年令40才以上のN市職員で, 高血圧要護者, 要観察者を対象とし, 循環器講習会を実施し, その参加者132名に対してその高血圧食事に対する理解度および, 嗜好傾向を知る目的で, アンケート形式により, (1) バランスのとれた食餌を摂取しているか, (2) 主食の減量を守っているか, (3) 脂肪性食品をひかえているか, (4) 塩分の制限をしているかの4項目についてしらべ, 次の結果を得た。
(1) 高血圧食事の理解については, バランスのとれた食事を摂取していないものは52%の半数以上を示めし, 主食の減量を守っていないものは. 24%で, 脂肪性食品をひかえていないものは37%もみられた。さらに塩分摂取の制限を行なっていないものが43%も認められた。
(2) 上述の4原則が守れない理由として「体に影響がないから」「お腹がすくから」「すきだから」「外食するから」「家族のものがすきだから」「たよりないから」「食習慣で守れないから」などの回答が大部分占め, あきらかに罹患前の食習慣がつづけられていることが暗示された。
(3) 食品の嗜好状態については「味噌汁」「さしみ」に多い回答数がみられ, 蛋白質性食品については, さしみ, 牛乳, 卵, 豆腐のような淡白な嗜好性がみとめられた。特に保全食品である牛乳については, 男子に好まれ, 女子に好まれない傾向がみられた。また塩分の多い佃煮は, 男女共にまったく好まれなかった。
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