食行動の重要な因子と考えられる嗜好について, 1972年6月~1973年12月に米沢, 東京, 名古屋, 奈良, 姫路, 高松, 鹿児島の7地域の計933名の女子短大生を対象に, 荒井式嗜好調査表を用いて食品と料理の嗜好度を測定し, 地域別に比較検討した結果次のことがわかった。
1. 13食品の嗜好では, スパゲティがすべての地域で最も好まれ, 次いでパン, 卵が平均して好まれており, 嗜好度の低い食品はメルルーサ, 鯨肉, 鰺などである。
2. 豚肉は米沢と東京では好まれているが姫路と高松では13食品中最下位であり, 牛肉は奈良・高松で好まれている。鶏肉は標準偏差が大きく嗜好に開きがみられ, 米沢・東京では好まれるが姫路・奈良では好まれない。獣鳥肉類の嗜好は東京では余り較差がないが, 奈良・姫路・高松では差が大きい。
3. 調理法別の47種の料理のうち7地域を通じて好まれている料理は, ハンバーグ, スパゲティミートソース, サンドイッチ, ホットドックなどであった。次いで, かきたま汁, 卵焼, 豆腐の味噌汁, クリームコロッケ, ホワイトシチュー, マカロニサラダなどであった。
4. 米沢ではコーンスープなど牛乳を用いた料理が高い嗜好を示し, 鰺の料理もかなり好まれた。また, メルルーサについては90%の人が食経験をもっていなかった。
5. 肉類の料理の嗜好は地域差が大きいが, 中でも豚肉のカレーは米沢・東京で好まれ, 奈良・姫路・高松では47種の料理中最下位であった。
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