栄養学雑誌
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54 巻, 1 号
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  • 井上 修二
    1996 年 54 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 大脇 淳子, 高塚 直能, 川上 憲人, 清水 弘之
    1996 年 54 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    季節における栄養素等摂取の変動を検討するため, 35歳以上の地域住民143人 (男性63人, 女性80人) に対して春・夏・秋・冬の4回行った24時間思い出し法による栄養素等摂取量を比較した。
    季節別平均摂取量では男女とも水分, 植物性たんぱく質, 植物性脂質, カリウム, ビタミンC, ビタミンE, 食塩相当量・リノール酸, 多価不飽和脂肪酸, 一価不飽和脂肪酸, 食物繊維が春から夏に高い傾向がみられた。
    個人の各栄養素別の変動係数の平均値では, 男女とも魚介脂質, ビタミンA, ビタミンD, コレステロールが, 男性では動物性脂質が50%以上であった。我が国の栄養調査では季節変動を無視し得ないことが示唆された。
  • 和歌山県民栄養調査から
    笠松 隆洋, 吉村 典子, 森岡 聖次, 橋本 勉
    1996 年 54 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    和歌山県民栄養調査に参加した世帯の調理担当者769人について, 1日の摂取食品数を調査し, 摂取食品数と栄養素等摂取状況及び肥満との関連性について検討した結果, 以下のことが明らかになった。
    1) 1日の摂取食品数を12食品未満, 12~17食品, 18~23食品, 24~29食品, 30食品以上の5群に分けたところ, 18~23食品群が最も多く41%を占めていた。平均摂取食品数は, 20.2食品であった。
    2) 摂取食品数の増加に伴い, 栄養素等充足率は高くなる傾向を認めた。摂取食品数が18~23食品群ではカルシウムと鉄のみが不足し, 24~29食品群ではすべての栄養素が充足された。一方, 30食品以上群では, たんぱく質の充足率は142%, 脂質の充足率は125%にも達していた。脂肪エネルギー比は25%を超えていた。
    3) 摂取食品数の増加に伴い, いも類, 菓子類, 油脂類, 豆類, 果実類, 野菜類, 海草類, 魚介類, 肉類, 卵類, 乳・乳製品の摂取量は増加していた。
    4) 摂取食品数の増加に伴い, たんぱく質, 脂質, ビタミンB1, ビタミンB2は, 肉類, 卵類, 乳・乳製品といった動物性食品からの摂取割合が増加していた。
    5) 肥満者の割合は, 摂取食品数が24~29食品群で最も低かった。
    以上, 和歌山県民栄養調査の結果から, カルシウム所要量を充足させることに重点を置いた栄養指導を行うことを前提にすれば, 1日の摂取食品数は25食品程度を目標に摂取するとよいことが推察された。
  • 長南 治, 綿貫 雅章
    1996 年 54 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    骨形成に及ぼすビタミンK2 (メナキノン-4;MK-4) 及びビタミンD3 (D3) の効果を, 異なる週齢のラットを用い検討した。
    成長期 (5週齢) 並びに成熟期 (33週齢経産) のWistar系雌ラットをそれぞれ4群に分け, D3添加した場合のK欠乏飼料とMK-4添加飼料, D3欠乏させた場合のK欠乏飼料とMK-4添加飼料を与える実験を行った。1か月後の血清及び脛骨の変化を観察した。D3欠乏飼料投与により, 成長期並びに成熟期ラットの血清カルシウム濃度は有意に低下した。また, 成熟期のラットに, D3欠乏飼料にMK-4を添加した飼料を投与すると, 血清カルシウム濃度は有意に上昇した。しかしながら, 成熟期のラットにおいては脛骨灰分及びカルシウム含量に変化はみられなかった。成長期のラットにおいてはMK-4投与により, 脛骨灰分及びカルシウム含量が有意に増加した。
    以上の成績より, ラットにおけるMK-4の骨形成促進効果は, 本実験では成熟ラットの場合には認められなかったが, 成長期のラットを用いた場合でのみ認められた。
  • 塚田 信, 菅原 明子
    1996 年 54 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    非行などにより教護院に収容された少年30人の, 入所前と入所後との食生活を調査した。また, 入所以前の食生活を表すと考えられる入所直後の毛髪と, 入所してから7か月経過した毛髪のミネラルを測定した。入所前の食生活は偏っていたり, 不規則だったが, 入所後栄養管理された食事を規則正しく摂るように変化し, 入所前・後の毛髪分析結果に違いがみられた。これらを検討した結果, 以下のことが明らかになった。
