栄養学雑誌
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75 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 竹林 純, 松本 輝樹, 石見 佳子
    2017 年 75 巻 1 号 p. 3-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】食品の栄養成分表示は事業者の自己認証であり,表示値が適正であるか収去試験(第三者機関による実測試験)により確認される。収去試験を実施可能な機関は食品表示法に規定されているが,複数あるいずれの機関においても同等の分析値となる事が重要である。そこで,収去試験を実施可能な登録検査機関(食品衛生法)を対象に,技能試験を実施し,現状を調査するとともに,不適切な分析値が得られた場合の原因について検討した。
    【方法】栄養成分を均質に含む食品試料を非明示(原材料名のみ開示)で54箇所の登録検査機関に配付し,主要栄養成分(熱量,たんぱく質,脂質,炭水化物,ナトリウム)の測定を行った。報告値を統計的な外れ値ではないか,統計学的に許容されるばらつきの範囲内であるか,栄養成分表示における許容差の範囲内であるかの3つの評価基準を用いて判定した。
    【結果】全ての報告値が適正と判定された機関は49機関(91%)であった。一方,いずれかが要検証と判定された機関は5機関(9%,内訳(重複あり):熱量3機関,たんぱく質0機関,脂質2機関,炭水化物1機関,ナトリウム2機関)であり,原因の一つに極端な分析条件の設定が考えられた。
    【結論】今回,対象とした主要栄養成分に関しては,多くの機関で適正な分析が実施可能と考えられる。分析条件の設定等に関するノウハウを機関間で共有することで,分析技術のさらなる向上が期待される。
  • 硲野 佐也香, 中西 明美, 野末 みほ, 石田 裕美, 山本 妙子, 阿部 彩, 村山 伸子
    2017 年 75 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究は,日本において,世帯収入と子どもの食生活との関連を明らかにすることを目的とした。
    【方法】 2013年9~12月,東日本4県6市村の19小学校に在籍する小学5年生(10~11歳)及びその保護者を対象に自記式の質問紙調査を実施した。世帯収入が貧困基準以下の群とそれ以外の群に分け,食事区分ごとの食事摂取頻度,家庭での食品の摂取頻度及び外食の摂取頻度と世帯収入との関連について,χ2 検定を用いて検討した。その後,摂取頻度に関する項目を目的変数とし,説明変数は世帯収入として多変量ロジスティック回帰分析を行った。調整変数は児童の性別,居住地域としたものをモデル1,モデル1に家族構成を加えたものをモデル2とした。
    【結果】調査に同意が得られた1,231名のうち920名を解析の対象者とした。χ2 検定の結果,世帯収入群別に有意な差がみられたのは朝食,野菜,インスタント麺,外食の摂取頻度だった。多変量解析の結果,モデル1,モデル2共に,低収入群が低収入以外群と比べて,学校がある日,休みの日共に朝食の摂取頻度,家庭での野菜の摂取頻度および外食の摂取頻度が低く,魚や肉の加工品,インスタント麺の摂取頻度が高かった。
    【結論】日本において,世帯収入が貧困基準以下の世帯の子どもは,朝食,野菜,外食の摂取頻度が低く,肉や魚の加工品,インスタント麺の摂取頻度が高いことが示され,世帯の収入と子どもの食生活に関連があることが示唆された。
短報
  • 金光 秀子, 縄田 敬子, 富松 理恵子, 石田 裕美
    2017 年 75 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】高齢者施設入居者における血清セレン(Se)濃度とSe摂取量の関係を調べ,高齢者の栄養管理を適切に行うための給食管理上の課題を明らかにすることを目的とした。
    【方法】特別養護老人ホームに入居している女性9名を対象に3日間の食事調査を実施した。Seの摂取量は給食および自由摂取した食品を陰膳法にて採取し,化学分析による実測と同時に,食品成分表および「食品の微量元素含量表」を用いて計算した。また,対象者の血清Se濃度を測定し,Se摂取量との関係を調べた。
