京都の近郊都市に位置する女子学生 (20歳) 98名を調査対象者として, 昭和56年1~2月に, 連続3日間の食物摂取状況調査と食生活に対する意識を問う食生活調査を行い, 女子学生の食生活の特性と, 食生活がどのような要因によって支配されているかを居住条件の違いや食生活に対する意識などを通して探った。
1) 栄養素摂取上問題点としてエネルギー, Ca, Feの不足, たん白質は平均としては所要量をほぼ満足しているが, 約60%の者が不足しているなどがあげられた。
2) 98名について個人の17の食品群別摂取量 (g/kcal) を用いて相関行列を求あ, 主成分分析を行った。抽出された第1主成分は食生活が主食型か副食型かを示し, 第2主成分は食生活が伝統型か欧米型かを示す主成分と考えられた。
3) 個人の主成分得点を算出し, 散布図に描いたところ, 散布状況は居住別により違いがみられた。すなわち, 自宅学生は, 今回の調査対象学生の中では食生活が伝統的で, 下宿や寮の学生が欧米型であることが示された。
4) 食べる分量の認識は実際の摂取量を反映し, 体型に対する意識が摂取量を支配していることが示された。
5) 今の食生活がよいと思っていない者が約60%を占め, Balance score の低い群でその割合が著しく高いことが示されたが, 改善しようという意識には結びついていないことが示された。
以上, 女子学生の食生活の特性について検討したところ, 食生活を支配している要因として食生活が家族とともに営まれているかと, 体型に対する考え方の2点が考えられた。
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