公団住宅2DKの住いにおける家事作業を測定した結果を要約すると次の如くである。
1) 被験者の生体測定値は日本人の標準体位とほぼ等しい値であつて, 基礎代謝の3名の平均は33.5Cal/hr/m
2で約1.5%低い。
2) 炊事作業のR. M. R. は
調理 (昼) R. M. R. 0.87作業時間32′28″
調理 (夕) R. M. R. 1.21 作業時間 60′05″
後片づけ R. M. R. 1.27 作業時間 11′14″
で日本人の栄養所要量 (1959年) によるエネルギー代謝率ならびに実働時間率と比較するならば, 炊事作業はおおよそ, 主作業のエネルギー代謝率の「軽い」1.0~1.9の分類に属することになる。
3) 布団上げ下げ
布団敷きのR. M. R. 3.91 2′45″
布団敷片づけ R. M. R. 4.08 2′28″
となり, 労働強度からみると「重い」労働, すなわち4.0~6.9の範囲に属する。
4) 掃除についてのR. M. R. は
掃く (手) R. M. R. 3.61 作業時間 4′15″
電気掃除器 R. M. R. 2.68 作業時間 9′51″
拭く R. M. R. 3.75 作業時間 7′00″
風呂場 R. M. R. 2.35 作業時間 12′15″
となり, 前出の労働強度からみると「中くらい」の2.0~3.9の範囲に位するR. M. R. である。
5) 入浴のR. M. R. は2.01で所要時間9′15″を要している。女子の入浴についてのR. M. R. 実測の例数が今迄ほとんど無いので, 比較する資料を持たないが, 労働強度から言えば「中くらい」の強度になる。
6) 階段昇降
2階 (緩) R. M. R. 4.35 作業時間 1′15″
2階 (急いで) R. M. R. 6.40 作業時間 35″
4階 (手ぶら) R. M. R. 5.09 作業時間 2′13″
4階 (昇り荷物降り手ぶら) R. M. R. 5.81 作業時間 1′40″
(荷重3.7kg)
となり, 前出の労働強度からすると「重い」(4.0~6.9) のエネルギー代謝率となる。
以上のように家事作業のR. M. R. を測定したが, その結果家事作業のR. M. R. は軽い労働から重い労働強度の区分にわたつて分散していることが明かになつた。至適状況における家事作業と, その最短時間との関連を立体的に組織だてるために, 今後も研究を積みたいと計画している。
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