栄養学雑誌
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70 巻 , 4 号
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原著
  • 大滝 裕美, 稲山 貴代, 西川 誠太
    2012 年 70 巻 4 号 p. 219-235
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】競技レベルの高いサッカークラブに所属する男子小学生,中学生,高校生の食生活の特性の検討,QOLと食生活の構成要因との関連の検討を目的とした。
    【方法】小学生59名,中学生114名,高校生75名を解析対象とした(有効回答率100%,100%,99%)。自記式質問紙調査の枠組みはQOL,健康・栄養状態,食物摂取状況,行動(食行動,食情報交換・活用行動),中間要因(食行動の変容段階),知識・態度・スキル,属性,環境とした。
    【結果】中学生と高校生は家族と関わる食事づくり行動および家族との夕食の共食頻度が低かった。高校生は小学生・中学生にくらべ牛乳・乳製品の摂取頻度が低く,1日2回以上食べることをとても大切と考える者が少なかった。QOLと関連する食生活の構成要因は,中学生は「主体的にバランスのよい食事をとるときのスキルと食卓での家族との会話」,「主に副菜に注目した食べる行動」,高校生は「バランスのよい食事に対するセルフ・エフィカシー」,「主に副菜に注目した結果期待,セルフ・エフィカシー,行動変容段階と行動」であった。因子分析では小学生の解は得られなかった。
    【結論】本対象者では多くの項目に学校種による差は認められず,中学生や高校生の家族と関わる行動の頻度に思春期の特性が反映していると考えられた。QOLと食生活の構成要因との関連から,中学生は食事バランスを整えることを可能にするスキルの獲得,高校生はセルフ・エフィカシーをキーワードにしたプログラムというように,学校種によって食教育介入のアプローチを変える必要性が示唆された。
短報
  • 城戸 杏奈, 高村 仁知, 上田 由喜子
    2012 年 70 巻 4 号 p. 236-243
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】近年,絵本の読み聞かせ活動が盛んになっており題材も食育に関するものが多く見られるが,絵本を用いた食育の効果を系統立てて評価した報告はまだない。本研究では,低学年児童の発達段階において絵本を用いた食育の効果を明らかにするため,小学2年生の児童に絵本の読み聞かせを行い健全な食行動への動機付けが形成されるか検討する。
    【方法】N市内公立D小学校(以下公立小),N女子大学附属小学校(以下附属小)の各小学校別に2年生の2クラスずつをそれぞれ介入群と対照群に分け,事前・事後調査を行った。事前・事後調査では食知識と食態度(食べる意欲,感謝の心,食意識)について調査し比較検討した。研究期間は3カ月間とし,介入群には,絵本の読み聞かせを週1回(全9回),絵本だよりの発行を3週間に1回(全3回)実施し,研究期間中は絵本を貸し出し自由に読むことができる環境にした。
    【結果】公立小では教育後に,赤・黄・緑の食品の分類や植物の生態に関する食知識,残さず食べようという食べる意欲,食べ物の命について考える感謝の心に関する項目の一部に向上がみられた。同様に,附属小においても食知識,食べる意欲,食べることへの興味関心である食意識に関する項目の一部に向上がみられた。
    【結論】絵本を用いた食育により公立小と附属小の介入群の児童は,前者では食知識と食べる意欲および感謝の心の項目に,後者では食知識と食べる意欲および食意識の項目において,いくつかの望ましい変化が認められた。
実践報告
  • 新保 みさ, 赤松 利恵, 山本 久美子, 玉浦 有紀, 武見 ゆかり
    2012 年 70 巻 4 号 p. 244-252
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】成人を対象とした体重管理の誘惑場面における対策について,ゲームを通して学習できるカード教材「ベストアドバイザーFORダイエット」を開発した。本稿では,カード教材の解説を行うとともに,保健医療従事者によるカード教材の評価を報告する。
