イカ, 玉ねぎを試料とした “フライ” の「揚げ」過程前後の総脂肪酸量, 脂肪酸組成を測定し, さらに, 揚げ油の吸着量を求め, 豚肉と比較した。
重量変化の平均は, イカ83.4±7.4%, 玉ねぎ96.3±1.5%, 豚肉89.6±1.7%であり, 「揚げ」過程による重量減少率は, その脂質量よりも組織形態が大きく影響すると推察された。いずれの材料でも脂肪酸組成は揚げ油の吸着によって揚げ油の脂肪酸組成に近づいた。「揚げ」過程による脂肪酸の増加量はイカ12.4±0.7g, 玉ねぎ10.8±1.4g, 豚肉1.9±2.9gであり, 材料によって異なっていたが, 揚げ油の吸着量はイカ12.5±1.0g, 玉ねぎ11.4±1.7g, 豚肉8.2±1.6gであり, 材料による差は小さいものだった。したがって, “フライ” の脂肪酸の増加量は, 揚げ油の吸着量よりも食材からの溶出量を反映していることが明らかとなった。
これらの結果から, “フライ” に用いる揚げ油 (植物油) の選択の重要性が示唆された。
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