食品や料理のイメージは, その嗜好や選択を左右し, 栄養上影響を与えるものと考えられる。今回は食品と料理のイメージおよびその関連を探る目的で, 12歳以上の女子を対象にイメージ調査を行った。
取り上げた食品は, たん白質を多く含み, 主菜の材料とされる食品7種 (牛肉・豚肉・鶏肉・魚・卵・牛乳・豆腐) と, これらの食品を用いて調製される料理12種である。イメージの評定はSD法 (semantic diffrential method) に基づき, 評定尺度値は1~7, 相対立する刺激語8組を用いた。解析の結果, 以下の知見が得られた。
1) 7種の食品に対する好みの評定値は, 4.7~5.4の範囲に分布し,“好き”イメージが高い。最も好きイメージの高い牛肉は“高価でぜいたく”な食品ととらえられている。次いで豆腐の好きイメージが高く,“和風で安価”な食品としていた。
2) 若年層では肉類, 肉料理および洋風料理, 高年齢層では豆腐・魚および和風料理に対する好きイメージの評定値が高い。
3) 一般に関東では豚肉が好まれ, 近畿は牛肉を好むといわれるが, 今回の調査により関東でも豚肉より牛肉の好きイメージが高いことが明らかになった。
4) 豆腐・卵・牛乳は, 地域による有意差がなく,“安価で手軽”な食品のイメージが強く, 日常的によく定着している食品と考えられた。
5) 料理12種に対するイメージでは,“日常向き~来客向き”と“安価~高価”との相関が高く, 経済因子の影響が大きいことが察せられた。しかし,“日常向き~来客向き”と“質素~ぜいたく”との相関値は, 29歳以下の若年層 (0.048) と30歳以上の中・高年齢層 (0.774~0.859) との間で大きく分かれ, 食生活意識の相違がみられた。
6) 素材食品と料理とのイメージの関連で, 肉と肉料理とのイメージパターンがよく類似し, 強い素材意識がみられた。これに比して, 和風イメージの高い魚, 豆腐では, 調理法によるイメージパターンの変化がみられた。
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