栄養学雑誌
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74 巻 , 6 号
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短報
  • 能瀬 陽子, 林 育代, 藤永 莉奈, 鈴木 麻希, 小谷 和彦, 永井 成美
    2016 年 74 巻 6 号 p. 157-164
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】我々は,夕方から夜にかけて活動しやすい夜型指向の女子大学生で,朝に低調な心臓自律神経活動を示すとともに,その胃の動きが食事時刻のばらつきに影響されることを報告している。そこで,同じ食事時刻で寮生活を送る女子高校生を対象に,朝型-夜型指向と朝の胃運動および体温,血圧,心拍数等のバイタル指標との関連を調べた。
    【方法】2014年5月にA高校寮内に設けた測定室で,女子生徒41名の血圧,耳内温,心電図,胃電図を朝食前の時間帯に10分間測定した。心電図から平均心拍数と心臓自律神経活動を求めた。胃運動,すなわち1分間に約3回生じる空腹期胃運動の評価のために,腹壁表面の電極から胃の活動電位を導出し,その胃電図波形をスペクトル解析する方法でパワー(強さ)とピーク周波数(出現頻度)を求めた。生活習慣と朝型-夜型指向は質問紙で調査し,10項目の質問への回答を1~5点で採点した合計点を朝型-夜型スコアとした。本研究では,平均点(28.5点)以上を朝型傾向群,未満を夜型傾向群として各項目を比較した。
    【結果】夜型傾向群は,朝型傾向群と比べて1)平日と休日の起床時刻が有意に遅く,2)心拍数が有意に高く,3)胃運動ではパワーに差はなかったが,出現頻度は有意に高値を示した。
    【結論】寮生活を送る女子高校生において,夜型傾向群で起床後の高い心拍数が認められた。胃運動の減弱は認められず,定時の食事摂取が胃の予知活動につながったと考えられる。
  • 高木 絢加, 岸田 菜々, 鈴木 麻希, 武田 一彦, 木村 理恵, 永井 成美
    2016 年 74 巻 6 号 p. 165-173
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】我々は,温スープ摂取後の安堵感の上昇にはスープの嗜好性が,体温上昇にはスープの温度が関連することを若年女性において見出したが,スープ中のナトリウム(Na)の影響の程度は不明であった。本研究の目的は,日常で摂取している容量のNaが嗜好性・安堵感や主観的温度感覚,深部・末梢体温の上昇に及ぼす影響を,スープと食塩のみを除いたスープ(食塩無スープ)を用いた実験により明らかにすることである。
    【方法】前夜から絶食した若年女性12名に対し,スープ(Na 440 mg)摂取,食塩無スープ(Na 61 mg)摂取,スープ摂取なし(ブランク)の3試験を異なる日の朝9時より無作為な順序で行った。サンプル(65°C,150 ml)は5分間で摂取し,直後に嗜好調査を行った。深部体温(鼓膜温),末梢体温(手先温・足先温),心拍数は,摂取10分前から65分後まで測定し,安堵感と主観的温度感覚は質問紙で6回測定した。
    【結果】スープでは食塩無スープと比べて嗜好得点が有意に高く,摂取後の足先温(曲線下面積:AUC)も有意に高かった。重回帰分析より,足先温上昇に嗜好得点が関連していることが示された。安堵感,主観的温度感覚,心拍数の各AUCは,両スープともにブランクより高かったがスープ間での差はなかった。
    【結論】スープに含まれるNaは,食塩としてスープの嗜好性を高め,摂取後の足先温上昇に関与することが示唆された。一方,両スープ摂取後の安堵感,主観的温度感覚,鼓膜温,心拍数は類似した経時変化を示したため,本研究で用いたサンプルのNa濃度の影響は限定的だと考えられる。
実践報告
  • 會退 友美, 赤松 利恵
    2016 年 74 巻 6 号 p. 174-181
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】保育士と管理栄養士が連携し,スプーン・フォークと箸の正しい持ち方,食事中の正しい姿勢を身につけることをねらいとしたプログラムを実施し,その結果と課題を検討すること。