    【方法】2011年7月~10月に開催された市町村の保健医療従事者向けの研修会に参加した66名を対象にカード教材のゲーム式の使い方を実施した。ゲーム終了後に,質問紙を用いてゲームの感想や遊び方,体重管理の教材としての評価,属性をたずねた。また,質問紙の最後に意見や感想を自由記述で記載する欄を設けた。
    【結果】解析対象者は62名(女性:57名,91.9%)だった。「ゲームは楽しかったですか」,「体重管理の教材として役立つと思いますか」という問いに対してそれぞれ57名(91.9%),49名(79.0%)が「とてもそう思う/そう思う」と回答した。自由記述では,指導者向けの教材として利用したいという意見があがった。一方で,教材や遊び方について,ルールや内容が難しいなどの改善すべき点もあがった。
    【結論】体重管理の誘惑場面における対策に関する学習教材として,肯定的な意見が得られた。あげられた改善点をもとに,教材の見直しを行い,今後は一般成人を対象に実行可能性および教育効果について,検討をする必要がある。
資料
  • 辻 ひろみ, 名倉 秀子, 由田 克士, 石田 裕美
    2012 年 70 巻 4 号 p. 253-261
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】特定給食施設における管理栄養士業務能力を育成するための教育について,管理栄養士養成校で実施されている給食経営管理論分野及びこれに関連する科目の開講状況を把握し,問題点を明らかにすることを目的に以下の調査を実施した。
    【方法】管理栄養士養成校125校を対象とし,郵送による留め置き法でアンケート調査を行った。回答は給食経営管理論分野の教員に依頼した。
    【結果】給食経営管理論分野の科目は,管理栄養士学校指定規則にある講義または演習2科目,実習1科目の配置が66.7%を占めていた。給食経営管理実習の内容や学生が行っている業務は,栄養士養成課程の「給食の運営」であった。また,給食経営管理論分野の開講年次は,食事摂取基準の活用や,基礎知識の学習が同時期に行われている傾向がみられた。「食事計画」「献立作成」「食事摂取基準」「食品衛生」の学習が給食経営管理実習の前にない管理栄養士養成校が2割強であった。基礎学習項目を給食経営管理論分野の科目のみで学ぶ管理栄養士養成校は「献立作成」で27.5%,「食事計画」で33.3%みられた。
    【結論】給食経営管理論分野の科目は,管理栄養士学校指定規則に示す最小限の科目数で臨地実習開講時期までに開講している管理栄養士養成校が多かった。カリキュラムでは,給食経営管理実習の前に「食事計画」「献立作成」「食事摂取基準」「食品衛生」の基礎学習科目がない場合や,「献立作成」や「食事計画」の基礎を給食経営管理論分野のみで教えているなどの問題点が明らかになった。
  • 鈴木 道子, 片山 一男
    2012 年 70 巻 4 号 p. 262-273
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】諸外国の栄養専門職養成システム及びその関連事項の概要を明らかにし,日本のシステムとの比較を行う。
    【方法】国際栄養士連盟(ICDA)のホームページ及びICDA加盟栄養士会の英文ホームページの掲載内容から,栄養専門職の資格,その養成システムの概要とともに,関連事項(情報提供者である栄養士会のプロフィール等)を抽出する。
    【結果】(1)ICDA加盟42カ国のうち,職業上の肩書及びその認定機関を記載しているのは約半数であり,その認定機関は栄養士会を含め多様である。(2)資格認定のための学士等の取得条件については26カ国で記載され,その多くが学士以上の条件をつけているが,一部はそれ以外としている。(3)実習プログラムについては,24カ国で記載があり,500時間以上とされるICDAの国際基準を満たした実習プログラムが含まれていないとしている国は,台湾,日本,フランスの3カ国である。(4)養成数は記載がある国の中では,アメリカ合衆国の年間3,000人が最多である。(5)教育内容は,学術と実践の両面からなり,その内容は基礎的科学から応用分野まで幅広い国が多い。
    【結論】諸外国の栄養専門職養成システムは多様であるが,日本における実習要件の国際基準不充足は特記すべきである。諸外国の養成システムに関する研究を進めながら,日本におけるより良い栄養専門職養成システムを構築していく必要がある。
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