栄養学雑誌
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70 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 川野 直子, 金野 智恵, 鈴木 有美子, 河合 光久, 高田 敏彦, 瀬戸山 裕美, 池邨 治夫, 植木 幸英
    2012 年 70 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では便秘傾向の女子大学生を対象とし,Bifidobacterium breveヤクルト株,Streptococcus thermophilusLactococcus lactis,ガラクトオリゴ糖およびポリデキストロースを含む発酵乳の摂取による排便への影響について,ストレスレベル別に調べることを目的とした。
    【試験デザイン】プラセボを用いた無作為化二重盲検平行群間比較試験とした。
    【対象者】排便回数が週5回以下を基本とした92名の女子大学生で行った。
    【試験スケジュールおよび内容】観察期4週間(非摂取期間),飲用期4週間(摂取期間)の合計8週間とした被験者は,排便状況,食事の有無・主食の摂取頻度,起床時刻,就寝時刻および排便に影響を及ぼす可能性がある特記事項について毎日日誌に記録した。食物摂取頻度調査ならびCornell Medical Index-health questionnaire(CMI)を期間中約1ヶ月おきに実施した。
    【結果】試験飲料4週間の飲用は,観察期との比較で試験飲料群の排便頻度を有意に増加させたが,プラセボ群と群間差はなかった。解析対象者をCMI判別基準に基づくストレスレベル別に分類したところ,領域I(心理的正常)の試験飲料群では,同プラセボ飲料群と比較し排便頻度の有意な増加や,尿中フェノールの有意な減少が見られた。しかし領域Iよりストレスレベルが高い領域の群では,試験飲料の摂取によるそれらの現象は見られなかった。
    【結論】ストレスは,排便に対する発酵乳の飲用効果に,負の影響を与える可能性が示唆された。
  • 永井 成美, 脇坂 しおり, 高木 絢加, 山口 光枝, 森谷 敏夫
    2012 年 70 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】我々はこれまでに,腹壁電極から胃の活動電位(胃電図)を導出・解析する方法により胃運動を測定し,飲水(冷水・温水)が胃運動を一過性に増大させることや,胃運動の強さと食欲には関連がみられたことを報告している。本研究では,刺激味を有する液体が胃運動や食欲感覚へ及ぼす影響を検討することを目的として,香辛料(カレーパウダーとコンソメ)を含むスープ(Spice)と等エネルギー・等Na量で風味がないプラセボスープ(Control)を用いて比較試験を行った。
    【方法】若年女性12名に異なる2日間の朝9時に,SpiceまたはControlをランダムな順序で負荷した。ベッド上で胃電図,鼓膜温,心拍数をスープ負荷20分前から負荷40分後まで測定し,食欲感覚(空腹感,満腹感,予想食事量,満足感)は,負荷20分前,負荷直後,40分後の3回測定した。胃運動の強さは,胃電図から徐波,正常波,速波の各パワー値を計算し負荷前を基準としたパワー比を評価に用いた。
    【結果】Spice負荷後の胃運動は,徐波,正常波,速波パワー比ともにControlと比較して高い傾向が示された。Spice負荷後の食欲感覚は,満腹感と満足感でControlと比較して有意に高値を示した。鼓膜温,心拍数は両スープとも負荷後に上昇したが,鼓膜温(増加量)はSpiceでControlよりも有意に高値を示した。
    【結論】香辛料を含むスープ摂取後には,胃運動が増大する傾向があること,満腹感と満足感が高まること,負荷直後の体温が上昇することが等エネルギー・等ナトリウムのプラセボスープとの比較により示唆された。
短報
  • 大滝 裕美, 西川 誠太, 岡 純, 稲山 貴代
    2012 年 70 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】サッカー少年団・クラブの小学4・5・6年生男児の食生活全体の評価を行い,QOLと関連する食生活要因を明らかにすることを目的とする。
