栄養学雑誌
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68 巻 , 6 号
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報文
  • 中村 まり子, 橋口(石黒) 美智留
    2010 年 68 巻 6 号 p. 351-358
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    生活習慣病の予防には,食後早期の血糖値ならびにインスリン分泌の上昇を抑制することが重要である。本研究は,健常人12名を対象として,α-グルコシダーゼ阻害作用を持つ桑葉エキス(ELM)をでんぷん食品と一緒に摂取させ,食後血糖及びインスリン分泌に対する抑制作用を明らかにした。なお,本研究は,within-subjects, repeated measures designで実施した。米飯150g(糖質50g相当)とELM2.5g又は5.0g を添加した味噌汁を摂取した場合,コントロールである米飯150 gを摂取した場合に比べて,摂取30分後の血糖値及びインスリン分泌が有意に抑制された(p<0.05)。また,カレーに3.3g又は6.5gのELMを添加して米飯と一緒に摂取した場合にも食後早期血糖及びインスリン分泌抑制作用が観察された(p<0.05)。一方,米飯とELMを同時摂取することによって呼気への水素ガス排出は顕著に観察された。以上の結果,でんぷん食品とELMを同時に摂取するとELMの用量依存的に,食後血糖及びインスリン分泌を効果的にコントロールできることが明らかになった。また,ELMを含有する食品開発は2型糖尿病の予防に貢献できるものと考える。
    (オンラインのみ掲載)
  • 林 芙美
    2010 年 68 巻 6 号 p. 359-372
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    よりよい妊娠転帰と児の健全な発育のためには,妊娠期から産褥期にかけて,十分な栄養摂取と食生活および体重管理を確立するための継続的なフォローアップが不可欠である。そこで,料理ベースである“妊産婦のための食事バランスガイド”が,妊婦に対する栄養教育において有効なセルフモニタリングのツールになりうるかどうか検討した。
    東京都内の産科施設に通院していた妊娠18週までの42名の健康な妊婦から,2007年12月から2008年9月までに,本研究への参加について文書にて同意が得られた。そのうち,妊娠初期・中期・末期の計3回の24時間思い出し法による食事調査と質問紙調査を完了した36名を分析の対象とした。対象者はブロックランダム化割付により,栄養素・食物レベルで指導を行う介入群Aと料理レベルで指導を行う介入群Bに割り付けた。身体状況及び食物摂取状況の変化を検討した。介入群Bでは副菜のサービング数に有意な増加が示され,3回目調査時には望ましい摂取量の範囲にあった。食事のバランスを整えることに対する行動変容ステージ及びセルフエフィカシーは,介入群Bにおいてのみ有意に改善した。本研究により,個別指導に加えて“妊産婦のための食事バランスガイド”を用いたセルフモニタリングは,健康な妊婦における望ましい食行動の確立に有効であることが示唆された。
    (オンラインのみ掲載)
研究ノート
  • 平良 拓也, 後藤 健二, 高橋 弘彦, 藤井 久雄
    2010 年 68 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    本試験は,ヒューマンカロリメーター(Human Calorimeter: HC)を用いて24時間にわたり朝食,昼食および夕食のエネルギー消費量(Energy Expenditure: EE)の推移を比較し,異なる食事摂取タイミングが食後のEEに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
    夕食時の食後EEは,朝食時と比較して食後0-60分まで有意に高い値を推移し(p<0.05),昼食時と比較して食後0-50分まで有意に高い値を推移した(p<0.05)。しかしながら,夕食時の食前EEは,朝食時と昼食時と比較して有意に高い値を示した(p<0.05)。昼食時の食前LF/HF(Low Frequency/High Frequency)は,朝食時と比較して有意に高い値を示した(p<0.05)。夕食時の食後LF/HFは,食後10,30,80-90分において朝食時に対して有意に低い値を示した(p<0.05)。
    朝食摂取や昼食摂取によるEEの亢進が夕食時の食前EEに影響している可能性が示された。食事摂取が日内リズムの一要因である可能性が示された。
    (オンラインのみ掲載)
  • 宮崎 純子, 西村 節子, 河中 弥生子, 伯井 朋子, 丸山 広達, 梅澤 光政, 内藤 義彦
