の組み合わせ全32通りの人数と割合(観測比率,期待比率)を算出した。さらに観測比率/期待比率を算出することで食行動の実行と非実行の共起の強さを調べた。
    【結果】有効回答者3,645人(有効回答率75.0%)の内,解析対象者は3,525人(男性1,520人,女性2,005人)であった。男女ともに,最も観測比率の高い組み合わせは,すべての食行動が実行の組み合わせ(男性19.3%,女性17.5%)であった。観測比率/期待比率は,すべての食行動が非実行の組み合わせ(男性7.6,女性4.5)が最も高く,次に,「朝食を食べる」のみが実行の組み合わせ(男性3.1,女性2.6)が高かった。
    【結論】男女ともに,すべての食行動が非実行の組み合わせが最も予測よりも多く観測された。次に,「朝食を食べる」のみが実行で,他の4つの食行動が非実行の組み合わせが予測よりも多く観測された。
短報
  • 豆本 公余, 久保田 優, 東山 幸恵, 永井 亜矢子, 箕輪 秀樹, 安原 肇
    2013 年 71 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】低出生体重児が母乳だけでNICUを退院する(以下:母乳栄養)要因を検討する。
    【方法】奈良県立奈良病院発達外来に通院する低出生体重児(59人)とその母親(48人)を対象とした。母親から母乳栄養に関係する事項の聞き取り調査を行い,あわせて,妊娠中と分娩時,低出生体重児のNICU入院中の状態を診療録から収集した。
    【結果】退院時母乳栄養は,母親12人(25.0%),低出生体重児14人(23.7%)であった。母乳栄養群と混合・人工栄養群に分けて検討した所,単変量解析では,母親側の要因として母親の年齢,低出生体重児側の要因として経口栄養開始日が母乳栄養と有意の関連があった。すべての因子を考慮に入れた多変量解析では,新生児における経口栄養開始日に有意の差が見られた。また,搾乳開始日が早く1日の搾乳回数が多いほど(6回以上)母乳栄養を選択する割合が有意に高かった。カンガルーケア実施有りは有意に母乳栄養群に高かったが,母親の面会頻度や母親教室への参加の有無には差がなかった。母親の母乳に対する好ましいイメージや母乳の分泌が良好であることは母乳栄養への正の要因となったが,分泌不良も含めて母乳栄養への疲労感や辛さ,就業が負の要因となった。
    【結論】低出生体重児の母乳栄養を実現するためには,母乳分泌の維持が必要であり,早期からの定期的な搾乳と経口栄養開始の実施が大きな要因となる。
実践報告
  • 横山 友里, 山田 美恵子, 木皿 久美子, 橋爪 みすず, 小久保 友貴, 日田 安寿美, 多田 由紀, 吉崎 貴大, 砂見 綾香, 石崎 ...
    2013 年 71 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】大学女子新体操選手を対象にオフ期に実施する栄養教育が減量期のたんぱく質摂取量の低下を防ぎ,貧血発現が予防できる可能性を検討する。
    【方法】2009年6月(減量期前)から2010年8月(減量期後)まで協力の得られた14名を対象とした。2010年2月から4月上旬(オフ期)に貧血予防のためのたんぱく質摂取の重要性を講話し,食材購入や調理実習,献立作成演習などを体験させた。調査項目は体重,体脂肪率,貧血指標,エネルギー,たんぱく質,たんぱく質を多く含む食品群の摂取量とし,2009年度と2010年度の減量期前と減量期後に計4回調査した。2009年度の各値は教育実施前の対照値とした。
    【結果】減量期前の身体特性,末梢血液一般検査,食物摂取状況は体重,BMI,除脂肪体重,RBCを除き2009年度と2010年度との間に有意な差はみられなかった。2009年度のたんぱく質エネルギー比率,豆類,卵類摂取量は,減量期前に比べ減量期後が有意に減少したが,2010年度は体脂肪率が有意に減少し,卵類摂取量は増加した。減量期の変化量は,教育を行った2010年度が2009年度に比べて体脂肪率は有意な低値を示し,たんぱく質摂取量,たんぱく質エネルギー比率,豆類,卵類摂取量は有意な高値を示した。しかし,Htを除く貧血指標には有意な変化を及ぼすことはなかった。
    【結論】オフ期の栄養教育はたんぱく質摂取量の低下を抑制するものの,Htを除く貧血指標には影響を及ぼさないことが示唆された。
資料
  • 小島 唯, 阿部 彩音, 安部 景奈, 赤松 利恵
    2013 年 71 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】学校給食の食べ残しと児童の体格との関連を検討することとした。
    【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。身長及び体重の値は,同時期に実施した調査のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の身長,体重,BMI(body mass index)の中央値の差について,性,学年を調整し,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。
    【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。なお,残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。2群を比較した結果,児童の身長の中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 141.7(137.1,145.5)cm,完食群で 145.4(139.8,150.2)cmであり(p=0.289),体重の中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 32.5(30.0,37.5)kg,完食群で 36.0(32.4,40.7)kgであった(p=0.034)。また,BMIの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 16.0(15.6,17.8)kg/m2,完食群で 16.9(16.0,18.9)kg/m2 であった(p=0.034)。
    【結論】食べ残しをしない5・6年生児童は,食べ残しをする児童に比べて体重が重く,BMIが高いことが示された。
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