栄養学雑誌
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77 巻, 5 号
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研究ノート
  • 佐藤 陽子, 小林 悦子, 千葉 剛, 梅垣 敬三
    原稿種別: 研究ノート
    2019 年 77 巻 5 号 p. 113-122
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】サプリメントの不適切な利用や健康被害が懸念されている。そこで,若年女性にサプリメントに関する正しい知識を普及するため,実態調査結果を踏まえた啓発リーフレットを作成し,その有用性を検討する。

    【方法】2015年10月~11月に女子大学・短期大学生230名を対象にサプリメントに対するイメージ,サプリメント利用状況,性格特性,食物摂取頻度について調査した。サプリメントに対するイメージをクラスタ分析にて分類し,得られたクラスタと有意な関連が認められた項目を主として用い,サプリメントに対するイメージを推測するYes/Noチャートを作成後,Yes/Noチャートを活用した啓発リーフレットを開発した。さらに2017年11月に女子短期大学生190名を対象に,啓発リーフレットのユーザビリティ調査を実施した。

    【結果】サプリメントに対するイメージは3つのクラスタに分類でき,作成したYes/Noチャートにて,この分類のおおよその推測が可能であった。また,啓発リーフレットによる情報提供は,女子短期大学生のサプリメントについての基本事項の認識を変化させることができた。

    【結論】本研究にて開発したリーフレットは,対象の女性に興味を持って見てもらえ,認識の変化にも寄与できたことから,サプリメントに対する正しい知識の普及に活用できる可能性が示唆された。

実践活動報告
  • 斉藤 由紀子, 武安 眞珠, 及川 正文, 瀧本 秀美
    原稿種別: 実践活動報告
    2019 年 77 巻 5 号 p. 123-132
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】東京都下で20年以上開催されてきた「男性のための料理講座」参加者の食に対する意識・行動を把握し今後の講座運営に資するため,講座終了時質問紙調査結果の分析を行った。

    【方法】平成19~28年に公益財団法人C福祉公社主催生きがい介護予防講座「男性のための料理講座」に参加し,講座終了時質問紙に回答した87名の結果を分析した。本講座では年5回栄養の講話と調理実習を行っている。質問紙では「参加の動機」・「家庭での調理の有無」・「講座の献立」・「食意識の変化」・「満足度」・「実施回数」に関する調査を行った。

    【結果】「参加の動機」では「料理技術の習得」28名,「退職後の仲間づくり」12名が上位を占めた。「講座の献立」は,「良かった」と「大変だった」と回答した献立名が共通していた。「家庭での調理の有無」では,講座の献立を作ってみた者が45名であった。参加の前後で食意識が変化したと回答した者が54名であり,それらの内容は料理への興味や調理技術,調理に対する気持ちであった。料理講座に満足していた者は63名であった。

    【結論】参加の動機から積極的な参加者が多く,大変だが充実感のある献立を望んでいると考えられた。また講座終了時の調査結果から,半数近くが家庭で調理をしており料理や調理技術への興味が高まったことが推察された。高齢者男性向けの料理講座は参加者にとって食事の自立へつながる可能性が示唆された。

資料
  • 山本 亜衣, 新冨 瑞生, 元井 彩加, 三浦 公志郎, 巴 美樹
    原稿種別: 原著
    2019 年 77 巻 5 号 p. 133-144
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】Dietary Approach to Stop Hypertension(DASH)食弁当を1日1食または2食摂取させ,血圧改善への影響を検討した。栄養素等摂取量,血液生化学検査,血球検査結果を解析し,血圧改善効果の要因を検証するためのパイロット研究とした。

    【方法】対照群を設定しない介入研究で,対象は九州女子大学関連施設の教職員,ボランティア31名を解析対象とした。研究期間である平成26年9月~11月の12週間のうち4週間の摂取期はDASH食弁当(マルハニチロ(株))を1日1食または2食摂取させた。試験項目は身体計測,血圧測定,食事調査,血液生化学検査,血球検査であり,九州女子大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。

    【結果・考察】DASH食弁当摂取期に血圧が低下する傾向はあるものの,統計学的な有意差は見られなかった。また,血中カリウム濃度の上昇がみられた。1食群,2食群ともに脂質,飽和脂肪酸摂取量は摂取期のみ「日本人の食事摂取基準(2015年版)」におけるエネルギー産生栄養素バランスの目標量の範囲内となった。両群ともにカリウム,カルシウム,マグネシウムは摂取期に増加し,2食群のみカリウムは目標量,カルシウム,マグネシウムは推奨量を満たした。

    【結論】DASH食弁当の血圧改善効果を検証するためには,十分なサンプルサイズで検討する必要がある。

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