栄養学雑誌
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73 巻 , 5 号
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原著
  • 小林 真琴, 小林 秀子, 石川 みどり, 横山 徹爾
    2015 年 73 巻 5 号 p. 159-169
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】長野県を例に,食事等生活習慣及び高血圧等のリスク要因と脳血管疾患死亡の地域差との関連について,保健医療資源及び社会経済的因子の影響を考慮して明らかにし,併せて効率的かつ効果的な対策の方向性を検討する。
    【方法】県内11保健所管轄区域を単位として,目的変数を脳血管疾患標準化死亡比の経験ベイズ推定値(EBSMR),説明変数を食事等生活習慣及び高血圧等のリスク要因,保健医療資源,社会経済的因子としてステップワイズ法による重回帰分析で検討した。生活習慣等のリスク要因は健康日本21(第二次)の循環器疾患分野の指標とし,県民健康・栄養調査データから保健所管轄区域ごとに年齢調整割合または年齢調整平均を計算して分析に用いた。特定健診受診率は全保険者分データで県全体を基準とした標準化比,保健医療資源は医師,一般病床,一般診療所,救急医療施設,就業保健師,行政管理栄養士・栄養士,食生活改善推進員,保健補導員等,社会経済的因子は人口,転出入の差,高齢者世帯,出生,婚姻,離婚,課税対象所得,完全失業者,第一次・二次・三次産業就業者とした。
    【結果】男性は特定健診受診率が低いほど,また,一般病床数が低いほど,女性は食塩摂取量が多いほど,EBSMRが有意に高い関連が認められた。
    【結論】長野県の脳血管疾患予防のための取組として,男性では保健医療の介入,女性では食生活の改善の重要性が示唆された。
  • 水元  芳, 徳永 亜紀子, 片桐 義範, 樋口 善之, 渡辺 啓子
    2015 年 73 巻 5 号 p. 170-181
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】病院に勤務する管理栄養士の職務満足度の現状を把握し,職務満足度に影響している要因を明らかにすることを目的とした。
    【方法】福岡県の病院に勤務する管理栄養士を対象として,2011年10月に郵送法による自記式質問紙調査を実施した。自由記載欄を設けて質的データの収集も行った。「職務満足度」に影響を与える要因は重回帰分析等によって検討した。質的データはテーマ的コード化による分析を行った。
    【結果】「職務満足度」の中央値(25~75パーセンタイル値)は62.0(50~76)/100点であった。単変量解析で「職務満足度」との有意な関連性が認められた項目は「年齢」(p=0.008),「患者とのコミュニケーション自己評価」(p=0.001),「他職種とのコミュニケーション自己評価」,「同職種との業務上のコミュニケーション自己評価」,「栄養補給法に関する業務の自己評価」,「栄養指導業務の自己評価」,「チーム医療に関する業務の自己評価」(いずれもp<0.001)であり,これらの変数を投入して行った重回帰分析において,最も影響力の大きい項目は「同職種との業務上のコミュニケーション自己評価」であった(β=0.247,p<0.001)。質的データ分析からは,同職種との良好なコミュニケーションが他職種,および患者とのコミュニケーションをサポートしていることが示唆された。
    【結論】本研究では複数の項目が管理栄養士の職務満足度に関連しており,職務満足度に最も影響を与えていた項目は同職種との業務上のコミュニケーション自己評価であった。
  • 赤堀 摩弥, 永田 順子, 日置 朝子, 宇津木 志のぶ, 近藤 今子, 中村 美詠子, 尾島 俊之
    2015 年 73 巻 5 号 p. 182-194
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】地域住民の食生活を把握するための食物摂取頻度調査票を開発し,その妥当性と再現性を検討する。
    【方法】平成14年国民栄養調査静岡県分データを基に静岡県版食物摂取頻度調査票(以下,静岡県版調査票という),さらに食物リスト数を絞り込み静岡県版食物摂取頻度調査票短縮版(以下,短縮版という)を開発した。短縮版の妥当性は3日間食事記録(2008年6月,17人)および1日間食事記録(2009年10~11月,491人)で,再現性は2回(2009年9~10月,18人)で,35(1日間食事記録では34)の栄養素摂取量は対数変換し,粗値と残差法によるエネルギー調整値のピアソン相関係数を,17の食品群別摂取量は粗値および 1,000 kcal当りのエネルギー調整値のスピアマン相関係数を求め検討した。
    【結果】静岡県版調査票は121項目の食物リスト,5段階(飲料)又は6段階(食品・料理)の摂取頻度,3段階のポーションサイズ,短縮版は食物リストが86項目となった。短縮版と3日間食事記録の間の栄養素の相関係数の中央値は粗値0.51,エネルギー調整値0.26,1日間食事記録との間ではそれぞれ0.33,0.35,食品群では0.24,0.29であった。再現性は2回の短縮版間の相関係数の中央値は粗値,エネルギー調整値が栄養素でそれぞれ0.63,0.76,食品群で0.66,0.68であった。
