栄養学雑誌
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71 巻 , 6 号
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原著
  • 加藤 友紀, 大塚 礼, 今井 具子, 安藤 富士子, 下方 浩史
    2013 年 71 巻 6 号 p. 299-310
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】日本人の一般地域住民における食事からのアミノ酸摂取量は明らかになっていない。本研究では2010年に文部科学省が公表した「アミノ酸成分表2010」を基に日本食品標準成分表に収載された食品のほとんどについてのアミノ酸成分表を置き換え法等によって構築し,それを用いて,地域在住中高年者のアミノ酸摂取量を明らかにすることを目的とした。
    【方法】「アミノ酸成分表2010」の収載食品337種を基に,「日本食品標準成分表2010」に収載され,アミノ酸成分表2010に収載されていない食品のアミノ酸組成を類似した食品のアミノ酸含有量で補完した。新規に構築した成分表を用いて無作為に抽出された地域在住中高年者2,115名(男性1,050名,女性1,065名,40~89歳)の3日間の食事秤量記録調査より18種のアミノ酸の一日平均摂取量を性・年代別(40,50,60,70,80歳代)に推定した。
    【結果】1,745食品のアミノ酸組成を収載した独自の「NILS食品アミノ酸成分表2010」を構築した。たんぱく質摂取量の94.5%をアミノ酸摂取量で説明する事が可能となった。ほとんどのアミノ酸摂取量は,60歳代で頂値となる逆U字型を呈した。女性のプロリンのみ年代が上がるにつれて摂取量が有意に減少する傾向がみられた。
    【結論】たんぱく質摂取量の94.5%をアミノ酸摂取量で説明する事が可能な食品アミノ酸成分表を作成した。それにより,地域在住中高年者のアミノ酸摂取量の性・年代別摂取量を明らかにした。
  • 小澤 啓子, 武見 ゆかり, 衛藤 久美, 田中 久子
    2013 年 71 巻 6 号 p. 311-322
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】自己申告による野菜料理皿数と,実際に食べている野菜料理の量,サイズ,及び種類の関連を検討すること。
    【方法】埼玉県内4市在住の30~50歳代384名(男性165名,女性219名)を解析対象とした。質問紙にて1日に野菜料理を何皿食べているか(1皿は小鉢1コ分程度)を質問し,「5~6皿」「3~4皿」「1~2皿」「ほとんど食べない」で回答を求めた。料理レベルの単位として食事バランスガイドのサービング(SV)を用い,1 SVの基準は野菜重量 70 gとし,2日間の食事記録から「野菜料理SV数」を算出した。さらに料理毎に算出した野菜料理SV数を4つの「野菜摂取SVカテゴリー」に区分した。次に野菜料理を単独料理11種,複合的な料理3種に分類し,野菜料理皿数の回答4群別に分析した。
    【結果】男女共に自己申告野菜料理皿数が多い者ほど野菜料理SV数が多かった(男性p<0.001,女性p=0.003)。最も多く食べている野菜摂取SVカテゴリーは 1 SV区分(0.65~1.24 SV)で(男性p=0.014,女性p=0.006),男女共に「ほとんど食べない」以外で1品/日/人以上食べていた。また,野菜料理皿数が多い者ほど単独料理の摂取品数が多かった(男女共p<0.001)。
    【結論】野菜摂取量増加のためには,1 SV区分の野菜料理や,単独料理を食べるといった,より具体的な食べ方の推奨が必要と示唆された。
短報
  • 會退 友美, 赤松 利恵, 杉本 尚子
    2013 年 71 巻 6 号 p. 323-329
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】幼児期前期の子どもの嫌いな食べ物は,1歳6ヶ月児から3歳児にかけて変化するかを既存の縦断的データを用いて質的に検討する。
