夏まきホウレン草である豊葉, ニユーアジヤ, 新日本の生と茹でたものについて, 葉身と葉柄のシユウ酸含量を測定し, 品種間の差異を認めると共に, 茹でることによるそれらシユウ酸含量に及ぼす影響を比較検討した。
1) ホウレン草の可食部の割合は, 生ホウレン草では90.3~92.3%, 茹ホウレン草では88.0~88.6%であり, 葉身と葉柄の量は反比例して品種間の差異を示している。また, 乾燥による歩止りは, 葉身, 葉柄とも, 茹でたものは生のものより少ない傾向を示した。
2) 生ホウレン草のシユウ酸含量は, 葉身では1g当り9.085~13.915mg, 全量504.2~840.7mg, 葉柄では1g当り0.995~1.945mg, 全量は35.2~58.1mg, 葉身と葉柄の合計では1g当り5.938~9.953mg, 全量は539.4~898.3mgであつた。葉身のシユウ酸含量に対する葉柄のシユウ酸含量は, 単位重量当り11.0~14.0%, 全量では6.9~9.2%であつた。
3) 茹ホウレン草のシユウ酸含量は, 葉身では1g当り5.134~6.511mg, 全量は315.7~415.1mg, 葉柄では1g当り0.464~0.501mg, 全量は11.3~14.2mg, 葉身と葉柄の合計では1g当り3.717~4.845mg, 全量は329.3~426.4mgであつた。また葉身のシユウ酸含量に対する葉柄のシユウ酸含量は, 単位重量当り7.1~9.8%, 全量では2.7~4.3%であつた。
4) 茹でることによるシユウ酸の除去量は, 葉身では単位重量当り43.49~53.21%, 全量は37.39~50.62%, 葉柄では単位重量当り49.65~76.09%, 全量は61.36~80.55%, 葉身と葉柄の合計では37.40~51.32%であつた。
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