    【結果】調査対象者のSe摂取量の平均値は,実測値 51 μg,計算値 94 μgで,全員が推奨量以上であった。Se摂取量は,給食の提供量と有意な正の相関を示した。対象者の血清Se濃度は平均 76 μg/lであり,Se摂取量(実測値)と有意な正の相関が認められた(r=0.70 p=0.035)。Se摂取量(実測値)に最も寄与するのは魚料理(寄与率37.9%)であり,次いで肉料理(寄与率27.6%)であった。
    【結論】高齢者施設入所者の血清Se濃度は低値ではあるが,Seの栄養状態として欠乏状態にはないと予想された。また,Se摂取量は給食の提供量と関係するため,エネルギー,たんぱく質を最優先し,魚介類,肉類を主要な食品群と位置づけた食品構成表に則って献立作成をすることによってSeの不足を回避できることにつながると考えられた。
資料
  • 石見 佳子, 笠岡(坪山) 宜代
    2017 年 75 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】栄養表示は食品を選択する上で重要な情報であり,食による健康の保持・増進の拠り所となる情報である。栄養参照量は栄養表示をする際の基準となる値であるが,その策定方法は国によって異なる。本報告では,食のグローバル化を見据え,コーデックス委員会及び各国の栄養参照量を調査し,日本の値と比較することを目的とした。
    【方法】コーデックス,米国,カナダ,EU,オーストラリア・ニュージーランド,中国,韓国,日本の栄養参照量またはこれに相当する基準値について,各国の栄養表示を管轄する政府機関のウエブサイト及び担当官への聞き取り調査により調査した。
    【結果】コーデックス及び各国とも,ビタミン・ミネラルの栄養参照量については,食事摂取基準の推奨量に当たる値を基準に策定していた。ナトリウムについてはWHOの推奨値(2,000 mg)を採用している国が多かったが,カリウムについては必要量または非感染性疾患のリスク低減を目的とした量の両方が策定されていた。日本においては,両者とも生活習慣病の予防を目的とした目標量を採用している。各国の栄養参照量は,基本的にはコーデックス委員会の策定基準を採用しているが,細部においては独自の算定方法を採用していた。
    【結論】表示を目的とした栄養参照量の設定には,国際的な考え方との整合性のみならず,各国の栄養素摂取状況などの公衆栄養上の特徴を考慮することも重要であると考えられた。
  • 田中 久子, 清水 若菜, 十文字 沙樹, 瀧本 秀美
    2017 年 75 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】国民健康・栄養調査(旧国民栄養調査)の今後の結果活用に有用な基礎資料を作成することを目的に,これまで実施されてきた調査項目の系統的な整理のため,本研究を実施した。
    【方法】昭和21~平成25(1946~2013)年までの国民健康・栄養調査(旧国民栄養調査)の報告書から,20歳以上を対象とした食生活状況調査票および生活習慣調査票における調査項目の記述を抽出した。また経年比較を行うには5年程度は必要であると考え,比較可能年数が5年以上の項目について重点的に整理した。
    【結果】食生活に関する項目では,朝食の摂取状況で5年,欠食の頻度で6年,外食の頻度で6年分が比較可能であった。生活習慣に関する項目で10年比較可能な項目は,飲酒の頻度と現在の喫煙状況であった。平成15(2003)年までは,調査票の設問内容や選択肢の文言が一定していなかったが,それ以降の設問内容や選択肢の文言はほぼ同一であった。
    【結論】平成15(2003)年以降は,食生活,休養,飲酒,喫煙,歯の健康等の16項目について,20歳以上で同一条件による経年比較が5年以上可能であることが明らかとなった。平成15年以降の調査項目の統一には,国民健康・栄養調査の実施に関与した健康日本21評価手法検討会調査部会により,生活習慣調査において「毎年把握すべき項目」等が決められたことが影響していたと考えられる。
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