a 飼料中の脂肪の質とストレス負荷による影響を見るため, 同量同質の蛋白質 (含量30%, 蛋白価90) にラードと大豆棉実混合油の何れも30weight%を含む各飼料により約70日間白鼠を飼育しその成長と解剖後の臓器などを検討した結果, 何れもストレス負荷による影響を受けたがラード群の振動区は植物油の対照区よりもよく, すなわちラードの方がよい結果が得られた。
b 同質同量の脂肪 (大豆, 棉実混合油30 weight %) に同量異質の蛋白質 (含量30%, 動物性蛋白質, 蛋白価90群と, 植物性蛋白質, 蛋白価70群) を与えた場合, 両群の対照区を比べると90群の方が優れているが, 振動区は予期に反しその逆となった。このことは脂肪含量30%では前報に記した如き脂肪の悪影響により, ストレス負荷によるよりも脂肪の影響をより強く受け両群に著差のない結果となったものと思われる。
c 無糖質群 (大豆棉実混合油30%, 塩類, ビタミンの他は全部良質蛋白) はずっと悪く, ストレス負荷の影響も強く受けた。実験途中で無糖質群から低糖質群 (蛋白を10%糖質で置換したもの) の対照区を分離し設けたが, この群は無糖質群振動区よりはよいが無糖質対照区より成長などが悪かったことはさらに研究を要する点である。
d 低脂低蛋白 (脂肪5%, 蛋白12%, 蛋白価70) 群はやはり成長などが劣ったが, 特に実験期間中, 室温低下のための寒冷に対し抵抗力が減少したためか無糖質群振動区と同様に寒冷により体重が減少し, 無 (低) 糖質群対照区よりも下回わる体重となったことは興味ある問題である。
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