    【方法】2014年4~9月,都内A保育所(0~5歳児:59人)にて,3~5歳児(32人)を対象に,食事のマナーに関するプログラムを実施した。プログラムでは,5歳クラスのみ,自分自身で振り返りを行うセルフモニタリングを行った。プログラムの評価方法として,対象児の保護者アンケート,保育士による観察記録,保育士へのインタビュー中のコメントからプログラムの課題を整理した。
    【結果】プログラムに参加した子どもは,3歳クラス11人,4歳クラス11人,5歳クラス10人で,合計32人(参加率100%)であった。プログラムを実施した結果,食事中の姿勢,スプーン・フォークや箸の持ち方について,保育士から「まったくできない」と評価される子どもの数が少なくなった。また,保護者も子どもの前向きな変化を感じていた。保育士対象のインタビューにおいて,「子どもが楽しんで参加する様子がみられた」という肯定的な回答がみられた一方で,「子どもが飽きずに参加できるように教室の内容に変化をつける必要がある」など,いくつかの改善点があげられた。
    【結論】プログラムに対する肯定的な意見が得られた一方で,プログラム内容でいくつかの改善点がまとめられた。
資料
  • 永井 千恵莉, 須藤 紀子
    2016 年 74 巻 6 号 p. 182-190
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】主食・主菜・副菜の摂取状況に関する質問紙調査は,食生活の評価指標としてよく用いられている。この質問紙への回答が実際の摂取状況をどの程度正確に反映しているかを明らかにすることを目的とした。
    【方法】某女子大学の管理栄養士養成課程に所属する4年生33名から,主食・主菜・副菜の摂取状況に関する質問紙への回答と7日間の食事写真を得た。提出された食事写真から主食・主菜・副菜の摂取の実態を把握し,質問紙への回答との一致度,過少もしくは過大回答の傾向,相関を調べた。食事撮影後のインタビュー逐語録から,質問紙への回答と食事写真からみた摂取頻度が異なる理由をグループ化した。
    【結果】主食・主菜・副菜の摂取頻度に関する質問紙への回答は過少申告よりも過大申告が多くみられた。とくに主菜においては36.4%が過大申告していた。質問紙への回答と食事写真からみた摂取状況が異なった理由は,インタビューより(1)知識や意識の不足,(2)意識と実態のズレ,(3)質問紙への回答の不備の3要因に大別された。
    【結論】今回の結果からは,主食・主菜・副菜の摂取状況を質問紙調査により把握することは,過大申告傾向にあり,実際の摂取状況を正しく反映していない可能性が示唆された。
  • 中込 愛里奈, 須藤 紀子, 笠岡(坪山) 宜代
    2016 年 74 巻 6 号 p. 191-201
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】災害時の食支援に関するDVDを制作し,管理栄養士養成大学の授業に用いた際の教育効果を評価した。
    【方法】全国の管理栄養士養成施設(四年制大学)のうち,公衆栄養学,給食経営管理論,臨床栄養学の授業がまだ実施されていない新設校を除いた全124校に,3科目のいずれかをランダムに割り振り,該当する担当教員に調査を依頼した。73校からハガキの返信が得られ(回収率58.9%),そのうちの59校の担当教員から調査への協力が得られた(協力率80.8%)。担当教員の授業を受講する学生を対象とし,DVDの視聴及び,視聴前後の質問紙調査を実施した。
    【結果】視聴前後ともに質問紙を回収できた学生4,279名を分析対象とした。DVDの視聴により,92.0%の学生が災害関連法規と適用されるフェイズを全て正しく結びつけられるなど,知識の習得がみられた。また,被災地の病院や学校給食の現場で対応した管理栄養士の経験談を聴くことにより,「災害時に管理栄養士に必要とされると思うもの」として,「コミュニケーション能力」や「企業・地元業者との連携」を選択する学生が有意に増加した。
    【結論】本DVDは,災害時に食支援を行う際に必要となる災害関連法規などの知識を習得するといった点や,被災地における管理栄養士活動を知ってもらうという点において,教育効果がみられた。
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