栄養学雑誌
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69 巻, 4 号
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短報
  • 宮井 理沙, 石川 みどり, 三輪 孝士, 田中 徳子
    2011 年 69 巻 4 号 p. 165-174
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】北海道農村地域における肥満女性の間食摂取の季節変動および肥満予防となる間食摂取方法を検討することである。
    【方法】調査方法は北海道美深町に居住する30歳以上の成人を対象として春夏秋冬の各季節における平日2日間の食事時間・区分,食事・間食内容を秤量法により記録し,同時に身長・体重を計測した。女性25名を解析対象者とした。年間平均BMIにより対象者を肥満群,標準群に分け,総エネルギー摂取量,間食エネルギー摂取量・比率,間食摂取量の季節変動を比較検討し,その後,間食分類別エネルギー摂取量,エネルギーのある嗜好飲料の出現回数の季節変動を比較検討した。
    【結果】肥満群は6名,標準群は19名であった。間食エネルギー摂取量・比率,間食摂取量は,肥満群では春から夏にかけ増加し,秋,冬と減少したのに対し,標準群では春から夏にかけ減少し,秋,冬に増加した。季節毎の比較では,夏の総エネルギー摂取量で,肥満群が 1,893±206.7 kcalで標準群 1,575±205.9 kcalよりも有意に多かった。また,夏のエネルギーのある嗜好飲料摂取量(g/1,000 kcal)では,肥満群 97.3±112.8 gで標準群 16.7±37.8 gよりも有意に多かった。特に,肥満群では夏にエネルギーの高い嗜好飲料の出現回数が多かった。
    【結論】夏のエネルギーの高い嗜好飲料摂取の制限が肥満予防の有効な手段となる可能性がある。
  • 山内 有信
    2011 年 69 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】玄米発酵食品(FBR)摂取の血糖値に及ぼす効果を調べた。
    【方法】実験動物は,10週齢のWistar系雄性ラット(6匹/群)を用いた。対照群の飼料は20%カゼイン食とした。通常玄米群(NBR群)の飼料には,粉末玄米を 1 kgあたり 25 g,実験群(FBR群)の飼料は,FBRを 1 kgあたり 25 g(核酸関連物質約0.1%濃度)添加した。これらの飼料を4週間に亘って摂取させた。
    【結果】FBR群の空腹時血糖値(116.5±5.1 mg/dl;平均値±SD)は,CON群(128.1±6.7 mg/dl)およびNBR群(128.0±3.6 mg/dl)に比べて有意に低かった。インスリン値についても,FBR群(1,007.6±352.4 pg/ml)は,CON群(1815.5±289.6 pg/ml)およびNBR群(1,944.8±429.4 pg/ml)に比べて有意に低かった。インスリン抵抗性の指標となるHOMA-R値を計算した結果,FBR群(6.8±2.5)は,CON群(13.3±2.7)およびNBR群(14.2±3.0)に比べて有意に低かった。さらに,グリコアルブミン濃度を比較した結果,FBR群(4.7±0.2%)は,CON群(5.2±0.2%)およびNBR群(5.2±0.2%)に比べて有意に低かった。なお,血清アルブミン濃度には差はなかった。
    【結論】FBRの摂取は,血糖値の低下によって,糖尿病の予防あるいはコントロールに寄与する可能性が示唆された。
資料
  • 川﨑 徹大, 荒井 裕介, 吉池 信男
    2011 年 69 巻 4 号 p. 182-192
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】生活習慣病のリスク低減を目的に行われた,栄養・食生活を中心とした介入プログラムの効果を評価したわが国の論文に関して,「報告の質」を系統的に分析すること。
    【方法】医学中央雑誌データベースを用い,2004~2009年に刊行され,今回の目的に合致した原著論文を検索式及び精読により選択した。分析のために,TREND及びCONSORTのチェックリストを参照して,34の項目から構成した独自のチェックリストを作成した。それに基づいて算出した各論文における項目記述数について,研究デザイン(無作為化比較試験(RCT),無作為でない比較試験(non-RCT),前後比較試験),刊行年,発表言語,構造化抄録の有無別に比較した。
    【結果】50件の論文が選択され,そのうちRCT 6件,non-RCT 15件であった。これらを独自チェックリストに基づき判定した結果,全34項目に対して平均17.3項目(最小9~最大29項目)であった。研究デザイン別では,RCT,non-RCT,前後比較試験の順に項目記述数は少なく,構造化抄録やフローチャートを有する論文では,項目記述数は相対的に多かった。
    【結論】介入研究の結果を実践のためのエビデンスとして活用するためには,報告の質を高める必要がある。今回作成したチェックリストによる項目記述数が多い論文では,相対的に報告の質が高いことが期待されることから,チェックリスト等を用いて報告された論文を継続的にモニタリングする意義はあると考えられた。
  • ─小学校の食に関する教職員対象の調査結果から─
    堀川 翔, 赤松 利恵, 堀口 逸子, 丸井 英二
    2011 年 69 巻 4 号 p. 193-198
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】小学校の教職員対象に行った郵送による質問紙調査の職種別の回収率を求め,回答者の属性を調べること。
    【方法】全国の学校栄養士,家庭科教諭,養護教諭の各1,075人(計3,225人)を対象に実施した食の安全教育の実施状況に関する自己記入式質問紙調査の結果を用いた(回収率26.2%)。学校栄養士には,雇用形態,勤務場所など,家庭科教諭には雇用形態,養護教諭には保健師免許の有無などをたずねた。回収率を,全体,都道府県別,職種別で算出した。
    【結果】無回答などを除いた有効回答率は,26.0%(838/3,225人)であった。職種別の有効回答率は,学校栄養士が17.3%(186/1,075人),家庭科教諭が27.6%(297/1,075人),養護教諭が33.0%(355/1,075人)であった。回答のあった学校栄養士のうち,栄養教諭として雇用されている人は29.0%(54/186人),小学校に勤務する人は71.0%(132/186人)であった。回答のあった家庭科教諭のうち,学級担任として雇用されている人は67.0%(199/297人)であった。
    【結論】質問紙の配布・回答がされやすい,またはされにくい属性があることが示唆された。本研究の結果は,学校栄養士を含む小学校の教職員を対象に,小学校を通して実施した郵送による質問紙調査の回収率の資料となると考える。
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