栄養学雑誌
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71 巻 , 3 号
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原著
  • 小澤 啓子, 武見 ゆかり, 衛藤 久美, 田中 久子, 藤井 仁, 石川 みどり, 横山 徹爾
    2013 年 71 巻 3 号 p. 97-111
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】野菜摂取状況を簡便に把握する指標の利用可能性を検討するために,「野菜摂取の行動変容ステージ」及び「野菜料理摂取皿数」と野菜摂取量の関連,並びに,「野菜料理摂取皿数」と「目標量(350 g)の達成状況」の関連を検討すること。
    【方法】平成23年度埼玉県民健康・栄養調査で得られた30~50歳代385名(男性164名,女性221名)のデータ(質問紙と目安量法による食事記録2日分)を用いた。質問紙にて1段階目に1日に野菜料理を何皿食べているか(1皿は小鉢1コ分程度),2段階目に行動変容の準備性を尋ね,野菜料理摂取皿数と野菜摂取の行動変容ステージを把握した。野菜類は,緑黄色野菜類,その他の野菜類及び漬物類の合計量とした場合,さらに野菜ジュースを含めた場合について検討した。
    【結果】野菜摂取の行動変容ステージと野菜摂取量の関連は,男性のみに認められた。野菜料理摂取皿数と野菜摂取量の関連は,野菜ジュースを含めた場合に,男女共に認められた。野菜料理摂取皿数と目標量(350 g)の達成状況の関連は,男女共に野菜ジュースを含めない場合に,野菜料理摂取皿数「5~6皿」群が「2皿以下」群よりも 350 g以上摂取しているオッズ比が有意に高くなった。
    【結論】野菜摂取状況を簡便に把握する指標として,野菜摂取の行動変容ステージよりも野菜料理摂取皿数の方が,男女共通に利用でき,野菜摂取量の多少を簡便に把握する指標となり得る可能性が示唆された。
短報
  • 武山 清子, 鈴木 道子
    2013 年 71 巻 3 号 p. 112-119
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】地域において一人暮らしをしている後期高齢者の食生活を支える諸要因を明らかにする。
    【方法】2010年7月~8月,仙台市内S地区に一人で居住する後期高齢者20人(男性7人,女性13人;年齢76歳~96歳)の自宅に赴き,半構造化面接を実施し,基本属性,食生活関連事項等の情報を得た。量的データは自立群(12人)と要介護要支援群(8人)に分けて集計したのち,統計分析を行い,質的データは出された意見要望や考えを類型化する手法である川喜田により考案されたKJ法により分類し分析した。
    【結果】両群ともに,食事は自分で作る割合が高く,「惣菜の購入」「外食の利用」「出前の利用」「宅配弁当の利用」等の比較では,「宅配弁当の利用」のみ両群間で有意な差が見られた(自立群0%,要介護要支援群50.0%,p=0.014;以下群間比較同じ)。質的データからは,対象者の現在の食生活を支えている要因として,「若い時からの食事作りの習慣」(91.7%:87.5%)「公共交通機関を利用しての食材購入」(58.3%:12.5%,p=0.070),「配達を利用しての食材購入」(16.7%:37.5%),「家族・親族の支援」(8.3%:12.5%),「地域サポート連携」(両群とも100%)が抽出できた。
    【結論】地域で高齢者が一人暮らしを継続するためには,調理技術の修得,食材購入環境の整備,地域サポート連携等が重要である。
  • 山口 光枝, 高木 絢加, 森井 沙衣子, 北山 大輔, 角谷 和俊, 永井 成美
    2013 年 71 巻 3 号 p. 120-129
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】大学新入生に携帯電話を活用した朝食支援プログラムを実施し,効果を評価するとともに,より効果的な実践を行うための考察を行う。
    【方法】学部新入生全員(209名)が受講する情報の授業において,学生の携帯電話所持や料金プランを把握した。その上で,(1)受講生の一部にメールを毎週1回のペースで計8回配信する,(2)誰に送信しているかは公開しない,(3)受信者は内容を人に教えない,(4)8週後にメール配信した学生と残りの学生の行動を比較する,という方法で「模擬社会実験」を行うことを学生に伝えた。メール(朝食支援のURLへのアクセスを促す内容)を配信した学生を介入群(104名),残りの学生を対照群(105名)として,2回の質問紙調査やウェブへのアクセス状況から介入効果を評価した。
