週3回 (5時間/回), ホローファイバーを用い透析を行っている慢性透析患者38名 (男23名, 女15名) に対して, 食事のとり方についての映画 (16ミリ, 45分) ならびに映画の説明用テキストを使用して栄養指導を行った。
彼らの透析後の体重は平均して標準体重の89.2%であった。彼らは1,935kcalのエネルギーを摂取し, 暫定的に定めた食物摂取基準量に比べると, 小麦粉, じゃがいも, 果物, 野菜, 豆類, 乳類は少なく, 肉, 魚介類, 卵は多く摂取していた。ヘマトクリット25%以上の者では, 同じく米, 野菜, 肉, 魚介類が多く, 果物, 乳類, じゃがいも,味噌が少なかった。ヘマトクリット20%以下の者では, 米, 卵, 肉, 砂糖が多く, 小麦粉, 豆類, 野菜, 乳類, 味噌が少なかった。テキスト中の食品をラベル方式で示し, 栄養指導を行ったところ, ヘマトクリット20%以下の者は, 9例中5例の値が上昇し, 17.9%から20.2%になったが, 残り4例は変化がなかった。
肝機能障害者は高エネルギー, 高たん白質の食事を摂取していた。高中性脂肪血症の例では, 2ヵ月の栄養指導の後, 6例中5例が血清中性脂肪の低下をみた。食事エネルギーと砂糖の制限は血清中性脂肪の低下に有効であった。
食物の全体量に加えて, 摂取食物の栄養的なバランスが透析患者の栄養管理のキーポイントであることが示唆された。
抄録全体を表示