幼児の食生活管理は母親に委ねられているという観点から, 母親の食行動がその子の食物摂取状況にどのように反映しているかを調べ, より望ましい食行動のあり方を検討した。豊中市, 加古川市の幼稚園児 239人, 神戸市の保育園児 154人, 計 393人 (4~6歳児) を対象とし, 幼児の食事記録を分析し, その母親の食行動との関連を検討した。
1) 栄養素等摂取状況では, 食生活管理に行き届いた食行動を示す母親のグループは, そうでないグループに比べ, 子どものたん白質と脂質摂取量は過剰であるが, その他の栄養素は適正であった。
2) 食品群別摂取状況では, いずれのグループにも米飯, パン, いも類, 大豆製品, 緑黄色野菜, 海草類の摂取不足がみられ, 食生活管理に不十分な食行動を示す母親のグループにその傾向が大きかった。
3) 献立構成を分析すると, 母親の食行動如何にかかわらず, 主食がある割合は90~100%であった。しかし, 主菜や副菜の出現度は, 食生活管理に行き届いた食行動を示す母親のグループのほうが, そうでないグループより高かった。
4) 料理出現状況から, 食生活管理に行き届いた食行動を示す母親のグループは, 料理数が多く, とくに朝食にその傾向がみられた。
5) 子どもの食物摂取状況は, 母親の食行動パターンによって左右されることが分かった。
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