年齢・性別および地域別による排便回数と排便状況との関連性について検討を行うために, 大阪の女子学生 (242名) とその母親 (63名) と父親 (52名), および福岡 (172名) と韓国の大邱 (142名) の女子学生についてアンケート調査を行った。なお, 排便回数が週に3回以下のものを便秘とみなし, 各調査項目のクロス集計は
x2検定を用いた。
(1) 年齢・性別による排便状況
1) 便秘の人は学生16%, 母親19%, 父親4%であり, 3グループ間の排便回数状況に差がみられた (
p<0.001)。
2) 排便回数の減少に伴い, 硬便の比率の増加が学生 (
p<0.001) と母親 (
p<0.001) でみられた。他方, 3グループ間での便の性状には差がみられなかった (
p<0.10)。
3) 排便に要する時間と排便回数について, 父親 (
p<0.005) で関連性がみられた。また, 学生, 母親, 父親の順に排便に時間を要した (
p<0.001)。
4) 排便の時刻と排便回数に関連性がみられ (学生
p<0.001, 母親
p<0.OO1, 父親
p<0.005), 便通のよい人では起床から朝食後に81%以上の排便率であったが, 便秘の人の場合には排便時刻の分散がみられた。また, 3グループ間に排便時刻の差がみられた (
p<0.001)。
(2) 地域別による女子学生の排便状況
1) 便秘の人は大阪16%であるのに対し, 福岡31%, 大邱61%と多く, 3地域の対象者間に排便回数の差がみられた (
p<0.001)。
2) 排便回数の減少に伴い, 硬便の比率の増加が大阪 (
p<0.001) と福岡 (
p<0.005) でみられた。他方, 3グループ間での便の性状には差がみられなかった (
p<0.25)。
3) 排便に要する時間と排便回数について, 福岡 (
p<0.05)で関連性がみられた。また, 福岡, 大阪, 大邱の順に排便に時間を要した (
p<0.001)。
4) 排便の時刻と排便回数に関連性がみられ (大阪
p<0.001, 福岡
p<0.005, 大邱
p<0.005), 排便回数の減少に伴い起床から朝食直後の排便率の低下がみられた。また, 排便の時刻について3地域間に差がみられた (
p<0.001)。
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