    1) 入所7か月後の毛髪中の必須ミネラル含量が入所直後より, (1) 有意に増加したものは, カルシウム, マグネシウム, 鉄, 銅, 亜鉛, クロム, マンガン, セレンの8元素であった。(2) 有意に減少したものは, ナトリウム, カリウム, コバルトであった。(3) 有意差がなかったものは, リン, モリブデンであった。
    2) 入所7か月後の毛髪中の有害ミネラル含量のうち有意に減少したものは, 鉛, 水銀であり, カドミウム, ヒ素は差がなく, アルミニウムは有意に増加した。
    以上の結果から, 入所後8種の必須ミネラルは有意に増加し, 2種の有害ミネラルが有意に減少し, 摂取食物と毛髪中のミネラル含量には密接な関係が示唆された。これらの変動は, 食事調査によって示唆される食生活の改善などによってもたらされたものと考えた。また, 入所後の対象者の精神活動状態にも変化がみられた。毛髪分析法は, 苦痛なく簡便にできるので, 栄養改善や予防医学の指標としても役立てることが可能と考えた。
    本研究を行うに当たり, 調査に多大なご協力をいただきました更生施設の方々, 分析にご協力いただきました日本予防医学システム研究所舘野誠氏, 統計処理にご協力いただきました神奈川工業試験所内田弘氏, ご助言をいただきました日本大学医学部冨田寛教授に深く感謝いたします。
  • 成長曲線を利用した解析
    相坂 国栄, 野坂 一江
    1996 年 54 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    金沢市立小学校6年に在籍する児童で肥満度20%以上の者431人について, 過去6年間の身長, 体重から成長曲線を作図し, 肥満度の推移を解析した。
    1) 対象児の身長の平均値は, 金沢市の平均値より男子では全学年において有意に高かった。
    2) 成長曲線と肥満度から肥満の分類をした結果, 良性肥満 (A型) が41.5%, 悪性肥満 (B型) が58.3%, 症候性肥満 (C型) が0.2%であった。
    3) 肥満度20%以上児の学年別出現割合は, 学年が進むとともに増加した。
    4) 1年生ですでに肥満であった者は, 29.7%と高値であった。これらのうち, 6年間を通して肥満度20%以上の者は約85%を占めた。
    5) 各学年で初めて肥満度20%を越えた者を1つのグループとし, その肥満度の推移を検討したところ, 男女とも1年生で肥満度20%を越えていたグループが最も高値で推移した。
    6) 以上の結果から, 肥満児の選定には成長曲線図も考慮することは有意義であった。また, 幼児期から継続して作図することで肥満傾向を早期に発見し, 指導を行うことが重要であることが本研究でも確かめられた。
  • 守山 正樹, 松原 伸一
    1996 年 54 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    栄養調査は栄養教育の一貫ではあっても, 手順としての両者は独立したものとみなされる場合が多い。しかし, 相手を理解する行為であるはずの “調査” とそれに続く “教育” とが互いに別のものであると, そこでの教育は保健医療従事者からの一方的なものになりやすい。本研究では, 保健医療従事者と対象者とが対話の流れの中で互いに相手を理解しながら, その理解を直接的に栄養教育へと反映させることを目標に, (1) 個人の食に関する意識・イメージを可視化・表現するイメージ・マッピング手法の開発, 及び (2) 得られたマップの読まれ方の解明を試みた。
    筆者らが発案したマッピングの手法は, 長崎県N町における健康教室での試行を通して具体化され, 以下の4点にまとめられた。(1) 主要な食品名のラベル化, (2) 横軸上でのラベル配列, (3) 縦軸方向へのラベル展開, (4) ラベルの固定。
    〈被験者がマップを眺めた時に現れる思考を, 被験者自身が書き留める〉という方法で “マップの読まれ方” を言語化し, 読まれ方の共通点を探った。長崎市内のK短期大学食物専攻科学生70人がマップを読む作業に参加した。学生がマップを見て自由記述した内容は, (1) 特定の食品ラベルの位置への着目, (2) 複数の食品ラベルのバランスへの着目, (3) 全ラベルの分布型への着臥の3パターンに類型化された。
    食生活をマップにより視覚化すると, 視覚的な認識・思考が発動され, 食に関する対話が誘導される。対象者が栄養に関連してもつ他の種類の概念・思考 (栄養素, 食パターン等) も活性化される。食について深く理解し, 学ぶ場として対話を位置づけることが, 今後の栄養教育の基本として重要であろう。
  • 中島 滋, 梶野 紀子
    1996 年 54 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1996/02/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    精神遅滞者の食事調査を行い, その実態を調べた。その結果, 精神遅滞者の栄養素等摂取量は多く, 充足度が高い傾向にあることが分かった。また, 障害類型間の比較では, 自閉症者の栄養素等摂取量や充足度が他の障害類型の者より多い傾向が認められた。
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