働き盛りの男性を対象に, 摂取エネルギー量1,000kcal当たりのカルシウム (Ca), カリウム (K), マグネシウム (Mg) の各摂取量と食物摂取状況や肥満に関係する食習慣との関連を検討し, 以下の結論を得た。
1) 1,000kcal当たりのCa, K, Mgの各摂取量を各々25%タイル値, 75%タイル値で3群に分割し, 食品群別摂取量を検討すると, Ca, K, Mgのいずれも1,000kcal当たりの摂取量の多い群は, 少ない群に比べ野菜類, 豆類, 魚介類を多く摂取し, 穀類, 肉類では逆に少なく摂取していた。
2) 1,000kcal当たりのCaの摂取が多いほど, K, リン (P), 鉄 (Fe) の摂取量も高値傾向を示した。1,000kcal当たりのKの摂取が多いほど, Ca, Mg, Pの摂取量も高値を示した。1,000kcal当たりのMgの摂取が多いほど, Ca, K, P, Fe, 亜鉛, 銅の摂取量も高値傾向を示した。
3) 肥満になりやすい食習慣が多いほど, 1,000kcal当たりのCa, K, Mg摂取量は少なかった。
4) 食べることに無関心であったり, 満腹まで食べる者は, Ca, K, Mgいずれの栄養素においても1,000kcal当たりの摂取量の少ない群に多く認められた。また, 1,000kcal当たりのCa摂取量の少ない群では, 朝食の欠食が多く, 1,000kcal当たりのKとMgの摂取量が少ない群では, 夜食の摂取が多く認められた。
5) 以上より, 単位エネルギー量当たりのCa, K, Mg摂取量は, 栄養調査成績での食品群別摂取量や, エネルギーとミネラルの摂取バランスと客観的に関連しており, 肥満に関係する食習慣との関連も認められた。
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