CKD(Chronic Kidney Disease;慢性腎臓病)治療には(1)CKDの原因となる腎臓病(原疾患)治療,(2)食事療法,(3)アンジオテンシンII受容体拮抗薬,(アンジオテンシン変換酵素阻害薬,(4)経口吸着薬,(5)合併症治療(虚血性心疾患,高血圧,脂質代謝異常症(高脂血症),貧血など)による集学的治療など5つの基本戦略がある.
これらのうち,食事療法のもつ意義は次のようにまとめられる。
1 生活習慣が関与している場合は,これを是正することにより原疾患の治療につながる。
2 たんぱく質の過剰摂取はたんぱく尿の悪化を招くので,その是正が必要である。
3 食塩の過剰摂取は高血圧,動脈硬化,更には糸球体細動脈硬化の原因になるので,食塩の過剰摂取の是正は不可欠となる。
4 糸球体に続く尿細管で起きている有機酸の過剰負荷をとることはCKDの進展抑制をもたらす。
5 アンモニア,リンの体内蓄積を抑制するための食事療法は有用と期待される。
6 CKDにおける鉄欠乏性貧血,ビタミンB
12,葉酸欠乏による貧血を治療することにより,進展を阻止することが期待される。
7 高尿酸血症を伴うCKDにはプリン体の摂取の適正化が必要である。
8 脂質代謝異常症(高脂血症)も悪化要因になるので,食事療法は不可欠となる。
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