    【方法】静岡県伊東市保健センターにおいて,平成12年度から15年度に出生した子どもを対象に実施した,10ヶ月児,1歳6ヶ月児,3歳児健康診査の全てを受診した1,313人分の問診票データを利用した。項目は,10ヶ月児の属性,1歳6ヶ月児と3歳児の属性および好き嫌いの有無,各年齢における嫌いな食べ物(自由記述)を用いた。また,1歳6ヶ月児と3歳児の両方で好き嫌いがあった者(以下,あり→あり)の内,嫌いな食べ物の内容を抽出して変化の内容を分類した。
    【結果】1歳6ヶ月児と3歳児における好き嫌いの有無から4群を作成した結果,“あり→あり”456人(38.7%),“あり→なし”150人(12.7%),“なし→あり”233人(19.8%),“なし→なし”339人(28.8%)であった。“あり→あり”のうち,両年齢で嫌いな食べ物が継続しているかを調べたところ,“嫌いな食べ物継続” 91人(7.7%),嫌いな食べ物が継続しなかった“嫌いな食べ物変化”は154人(13.0%),“判断不能の者”211人(17.9%)の3群に分けられた。
    【結論】1歳6ヶ月児と3歳児の両年齢で好き嫌いがあると回答している場合でも,その約半数は嫌いな食べ物が変化しており,その嫌いな食べ物の変化は多様であった。
実践報告
  • 藤岡 由美子, 沖嶋 直子, 水野 尚子, 中島 美千代
    2013 年 71 巻 6 号 p. 330-340
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】大学生が入学後の早期に,医療・福祉・保健の現場に触れる体験を通して,専門職に対する職業観を育み,大学での基礎的な学習に対するモチベーションを高め,専門職としての将来像を描くことを目的とした早期体験学習を,管理栄養士養成課程における導入教育として実践した成果を報告する。
    【方法】2007~2012年度の6年間に計12回の早期体験学習を実施した。1年生を大学病院に引率したことを機に,乳幼児健診や病院祭を見学する形式に発展させた。体験直後には早期体験学習の目的が達成されたのかを確認するため,体験者の4年次には早期体験学習が参考になったことや大学生活に与えた影響を検討するため,事後評価を実施した。
    【結果】体験直後の評価では,体験前は平均で68.5%が参加を楽しみにしており,体験後は平均で87.5%が参考になったと回答した。体験者の4年次の評価では,約85%が管理栄養士の業務が参考になり,約40%が臨地実習のイメージを明確にしたとして,約85%が早期体験学習への参加を後輩に勧めたいと回答した。
    【結論】早期体験学習は,職業観を育み,学習のモチベーションを高め,将来像を描く,という我々の目的だけでなく,社会における管理栄養士の使命や役割および活動分野の理解を通して管理栄養士を目指す気持ちを育む,という管理栄養士養成課程における導入教育の一般目標を達成するための実践であったことが示唆された。
資料
  • 小林 実夏, 石田 好美, 堀口 美恵子
    2013 年 71 巻 6 号 p. 341-349
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】若年女性を対象に菓子の摂取比率区分別にみた栄養状態の評価を行うことを目的とする。
    【方法】若年女性887名(年齢20.3±1.5)を対象に,半定量食物摂取頻度調査票による食事調査を行い,栄養素・食品摂取量を算出した。また,推定ヘモグロビン量と音響的骨評価値を計測し,それぞれ貧血と骨密度の指標とした。菓子の摂取比率の指標として,菓子のエネルギー比率(菓子からのエネルギー摂取量が総エネルギー摂取量に占める割合)を算出した。菓子エネルギー比率により対象者を5分位に分け,菓子の摂取比率による栄養素・食品摂取量,身体計測値の比較をした。
    【結果】菓子の摂取比率が高くなるにつれ,脂肪エネルギー比率,飽和脂肪酸エネルギー比率の増加がみられた(p<0.001)。菓子摂取比率が最上位群ではやせの者(BMI18.5未満)の割合が多かったが,菓子摂取比率と骨密度・貧血の指標との関連はみられなかった。菓子の摂取比率が高いほど,飽和脂肪酸,カルシウムおよび鉄摂取量への菓子の寄与率が高くなった。