    【結果】1)アクセス人数の割合は初回が最も高く,次第に減少した。第5回からの追加メール配信開始以降に増加に転じたが再び減少し,最終回に増えるという変化を示した。2)ウェブコンテンツではレシピへの関心が高く,積極的閲覧者(High responder: HR)では介入後に料理の好きな者が有意に増加した。3)第2回調査では,介入群,対照群ともに変容ステージ維持期の者が減少し朝食欠食者が増加したが,これらの変化は対照群でのみ有意であった。
    【結論】朝食支援プログラムは,介入群の朝食摂取行動を改善させなかったが,悪化を緩和する可能性が示唆された。より有効な支援とするためには,調理と喫食に時間がかからず,経済性や保存性を考慮した朝食レシピの充実,インタラクティブなコミュニケーションツールの導入,セグメント化した対象のニーズに合った情報提供が望まれる。
  • 山内 有信
    2013 年 71 巻 3 号 p. 130-137
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】玄米発酵食品(FBR)摂取の血糖上昇抑制効果を,2型糖尿病モデルZucker fattyラット(ZDF)で検討した。
    【方法】ZDFは通常食群(DMC)とFBR摂取群(DMF)に群分けした。なお,非糖尿病コントロール(NDM)としてZucker leanラットも用いた。DMCおよびNDMの通常食には,通常の粉末玄米を2.5%,DMFの飼料にはFBRを2.5%添加した。ラットは3週間の飼育後に 2 g/kg BWのグルコースで経口糖負荷試験を行った。
    【結果】インスリン抵抗性を示すHOMA-R値について,DMFとDMCは,NDMに比べて有意な高値を示した。血糖値の変化について,DMCは投与後60分をピーク(427.4±20.2 mg/dl:平均±SEM)としたが,DMF及びNDMは投与後30分がピーク(DMF:318.7±16.2 mg/dl,NDM:166.1±5.1 mg/dl)であった。また,DMFの血糖値の低下はDMCに比べて速やかであり,糖負荷60分後,90分後,120分後のDMFの血糖値は,DMCに比べて有意に低かった。血糖値およびインスリンの合計時間曲線下面積について,DMFはNDMに比べて有意に高かったが,DMCに比べて有意に低かった。
    【結論】以上の結果から,FBRを添加した食餌の摂取は,2型糖尿病モデルラットの耐糖能を改善することが示唆された。
  • 秦 希久子, 稲山 貴代
    2013 年 71 巻 3 号 p. 138-144
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】在宅脊髄損傷者を対象に食関連QOLである食生活満足度と行動・ライフスタイル(食物摂取状況,行動),環境(食環境)との関係を明らかにすることを目的とした。
    【方法】社団法人全国脊髄損傷者連合会の登録会員2,731名を対象に,2011年9月郵送法による自記式質問紙調査を実施した。調査票はQOL(食関連QOL),食物摂取状況,行動,食環境を含む8つの概念で構成した。回答が得られた1,000名(回収率37%)のうち853名を解析対象とした(有効回答率31%)。従属変数は食関連QOLである「食生活満足度」とし,独立変数を「食物摂取状況」,「行動」,「食環境」として二項ロジスティック回帰分析にて単変量解析と多変量解析を行った。
    【結果】多変量解析で食生活満足度と関連がみられたものは,食物摂取状況では「緑黄色野菜」と「いも類」,行動では「自分の健康のために栄養や食事に気をつけているか」,「家族や仲間と食事や料理,栄養の事を話すか」,「健康診断受診有無」,食環境では「健康づくりに家族や周囲の人は協力的か」,「食生活について一緒に考える仲間の有無」,「よく利用する食料品店や外食店で栄養バランスの良い食品やメニューを得ているか」であった。
    【結論】在宅脊髄損傷者の食生活満足度に関連する行動・ライフスタイル(食物摂取状況,行動)と環境(食環境)は,副菜,積極的な自己管理,家族や仲間との会話,他者との関わり,食物へのアクセスであった。
実践報告
  • 新宅 賀洋, 千須和 直美, 小橋 麻衣, 田中 都子, 木村 美佳, 春木 敏
    2013 年 71 巻 3 号 p. 145-154