    【方法】小学4・5・6年生の男児75名を対象とした(有効回答率93%)。自記式質問紙調査の枠組みは食生活全体が評価できるようにQOL,健康・栄養状態,行動,中間要因,準備要因,属性,食環境,運動と栄養との関わりとした。QOLを従属変数とし,他の食生活要因との関連を二項ロジスティック回帰分析にて検討した。
    【結果】食生活全般を枠組みにそって評価すると,QOLや食べる行動,主食に関する準備要因,食環境に良好な回答が多く,食事づくり行動や食情報交換・活用行動の積極的な回答は少なかった。QOLを従属変数とした二項ロジスティック回帰分析の結果,「健康度自己評価」に家族との共食頻度(夕食),ご飯をしっかり食べるセルフ・エフィカシー,運動後の栄養補給の頻度,「食事の楽しさ」に栄養や食事に関する学習に対する意欲,運動後の栄養補給の頻度,「食事のおいしさ」に家族との共食頻度(夕食),ご飯をしっかり食べる結果期待,ご飯をしっかり食べるセルフ・エフィカシー,保護者にからだに良い食事を作ってといえるが関連していた。
    【結論】スポーツ活動をしている児童の食教育では,具体的な食行動に関する学習目標を設定し,準備要因をより高めつつ,スポーツ活動との関わりをもつ内容を含むプログラムによる介入企画の必要性が考えられた。
資料
  • 佐藤 ななえ, 岩部 万衣子, 吉池 信男
    2012 年 70 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】日本人乳幼児における,栄養素等摂取量もしくは食品群別摂取量を定量的に報告した論文を系統的に収集し,栄養素等及び食品群別摂取量の経年推移の観察,食事摂取基準の策定,食品中の化学物質の曝露評価等に必要な情報の記述状況を整理し,その活用可能性と障害を考察する。
    【方法】栄養学雑誌,日本栄養・食糧学会誌及び小児保健研究の3誌(創刊号から2010年)についてはハンドサーチで,他紙については,医学中央雑誌及びMEDLINEを用いて検索を行い,該当論文を抽出した。
    【結果】栄養素等及び食品群別の摂取量の両方あるいは一方が記述されている論文は,25件(ハンドサーチ21件,医学中央雑誌3件,当該論文における被引用1件)であった。栄養素等及び食品群別の摂取量の両方を記述した論文10件,何れか一方15件であり,発表年別では,2003年より前が20件,それ以降5件,調査対象別では,乳児6件,幼児19件であった。また,食事調査方法の記述が不明確なものが3件あり,食品群の区分が論文により大きく異なっていた。
    【結論】学術雑誌に掲載された当該論文は,25件と少なく,近年の論文,乳児を対象とした論文はさらに少なかった。今後,容易にアクセス可能な報告の推進,統合可能なデータ記述,基礎データを収集・統合して活用可能なシステムの構築が必要と考えられた。
  • 永井 成美, 赤松 利恵, 長幡 友実, 吉池 信男, 石田 裕美, 小松 龍史, 中坊 幸弘, 奈良 信雄, 伊達 ちぐさ
    2012 年 70 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】養成施設卒業時点で到達が必要な専門的実践能力を抽出し,卒前教育レベルの管理栄養士のコンピテンシー測定項目を開発する。
    【方法】1)国内外の開発例から枠組みを整理し,管理栄養士のコンピテンシー・モデル(A:基本,B:共通,C:職域別の3層構造)を作成した。2)養成施設卒業時点で到達が必要な専門的実践能力を以下の順序で抽出した。(1)1次抽出:「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム」の到達目標からモデルのA~Cに相当するコンピテンシー項目を,職域別(臨床栄養,公衆栄養,給食経営管理)に,各分野の専門家パネルが抽出した。(2)2次抽出:1次抽出項目をカード化し,各職域共通の内容や概念を含む項目を整理,統合したのちにA~Cに再分類した。(3)最終抽出:2次抽出項目から,卒業時点で到達すべき特に重要な項目を抽出し,コンピテンシー測定項目とした。
