1) 女子栄養大学栄養クリニックにおいて, 低エネルギー食 (LE食) の外来指導をうけた被検者について, これらの食事の変化が, 血清コレステロール (chol), 中性脂肪 (TG), リポたん白画分に対して, どのように影響を与えるのかを調べることと, これらの値に影響を与える食事因子を検討することを目的とした。
2) 初診時の血清 chol 値は加齢とともに高くなる傾向を示した。
3) LE食により, 血清 chol 値は有意に低下し, 初診時 chol 値の高かった50歳代で有意に低下した。
4) 初診時の血清 chol 値が200mg/d
l以上の被検者で, LE食により血清 chol 値が有意に低下した。
5) 高TG血の被検者は, LE食で大部分が改善され, 高 chol 血の被検者の70%が改善された。
6) 心臓血管障害の遺伝的素因をもつ被検者は, 他の被検者に比べ, 高い血清 chol 値を示し, LE食による低下割合も少なかった。
7) 同年代では, 閉経前より閉経後のほうが血清 chol 値は高いが, LE食による効果は閉経後のほうが顕著であった。また, 初診時 chol 値が230mg/d
l以上の被検者の場合も, 閉経後のほうが, LE食による効果は大きかった。
8) LE食期で, preβ画分は少し, β画分はあまり変動せず, α画分は増加した。
9) 食事調査によると, LE食期で, chol 摂取量は増加し, エネルギー, 脂質, 特に動物性脂質の摂取量は減少していた。コレステロール食事性因子 (Φ) が有意に増加していたにもかかわらず, 血清 chol 値は低下した。S-1/2PはLE食により有意に低下していた。
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