ワラビの茹でによる重量・硬度・色調の変化とシユウ酸含量の消長についてしらべた。
1) 蒸留水で茹でる時間が長くなるにしたがつて, ワラビはその重量を増し, 硬度が小となり, シユウ酸の含量が減少する。
2) 重ソウ溶液 (0.1%) で茹でる場合は, 蒸留水で茹でる場合に比べて, ワラビはより多く重量を増し, 硬度が小となり, シユウ酸含量が減少した。しかし, 硫酸銅溶液 (0.1%) で茹でる場合は, 蒸留水で茹でる場合に比べて, ワラビは若干重量を減少し, 硬度の減少度が小で, シユウ酸含量の減少も小であつた。
3) 重ソウ溶液 (0.1%) で茹でたワラビは, 原色である緑色を鮮かに保ち, つぎは硫酸銅溶液 (0.1%) で茹でたワラビで, 蒸留水で茹でたワラビは緑色の保持が少なかつた。これらそれぞれに0.25N-HClを加えたところ, 重ソウ溶液区では緑色がほとんど消えて帯黄褐色となり, 硫酸銅溶液区では緑色がさえ, 蒸留水区では認める程の色調の変化はなかつた。
4) 即ち, この実験では, ワラビを茹でるときの重ソウの添加は, 組織の軟化, シユウ酸の除去に効果があるが, その茹でワラビの緑色は酸にあうと帯黄褐色に変化すること。酸を加えても緑色を保つ茹でワラビとするためには, 組織の軟化やシユウ酸の除去の効果が若干低いが, 硫酸銅溶液で茹でると効果のあることを数量的に明らかにした。
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