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】A府B市C校区では,2010年度より開始された国土交通省の「高齢者等居住安定化推進事業」の支援を受け,運営されている地域レストランがある。レストラン調製弁当の喫食ならびに食と運動の健康講座参加と会食を通じて,食生活状況および高齢者の精神的・身体的健康の状況を把握し,地域レストランと連携した高齢者の食生活支援プログラムにおける介護予防の有用性を検討した。
    【方法】事前に研究趣旨を説明し同意の得られた男性19名・女性30名の高齢者(65歳~92歳)49名が,会食群22名(3食喫食/週,講座への参加と会食),配食群14名(弁当の配食,3食/週),対照群13名に分かれて10週間のプログラムに参加した。各群とも参加前・参加後・終了1ヵ月後に,老研式活動能力指標,主観的幸福感などの自記式による質問紙調査を行い,食事バランス管理・運動の自己管理にはTAKE10!を用いた。
    【結果】会食群ではプログラム参加後,主観的幸福感が有意に高くなり,食品の多様性を心がけている者は,主観的幸福感が高いことおよび食生活満足度に正の相関がみられた。
    【結論】高齢者に対する10週間の地域レストランを活用した食と運動の健康講座は,他者との交流や会食によって主観的幸福感が高くなるという精神的健康の改善を促し,高齢者の介護予防の一助となることが示唆された。
資料
  • 池谷 真梨子, 柳沢 幸江
    2013 年 71 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究では,保育所における摂食に問題のある児の有無とその割合について明らかにするとともに,園児の発達段階に合った摂食機能獲得のための取組み状況について調査することを目的とした。
    【方法】調査は無記名自記式質問紙調査とし,郵送法で行った。対象は全国保育所より層化無作為抽出した1,500園とした。記入者は管理栄養士または栄養士,配置されていない場合には献立作成者とした。
    【結果】回収率は23.9%であった。摂食に問題のある児の有無で「いる」と回答した園の割合は,0~2歳で45.7%,3~5歳では33.3%であった。0~2歳,3~5歳に対する摂食に問題のある児の人数の割合は,共に5%未満が多く,その割合は0~2歳で37.5%,3~5歳で51.4%であった。園児の発達段階に合った摂食機能獲得のための取組み経験について,これまで取組みを行ったことのある保育所は49.9%であった。また,取組みに対する意欲を示した者は88.8%であった。
    【結論】保育所において0~2歳,3~5歳共に摂食に問題のある児がいると認識されていた。そして,園児の発達段階に合った摂食機能獲得のための取組みへの意欲を示した者に対して,取組みを行ったことのある保育所は約半分であったことから,実際に取組みを行うことの難しさが示された。今後,管理栄養士・栄養士を中心とした具体的な取組みの内容を検討し,提案することの必要性が示唆された。
  • 會退 友美, 赤松 利恵, 林 芙美, 武見 ゆかり
    2013 年 71 巻 3 号 p. 163-170
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】成人を対象に食に関する主観的QOL(subjective diet-related quality of life(SDQOL))と食知識,食習慣の関連が性別によって異なるかを検討する。
    【方法】平成21年11~12月に内閣府が実施した「食育の現状と意識に関する調査」に回答した2,936名分のデータを用いて2次解析を行った(回収率58.7%)。対象者の性別は,男性1,344名(45.8%),女性1,592名(54.2%)であった。解析には,性別と属性,食知識,食習慣の関連を調べるためχ2 検定を用いた。次に,男女で食知識,食習慣とSDQOLの関連が異なるかを検討するため二元配置分散分析を行った。さらに,属性を調整した関連を検討するため,多重ロジスティック回帰分析を用いた。
    【結果】女性の方が食知識を有しており,主食・主菜・副菜のそろった食事の頻度が高いなど健康的な食習慣を営んでいた。食知識がある者,食習慣が健康的である者はSDQOLが高かったが,性別と食知識・食習慣に交互作用はみられなかった。また,属性を調整後も男女ともに食知識がある,主食・主菜・副菜の摂取頻度が高い,副菜を食べる頻度が高い,朝食を食べる者はSDQOLが高かった。
    【結論】女性の方が男性よりSDQOLが高く,食知識がある,健康的な食習慣を営んでいる者が多かったが,SDQOLと食知識,食習慣の関連には性別による違いはなかった。
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