新鮮大豆油およびその変敗油 (Po. V: 346.0) の飼育ラッテにカゼインに混ぜたS. B (牛, 豚らの肝臓の水抽出と, ニンニク搾汁液を主成分とする), A剤, B剤などを体重100g当りのラッテにそれぞれ20mg, 48mg, 23.1mgを毎日補充投与し, 然らざるラッテとについて生長試験, スタミナ力測定, 肝臓重量, 抽出油脂量などについて検討した。
1. 新鮮油飼育ラッテに比べ, 変敗油飼育ラッテは生長が劣り毛並も荒れている。しかしS. B, A剤およびB剤などを補充投与することにより, いずれも生長を促進させた。
ただし, S. B, A剤およびB剤のそれぞれの比較については, 補充量からみた各成分中の組成割合が異なることから優劣を決めることは困難である。
2. 飼育開始後60日目ラッテを水槽中に投げいれ水没死するまでの時間を測定すると, 変敗油で飼育したラッテほど速く水没死するが, これに対しS. B, A剤およびB剤などを補充したラッテは水没死するまでの時間が延長されS. BとA剤とは同程度の補充効果を示した。
3. 新鮮油飼育ラッテに比べ, 変敗油で飼育したラッテの方が肝臓重量大きく, また抽出油脂量も多い。
変敗油飼育ラッテにS. B, A剤およびB剤などを補充投与した場合, 肝臓重量もやや軽くなり, また抽出油脂量もやや少なくなった。すなわち, いずれの補充物も抗脂肝物質として作用したものと考えられる。
4. 新鮮油, 変敗油および変敗油にS. B, A剤およびB剤などを補充して飼育したラッテの肝臓をエチルエーテルで抽出し, 続いてメタノール, クロロホルム混合液で抽出し, それぞれの抽出物を脂肪酸のメチルエステルとしガスクロマトグラフィーを行なった。
各飼育群ともエーテル抽出物とメタノール, クロロホルム混合液の抽出物脂肪酸とでは, その組成含有割合が異なり, エーテル抽出物ではC
16が多く, 混合液の抽出物ではC
18F
1の脂肪酸が多くなっている。両抽出物を平均で表わせば, 各脂肪酸中C
18F
1が僅かに多くなる。ただし変敗油飼育群のみC
16の脂肪酸が最も多い。
新鮮油飼育ラッテに比べ, 変敗油飼育ラッテの脂肪酸はC
16が多くなり, C
18F
1が減少している。これに対しS. BとB剤などを補充したラッテでは, やや新鮮油飼育ラッテの脂肪酸組成含量の割合に近づく。
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