    2010 年 68 巻 6 号 p. 378-387
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    わが国の先行研究では,特定の食行動が肥満と関連していることを示唆しているものの,食行動改善と減量効果との関連を示した報告は少ない。そこで,本研究では,種々の食行動の変化と体重及び食事摂取状況の変化との関連について検討した。
    対象は,2003年9月~2008年8月に,大阪府立健康科学センターにおいて,一般人を対象に参加を募った減量プログラム「スリムで健康塾」を完了した女性144名(年齢19~78歳,BMI18.6~43.8kg/m2)である。2ヶ月半の本プログラムでは,8回の保健指導と2回の健康診査を行った。身体計測,血圧測定,血液検査,食事摂取状況並びに食行動調査については,この2回の健康診査時に行った。介入前後におけるBMIの変化量と食行動のスコアの変化量との関連をステップワイズ法による重回帰分析で検討した。
    本プログラムの実施後は,体重-1.8kg,BMI-0.8kg/m2,体脂肪率-1.5%,腹囲-3.6cmとそれぞれ有意に改善した(p<0.001)。エネルギー,炭水化物,脂質,砂糖,油脂類,菓子等の摂取量が有意に減少するとともに野菜類の摂取量と身体活動による消費エネルギー量が有意に増加した。さらに,食行動での改善が認められ,その改善度は,特に肥満者において顕著であった。ステップワイズ法による重回帰分析の結果,代理摂食の改善は減量に独立して関連していることが明らかとなった。すなわち,日本人の女性において,特に「代理摂食」の改善が,肥満改善に重要であることが示された(β=-0.284,p<0.001)。
    (オンラインのみ掲載)
  • 寺本 あい, 久保田 恵
    2010 年 68 巻 6 号 p. 388-396
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,乳幼児の食物アレルギー問題が増加している。そのため,保育所給食でのアレルギー対応が非常に重要である。そこで,本報では,保育所給食における食物アレルギー対応食導入が食材料費および調理作業時間に及ぼす影響を検討した。すなわち,小児の主なアレルゲンである卵・牛乳を含む3種のモデル献立と,卵・牛乳を除去した対応食を作成した。それぞれの献立を50食・調理担当者2名の規模で調理をおこない,調理作業時間と食材料費の分析をおこなった。その結果,代替食の全てを手作りした場合は,普通食のみの場合に比べ調理作業時間は7~45%増,食材料費は0~6%増となった。一方,代替食の一部に市販のアレルギー代替用食品を用いた場合は,手作りの代替食に比べ,調理作業時間の負担は軽減されたが(1~32%増),食材料費の負担は増大した(6~16%増)。しかし,負担の程度は,献立内容によって異なった。
    (オンラインのみ掲載)
事例報告
  • 玉浦 有紀, 赤松 利恵, 武見 ゆかり
    2010 年 68 巻 6 号 p. 397-405
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/18
    ジャーナル フリー
    目的:フォーマティブ・リサーチに基づいた体重管理プログラムを職域において実施し,プログラムのプロセス評価およびプログラム実施後の対象者の行動,BMIの変化を検討する。
    方法:都内にある運送業者の一営業所(社員317名)で実施した。プログラムの計画のため,環境調査と社員18名を対象にインタビュー調査を実施した(研究1)。フォーマティブ・リサーチの結果からプログラムを計画し,約6カ月間プログラムを実施した。BMI,体重管理における誘惑場面におけるセルフエフィカシーおよび対策行動,体重管理に関する知識などの変化をプログラム実施前後で比較した(研究2)。
    結果:フォーマティブ・リサーチの結果,勤務時間内に社員がプログラムに参加する時間を確保することが難しいことがわかり,食生活調査の個人結果返却と社内の休憩室の掲示板を用いたプログラムを実施した。その結果,対象者の36.3%(115名)が事前事後調査に回答し,21.5%(68名)が個人結果を受け取りかつポスターを利用したと回答した。後者では,体重管理の知識も増え(p=0.021),体重管理の誘惑場面における対策行動を実行する者が増える傾向にあった(p=0.064)。また,一日の菓子・嗜好飲料の回数も減っていた(p=0.001)。
    考察:本研究の解析対象者は,事前事後調査に回答した者であり,かつ本研究ではコントロール群を設定していないため,プログラムの効果は評価できない。本稿は,対象者のニーズをもとにプログラムを開発した点において先進性があり,職域での体重管理プログラムの事例として紹介するものである。
    (オンラインのみ掲載)
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