東北地方における都市, 農業地域, 漁業地域の婦人の食行動および食習慣を, 家族形態別に分類し, 核家族1,006名, 拡大家族1,147名について検討し, 次の結果を得た。
1) 家族の共食頻度は, 夕食で拡大家族に多くみられた。食事内容は, 80%以上が主, 副食ともに同じとし, 拡大家族では副食を異にする場合が多かった。
2) 出前, 家族揃っての外食の頻度は, 核家族が有意に高かった。それらの理由の多くは, 出前では,“来客があった時”で,特に拡大家族に多く, 外食では“家族の団らんを目的とした時”,“家族の誕生日”とし, 核家族が有意に多かった。
3) 欠食については, 3地域平均で“ほとんどしない”が拡大家族に多かった。欠食の理由は“時間がない”,“食欲がない”で核家族に多い傾向がみられ,“習慣”は拡大家族に多かった。
4) 米飯, 味噌汁, 漬け物の摂取頻度は, 3地域平均で拡大家族が有意に高く, 特に農業, 漁業地域で顕著であった。
5) 肉類は, いずれも核家族が多く摂取していた。魚肉加工品は, 3地域平均で拡大家族が多く, 地域別では, 農業地域で目立った。
6) 野菜類の摂取頻度は, 拡大家族がやや高かった。その調理手法では, 核家族で“生のまま”,“妙める”が有意に高く, 拡大家族で多いのは“煮る”だけであった。
7) 3地域平均で食行動, 食習慣ともに核家族は現代的傾向が, 拡大家族は保守的傾向が強かった。地域別でも同様であったが, 都市では大きな差はなく, 農業地域はいずれも最も保守的であった。
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