栄養学雑誌
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73 巻 , 2 号
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原著
  • 小林 奈穂, 村山 伸子, 石田 裕美
    2015 年 73 巻 2 号 p. 41-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。
    【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。
    【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。
    【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
  • 林 芙美, 武見 ゆかり, 村山 伸子
    2015 年 73 巻 2 号 p. 51-61
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】成人を対象に,経済的要因と食に関する認知的要因,食行動,及び食のQOLとの関連を明らかにすること。
    【方法】平成23年「食育に関する意識調査」(内閣府)のデータを用い,満20歳以上の層化無作為抽出された男女3,000名のうち,回答が得られた男女1,867名から,回答に不備のなかった者を分析対象者とした(1,522名:男性706名,女性816名)。経済的要因として世帯の年間収入(200万円未満,200~600万円,600万円以上)と主観的な暮らし向き(ゆとりなし,どちらでもない,ゆとりあり)を独立変数,食に関する認知的要因など計9項目(35指標)を従属変数とし,性別などを共変量とした多重ロジスティック回帰分析を行った。
    【結果】食品選択で重視する要因では,“200万円未満”や“ゆとりなし”は,“600万円以上”や“ゆとりあり”に比べて,価格や量・大きさのオッズ比が有意に高く,おいしさや産地,栄養価などは有意に低かった。また,今後身に付けたい知識では“200万円未満”や“ゆとりなし”で食費を節約する料理の作り方のオッズ比が有意に高く,健康に配慮した料理の作り方などは有意に低かった。さらに,朝食などの食行動は,世帯の年間収入ではなく,主観的な暮らし向きとの間に有意な関連を示した。
    【結論】経済的要因,特に主観的な暮らし向きは,栄養教育の対象となる知識や態度などの認知的要因や食行動,食のQOLと関連していることが示唆された。
資料
  • 町田 大輔, 吉田 亨
    2015 年 73 巻 2 号 p. 62-68
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】先進国の成人における自家製野菜の栽培・摂取と野菜摂取量との関連について,現在までに行われてきた研究の動向を把握し,自家製野菜の栽培や摂取を促すことが野菜摂取量の増加に効果的であるかについての知見を得る。
    【方法】データベースには,PubMed,AGRICOLA,J-STAGEを用い,検索語は,(“vegetables”,“nutrition”),(“home grown”,“gardening”,“community garden”)として検索した。検索された文献延べ566編のうち,採択基準と一致した11編を採択した。
    【結果】調査が行われた国は,アメリカが8編,日本2編,イギリス1編であった。調査地域は,農村部が4編,都市部が5編であり,野菜栽培の場所としては,家庭菜園,コミュニティガーデン,貸し農園,空き地があった。野菜摂取量の評価方法は,食物摂取頻度調査法が8編,食事記録法が2編,野菜の入手機会の認識と食品摂取の多様性得点の組み合わせが1編であった。自家製野菜の栽培と野菜摂取量との関連を示した文献8編,自家製野菜の摂取と野菜摂取量との関連を示した文献3編の全てで、正の関連や有意な関連を示していた。しかし,今回採択した文献は,横断研究と対照群のない介入研究のみであり,因果関係を明確にしたものは見当たらなかった。
    【結論】自家製野菜の栽培及び摂取と野菜摂取量との間に正の関連があることが示唆されたものの,因果関係を明らかにしたものは無かったため,今後,因果関係を明らかにする必要がある。
  • 朴井 睦, 橋本 真梨代, 伊達 ちぐさ
    2015 年 73 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】今後の栄養学雑誌発展のための資料とするために,論文キーワードから栄養学雑誌掲載論文の内容を振り返る。
    【方法】栄養学雑誌第1巻~第70巻を発行時期に従ってⅠ~Ⅴ期に分類し,期別に論文キーワードを抽出した。大分類および小分類からなる分類表を作成し,表に従い期別にキーワードを分類後,大分類の各項目が各期の総キーワード数に占める割合を求め,割合が多い上位10分類を抽出した。上位10分類についてⅠ~Ⅴ期についての社会背景との比較を行った。
    【結果】Ⅰ期からⅤ期の間に「食品」は減少し,「栄養素」はⅡ期で増加したが,その後減少した。「食品」や「栄養素」の代わりにⅤ期に上位となったのが「栄養アセスメント法」,「ライフステージ名」,「疾患名」であった。Ⅲ期以降,「食生活」,「疫学(栄養疫学)」,「味覚・嗜好」が上位10位内に出現し,Ⅴ期までの間に増加した。また,Ⅱ期,Ⅲ期でみられた「ラット・飼料・動物実験」はⅣ期以降減少し,Ⅳ期では「栄養教育」,Ⅴ期では「管理栄養士・栄養士養成制度」が新たにみられた。Ⅰ期からⅤ期にかけて食品や栄養素,動物を対象としたキーワードからヒトを対象としたキーワードへ移行した。
    【結論】栄養学雑誌第1巻から第70巻刊行に至るまで,栄養学雑誌掲載論文の論文キーワードは変化していた。その理由として,刊行された時代の社会背景や栄養学雑誌の発行元が変化したことによる著者の所属機関の変化が影響していることが示唆された。
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