    【結論】短縮版は良好な再現性を有し,3日間と1日間の食事記録調査との比較という限界はあるものの,栄養素摂取量の推定においてある程度の妥当性を有することを示した。
短報
  • 野末 みほ, 石田 裕美, 硲野 佐也香, 中西 明美, 山本 妙子, 西 信雄, 村山 伸子
    2015 年 73 巻 5 号 p. 195-203
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究では,小学5年生の家庭での食事の手伝いの状況を明らかにし,家庭の食事の手伝いの状況に保護者の時間的及び経済的なゆとり感や子どもの共食の状況が関連しているかを検討した。
    【方法】4県6市村の19小学校に在籍する小学5年生(10~11歳)及びその保護者を対象とし,自記式の質問紙調査を実施した。食事の手伝いにおける性別の検討についてはχ2 検定またはFisherの正確確率検定を用いた。次に,食事の手伝いの各項目と保護者のゆとり感,及び子どもの共食の状況との関連を性別にχ2 検定にて検討した。その後,手伝いの各項目の有無を目的変数として,保護者の時間的及び経済的なゆとり感,朝食での子どもの共食の状況(朝食共食)及び夕食での子どもの共食の状況(夕食共食)を説明変数として,性別にロジスティック回帰分析を行った。
    【結果】男子に比べて女子は,料理,テーブルの準備,後片付け及び食器洗いの手伝いをしていると回答した者の割合が高かった。ロジスティック回帰分析の多変量解析の結果,男女共に食器洗いの手伝いと保護者の時間的なゆとり感,また,男子では,テーブルの準備の手伝いと夕食共食,女子では,買い物及び食器洗いと朝食共食に関連がみられた。
    【結論】小学5年生において,食事の手伝いの各項目には性差があった。男女共に,食器洗いの手伝いと保護者の時間的なゆとり感,また,男子ではテーブルの準備,女子では買い物及び食器洗いと子どもの共食の状況においても関連がみられた。
実践報告
  • 木下 康子, 増澤 康男
    2015 年 73 巻 5 号 p. 204-212
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】生活習慣病男性患者へ効果的な栄養指導を行うため,栄養指導時における家族同伴の有効性について,食事療法の継続,治療成績等の点から明らかにすることを目的とした。
    【方法】家族のある生活習慣病男性患者に食事療法の継続等について質問紙調査を実施し,栄養指導時に家族が同伴した患者(同伴群)55人,単独患者(単独群)27人に分けて比較した。また,質問紙調査の対象者以外も加えて検査値が得られた糖尿病患者を同様の2群に分け,栄養指導開始後3ヶ月,6ヶ月のHbA1c(JDS値),空腹時血糖値を指導開始時と比較すると共に,指導開始時との差を2群間で比較した。
    【結果】「食事療法を守っていますか」,「家族への働きかけを希望しますか」という質問に対する回答の分布は,同伴群と単独群で差がみられた。また,同伴群で治療方針が食事療法の患者では栄養指導開始3ヶ月後のHbA1cが,食事療法と服薬併用の患者では3ヶ月後及び6ヶ月後にHbA1cが有意に低下したが,単独群では,食事療法と服薬併用の患者の3ヶ月後のみ有意な低下がみられた。治療開始時からの検査値の差を両群間で比較したところ,食事療法のみの場合には,6ヶ月後のHbA1cに有意差がみられた。
    【結論】男性患者では栄養指導時における家族同伴が,食事療法の継続,血糖コントロールに有効である可能性が示唆された。
資料
  • 小島 唯, 赤松 利恵
    2015 年 73 巻 5 号 p. 213-220
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】学校給食における赤黄緑の3色食品群の群別の食品の出現割合を調査し,3色食品群に掲載する食品の内容を検討すること。
    【方法】2012年5~7月,東京都の公立小学校19校を対象に,2011年度の学校給食献立予定表を各校12日分ずつ収集した。主食と季節を分け,4区分の季節ごとに,献立の主食が米飯の日の献立,主食がパンの日の献立,主食が麺の日の献立各1日分を,各校の学校栄養職員・栄養教諭の任意で選択させた。献立表より,すべての食品を抽出し,文部科学省の3色食品群に沿って食品を3色または未分類に分類した。各群の食品の出現割合(%)を主食別に算出した(食品の出現回数/解析した主食別の献立の日数×100)。
    【結果】計16校(回収率84.2%)から主食が米飯の日,パンの日,麺の日各64日分,計192日分の献立を回収した。対象の食品は,210食品,延べ4,813食品となった。赤群の出現割合は,いずれの主食でも牛乳(63回,98.4%)が最も高かった。米飯の日では,次いで,みそ,肉類,大豆製品,魚,わかめ等が上位であり,パンの日では,上位10品目の中に,肉類,乳製品が多く含まれた。麺の日では,肉類,みそ,わかめ,チーズ等が上位に含まれた。
    【結論】赤黄緑の各群において,出現割合の高い食品が示された。また,出現割合上位の食品の中には,既存の食品群の教材に含まれない食品もみられた。
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