栄養学雑誌
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76 巻 , 5 号
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原著
  • 石長 孝二郎
    原稿種別: 原著
    2018 年 76 巻 5 号 p. 99-108
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】がん治療対策食を考案するための予備的検討として,女子大学生を対象に,食材の温度とアンモニア混入時の食物臭に対する快・不快の相違を検討した。

    【方法】観察研究用の食材試料は煮魚煮汁とグレープフルーツ果汁,さらに各々に0.1%アンモニアを混入した試料の計4種類とした。食材試料の温度は 25°Cと 55°Cとし,ニオイ分析はにおい識別装置を用いた。また,女子大学生へのニオイに対する快・不快の評価はビジュアルアナログスケールで実施した。

    【結果】食材試料を55°Cに加温すると,煮魚煮汁は不快な気分となるが,グレープフルーツ果汁は快(心地よい)な気分のままであった。次に室温 25°Cで,試料に0.1%アンモニアを混入すると,煮魚煮汁は不快な気分が強くなるが,グレープフルーツ果汁は快な気分が維持されていた。しかし,今まで快な気分を維持していたグレープフルーツ果汁が0.1%アンモニアの混入と 55°Cの加温の2つの条件が加わると急激にビジュアルアナログスケール得点の低下が起こった。

    【結論】グレープフルーツ果汁は悪臭を中和もしくはマスキングする可能性が示されたが,その反応はある一定レベルの状態でプラトーに達し,残った悪臭が加温により上昇気流にのり,嗅上皮の嗅細胞にたどりつき,主観的な快な気分を打ち消した可能性が考えられた。

研究ノート
  • 山田 沙奈恵, 沼尻 幸彦, 和田 政裕, 山王丸 靖子
    原稿種別: 短報
    2018 年 76 巻 5 号 p. 109-120
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】我が国の健康食品について,医療従事者を含む消費者が持つ知識・認識等について調査し,表示認識およびニーズの実態を明らかにすることを目的とした。

    【方法】2015年1月~8月に一般消費者,薬剤師,管理栄養士,助産師を対象(合計有効回答数:1,502名)に,健康食品に対するイメージ,知識・認識等に関する無記名自記式質問紙調査を実施し,集団間の違いについて包括検定および対比較(χ2 検定,steel-dwass法)により検討した。本調査における健康食品とは,「健康の維持向上を目的としたすべての食品」と定義した。

    【結果】健康食品の知識は,一般消費者よりも医療従事者の正答率が高い傾向を示し,一般消費者と管理栄養士との間では有意な差が認められた。一般消費者と比較して医療従事者のポジティブイメージは有意に低い項目が多く,ネガティブイメージは有意に高い項目が多かった。どの集団でも,健康食品の認可機関としては「国」を希望する者が最も多く,機能性表示としてふさわしい段階は「健康増進に効果があること」,「病気のリスクを低減すること」の順となった。安全性に関するニーズは助産師が高い傾向を示した。

    【結論】一般消費者と医療従事者及び,医療従事者間にも健康食品に対するイメージ,知識・認識等には差が見られ,医療従事者であっても知識は十分ではなかった。表示の認可機関と機能性表示に対する期待の程度は,医療従事者の専門性により異なる傾向を示した。

  • 工藤 美奈子, 峯木 眞知子, 和田 涼子, 髙田 和子
    原稿種別: 短報
    2018 年 76 巻 5 号 p. 121-129
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】高齢者施設におけるエネルギー必要量の推定方法として,高齢者施設内での生活活動を基にした身体活動量の質問紙を作成し,加速度計や角度計による測定との比較から質問紙の有用性を検討する。

    【方法】対象者は介護保険施設3施設に入所している70歳以上の16名とした。身体活動量の質問紙は,改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』を参考に作成し,施設の介護者に記入してもらった。同時期に加速度計と角度計による身体活動量調査を4日間行い,臥位,座位,立位の姿勢別時間を求めた。その姿勢別活動時間に活動強度(臥位1.0,座位1.4,立位 1.8 METs)を乗じて1日当たりの身体活動量を算出した。

    【結果】質問紙による1日の姿勢別活動時間の中央値は,臥位18.00時間,座位5.75時間,立位0.50時間で,身体活動量は 26.50 METs・時/日であった。加速度計による身体活動量は 28.04 METs・時/日,角度計では 26.96 METs・時/日で,3つの評価法による測定値には有意な差は認められなかった。

    【結論】質問紙から得られた結果に対し客観的指標である加速度計と角度計の身体活動量の差は小さかった。このことから,介護者が質問紙を用いて高齢者施設入所者の睡眠,入浴を除く日常生活活動についての姿勢を把握することにより,加速度計や角度計による測定と同程度の精度で身体活動量を推定できる可能性が示唆された。

  • 小池 恭子, 河嵜 唯衣, 玉浦 有紀, 赤松 利恵, 酒井 雅司, 藤原 恵子, 鈴木 順子, 西村 一弘
    原稿種別: 短報
    2018 年 76 巻 5 号 p. 130-137
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】保存期慢性腎臓病(CKD)患者において,食事療法に対する意思決定バランスを属性ごとに比較する。

    【方法】2016年2月~9月,都内1病院に通院するCKD患者54名を対象とし,食事療法に対する有益性,障害の項目を含む質問紙調査を実施した。初めに,各項目の人数分布を算出した。その後,有益性,障害の合計得点と性別,年齢,BMI,eGFR,糖尿病既往歴,調理担当者の項目でMann–Whitney U検定を用いて比較した。合計得点で有意差もしくは有意傾向のみられた属性は,各項目で得点を比較した。

    【結果】対象者54名中,男性は27名(50.0%)であった。有益性,障害の各々の合計得点と属性を比較した結果,有益性では有意差はみられなかったが,障害では,性別と調理担当者の2つの属性で,合計得点と有意差もしくは有意傾向がみられた(各々p=0.034,p=0.057)。障害の項目別では,「食事療法を行うと,食事の準備や選択に手間がかかる」の項目で性別に有意差がみられ,女性(2.0(2.0,4.0)点)よりも男性(4.0(3.0,5.0)点)の方が(各々中央値(25,75%タイル値)),食事の準備や選択に手間がかかると回答していた(p=0.02)。

    【結論】保存期CKD患者において,食事療法に対する有益性では属性による差はないが,障害では性別や調理担当者により捉え方が異なることが示唆された。

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