    【結論】菓子の摂取比率によって若年女性の菓子の摂取比率を把握し,栄養状態を評価した結果,若年女性では菓子の摂取比率が高い群で,脂肪エネルギー比率,飽和脂肪酸エネルギー比率が高い,適切な食品からカルシウム,鉄を摂取していないなどの問題が明らかになった。青年期の好ましくない食生活が続くことで将来の生活習慣病につながる可能性が危惧される。
  • 外山 未來, 安部 景奈, 赤松 利恵
    2013 年 71 巻 6 号 p. 350-356
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】中学校給食の食べ残しに関連する要因を検討すること。
    【方法】2009年12月,東京都A区の公立中学校33校に通う2年生,142クラスの残菜調査,担任142名を対象にクラスの給食時間の状況に関する調査,生徒4,634名を対象に給食の食べ残しに関する自己記入式質問紙調査を行った。クラスごとの残菜率を中央値で2群に分け,喫食時間,給食時間中の取り組み,食べ残しに関する8項目との関連を検討した。
    【結果】残菜調査は142クラス中,134クラスから回答を得た(回収率94.4%)。134クラス全体の残菜率の中央値(25%,75%タイル値)は9.3(4.6,16.0)%であり,残菜率の低いクラスは71クラス(53.0%)であった。134クラス全体の喫食時間の中央値(25%,75%タイル値)は15(13,15)分であり,残菜率の低いクラスは,喫食時間が長いクラスの割合が高く(p=0.015),給食に関する取り組みの数の多いクラスの割合が高かった(p=0.040)。また,残菜率には食べ残しに関する8項目で関連が見られ,特に残菜率の低いクラスは,「きらいな食べ物がなかった」,「おいしかった」と回答した生徒の割合が高かった。
    【結論】中学校給食の残菜率が低いクラスは,喫食時間が長く,給食に関する取り組みの数が多かった。また,残菜率が低いクラスでは,「きらいな食べ物がなかった」,「おいしかった」と回答した生徒の割合が高かった。
  • 小暮 真奈, 佐々木 公子, 佐藤 佳子, 青栁 友美, 周 婉婷, 遠又 靖丈, 辻 一郎
    2013 年 71 巻 6 号 p. 357-366
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】東日本大震災による給食提供への被害の実態を明らかにすること。
    【方法】仙台市内の全認可保育所123施設を対象に質問票を配布し,全施設から回答を得た。調査項目は1)被害状況,2)給食提供の推移,3)栄養素等提供量の充足施設の割合,4)食品提供量,5)食品の入手先であった。充足の定義は「日本人の食事摂取基準(2010年版)の実践・運用」による給与栄養目標量の8割以上とした。
    【結果】全123施設のうち41%の保育所で建物に損壊を認めた。震災後の初平日(3月14日)には118施設のうち71%で何らかの給食を提供していた。98施設のうちエネルギー提供量が充足した施設の割合は,震災前(3月8~11日)で95%であったが,3月14日は20%,2週後(3月25日)は44%,3週後(4月1日)は70%であった。同様に,たんぱく質は91%・5%・24%・56%,カルシウムは75%・9%・25%・54%,ビタミンB1は78%・9%・32%・64%,ビタミンB2は86%・16%・33%・60%と,震災直後に減少し,その後増加した。97施設のうち食品群別の提供量の中央値は,穀類が震災前の 50 gから3月14日には 3 gへ減少した。魚介類,肉類,乳類も減少したが,果実類は震災前(45 g)と変わらなかった(40~60 g)。
    【結論】震災直後の3月14日にエネルギー提供量が充足した施設の割合は20%まで減少した。特にたんぱく質,カルシウム,ビタミンB1,ビタミンB2の提供量は充足した施設の割合が低かったことから,震災発生後ではこれらの栄養素を確保する重要性が示唆された。
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