    【結果】1次抽出で582項目,2次抽出で125項目を抽出した。最終抽出により,卒前教育レベルの管理栄養士のコンピテンシー測定項目として,A:基本コンピテンシー(価値観,自己確信,意欲,態度の4項目),B:共通コンピテンシー(管理栄養士業務の基盤として特に重要な専門的実践能力29項目),およびC:職域別コンピテンシー(公衆栄養,臨床栄養,給食経営管理の各職域で特に重要で到達すべき最低限の専門的実践能力7項目)の合計40項目を決定した。
    【結論】管理栄養士のコンピテンシー・モデルを作成し,専門家パネルを用いて卒前教育レベルの管理栄養士のコンピテンシー測定項目を開発した。今後は,養成課程4年生の到達度評価や,高い到達度を生み出す要因の分析に活用したい。
  • 中村 愛美, 吉田 智, 西郊 靖子, 林 静子, 鈴木 靖志
    2012 年 70 巻 1 号 p. 59-70
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】デンプン系,グアーガム系,キサンタンガム系およびその他の各種市販とろみ調整食品が緑茶,牛乳,オレンジジュースおよび味噌汁に与える影響を物性面から解析し,性能に基づくとろみ調整食品の分類を行うことを目的とした。
    【方法】15種類のとろみ調整食品を4種類の食材に溶解して調製した各種とろみ液の粘度およびテクスチャーを測定し,とろみ調整食品の機能性を反映する指標として,粘度力価,添加時および安定時粘度ばらつき,初期粘度発現率および付着性を算出した。さらにこれら5つの指標を用いて主成分分析およびクラスター分析を行った。
    【結果】粘度力価は4種の食材すべてについてグアーガム系が大きかった。添加時および安定時の粘度のばらつきはとろみ調整食品の種類と食材の組合せによって傾向が異なった。初期粘度発現率は食材によって特徴があり,緑茶ではキサンタンガム系が,オレンジジュースではデンプン系が高い値を示した。付着性は4種の食材すべてについてデンプン系が大きかった。5つの指標を用いて食材別に主成分分析を行なうと,とろみ成分による分類とは異なる分布を示した。一方,全食材の5つの指標を説明変数にとり,クラスター分析を行った結果,とろみ成分に応じたクラスターが形成された。
    【結論】市販とろみ調整食品が食材の物性に及ぼす影響をもとに分類を行なうと,各とろみ剤の特徴が食材の種類によって異なることが明らかとなった。したがって,とろみを付与する食材や目的に応じて適切な製品を選択することが重要である。
  • 川田 由香, 久保 泉, 丸山 智美, 神田 知子, 石田 裕美
    2012 年 70 巻 1 号 p. 71-81
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】病院という職域にある管理栄養士が必要であると感じている調理理論と技術を明らかにする。
    【方法】総合病院22施設の栄養課に勤務する管理栄養士58人を解析対象とした。質問は,管理栄養士国家試験出題基準に準じた30調査項目で構成した。
    【結果】28調査項目で「必要である」「どちらかといえば必要である」と回答した者が9割を超えた。勤務年数が対象者の必要とする調理理論と技術に影響を与える可能性を検討した。勤務年数10年ごとに4区分した勤務年数1~9年,10~19年,20年~29年,30年以上による比較では,回答選択肢間で有意差を認めた項目はなかった。管理栄養士養成施設カリキュラム改正前後の勤務年数により区分した勤務年数1~4年,5~19年,20年以上の3区分による比較では,「調理操作と栄養成分の変化の体験的理解(調理科学実験)」において,勤務年数5~19年の者は,20年以上の者と比較して必要性を感じている者の割合が高かった(p<0.05)。「食品構成」において,勤務年数5~19年(p<0.05)と20年以上(p<0.05)の者は1~4年の者と比較して,必要性を感じている者の割合が高かった。
    【結論】管理栄養士国家試験出題基準に準ずる基礎的な調理理論と技術の習得は,病院に勤務する管理栄養士の専門性にとって必要であった。就労後必要とされる調理理論と技術は,勤務年数に影響される可能性がある。
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