栄養学雑誌
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75 巻, 3 号
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資料
  • 小島 唯, 赤松 利恵
    2017 年 75 巻 3 号 p. 91-97
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/06
    ジャーナル フリー
    【目的】小学校における赤黄緑の3色食品群を用いた栄養教育の現状を明らかにすることを目的とし,個人要因に働きかける教育的アプローチと,学習の環境を整える環境的アプローチの2つの視点より検討した。
    【方法】2014年8月~2015年1月,東京都及び千葉県の栄養教諭・学校栄養職員1,065人を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,属性の他,食品を3群へ分類する際に参考にしている教材,3色食品群に関する栄養教育として,給食時間及び授業時間における教育,給食だよりや校内への掲示状況をたずねた。
    【結果】栄養教諭・学校栄養職員629人から回答が得られ(有効回答率59.1%),このうち小学校に勤務すると回答した者327人のデータを用いた(適格率52.0%)。給食時間に3色食品群の教育を行う者は,220人(67.3%)で,5年生が131人(40.1%)と最も多かった。給食時間に各クラスを回る頻度は,3色食品群の教育を行う者で行わない者と比較して,週当たりの回数が多かった(p<0.001)。授業時間に教育を行う者は全体で277人(91.1%),5年生で192人(58.7%)であった。3色食品群を給食だよりに掲載する者は306人(94.2%),校内に3色食品群の教材を掲示する者は263人(80.9%)であった。
    【結論】小学校において,給食時間,授業時間における3色食品群を用いた教育は,小学校5年生で最も多く活用されていた。また,赤黄緑の3色食品群は大多数の学校で給食だよりや校内掲示で活用されていた。
  • 田辺 里枝子, 山田 麻子, 祓川 摩有, 星野 亜由美, 奥 裕乃, 野田 聖子, 中岡 加奈絵, 中野 弘子, 五関−曽根 ...
    2017 年 75 巻 3 号 p. 98-103
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/06
    ジャーナル フリー
    【目的】出産後3,4か月の女性の体格と食習慣・生活習慣および骨量との関連について,骨粗鬆症予防のために検討することを目的とした。
    【方法】東京都T区I保健所で3,4か月児健康診査に来所した母親2,466人を対象に,身体状況,生活習慣,食習慣等についてのアンケート調査および超音波法による踵骨骨量測定を行った。対象者を体格指数(Body mass index: BMI)により,やせ群(18.5 kg/m2 未満),普通群(18.5 kg/m2 以上 25.0 kg/m2 未満),肥満群(25.0 kg/m2 以上)の3群に分けた。
    【結果】BMI 3群の内訳は,やせ群338人(13.7%),普通群1,964人(79.6%),肥満群164人(6.7%)であった。骨量の指標(Stiffness)は,「やせ群」が「普通群」または「肥満群」に比べ,有意に低値を示した(それぞれp<0.001)。また,「欠食することはあるか」という問いに対し,「はい」と答えた者は「やせ群」で24.6%,「普通群」で33.1%,「肥満群」で40.9%であり,やせ群,普通群,肥満群の3群間で有意な差が認められた(p<0.001)。
    【結論】出産後3,4か月の女性2,466人を対象に,超音波法による踵骨骨量測定を行った結果,「やせ群」が「普通群」や「肥満群」に比べ,骨量が有意に低値であり,体格と食習慣・生活習慣および骨量との関連について示すことができた。
  • 竹林 純, 山内 淳, 東泉 裕子, 石見 佳子
    2017 年 75 巻 3 号 p. 104-112
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/06
    ジャーナル フリー
    【目的】特別用途食品(えん下困難者用食品)の表示許可に係る試験では,直径 40 mm×高さ 15 mmの容器を用いて,物性(硬さ,付着性,凝集性)が測定されてきた(従来法)。ところが,近年この容器に満たない体積の食品が流通している。そこで,小型の容器を用いて試験を行う方法を開発し,その性能を試験室内で評価した。
    【方法】食品の物性はクリープメータを用いて測定した。直径 30 mm×高さ 15 mmの小型の容器に適したプランジャーのサイズについて検討し,新法を構築した。従来法及び新法を用いて,えん下困難者用食品の許可基準ⅠまたはⅡに相当する10種類の市販食品の測定を行い,両者の物性を比較した。さらに,試験者間の再現性についても検討した。
    【結果】直径 30 mmの小さな容器に適したプランジャーは,直径 16 mmの円柱型であった。食品の測定結果は,従来法と新法の間でいずれの項目も非常に高い直線性(R2≧0.987)を示した。ただし,新法による測定値は従来法と比較して,硬さで95%程度,付着性で142%程度,凝集性で85%程度であった。新法の分析精度は概ね従来法と同程度であり,試験者間における測定値のばらつきは同一試験者のそれに比べて1~2.3倍であった。
    【結論】小包装の食品について,従来の方法では適用困難な場合の分析方法を構築した。本検討と類似した物性を有する食品については,新法で得られた測定結果に,硬さは1.1,付着性は0.7,凝集性は1.2を乗じて補正することで,従来通り評価できると考えられた。
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