カゼイン食に対するスキムミルク食の栄養的優位性がスキムミルクに含まれる乳糖によるものか, 乳アルブミンによるものか, あるいは両者の総合作用によるものかをみるため, 蛋白源をカゼインとしてこれに乳糖を加えた群, カゼインに乳アルブミンを添加した群, カゼインに乳アルブミンと乳糖を添加した群を設け, スキムミルク群と比較した。また念のため全脂粉乳群を加えた。
各群飼料の蛋白質レベルは実測値に基づいて10%とし, 離乳直後の白鼠を用い, 6匹ずつのグループ飼いとして20日間 ad lib feeding を行ない, 次の結果を得た。
1 飼料蛋白源をカゼインとし, これに乳糖を付加しても発育, 飼料効率, 骨長, 骨重量, 骨組成は殆ど改善されない。
2 飼料蛋白源としてカゼインにアルブミンが添加されると無添加の場合にくらべ発育, 飼料効率, 尿中窒素排泄量は著しく改善され, スキムミルク群さえも凌駕した。
骨長には変化がなかったが骨重量は増加し, これに伴い骨灰分およびカルシウム量も増加した。
3 飼料蛋白源をカゼイン+アルブミンとし, これに乳糖を付加すると実験の初期, 中期では乳糖無添加群よりも多少上位の発育を示したが, 最終的には無添加群とほぼ等しくなり, 飼料効率, 尿中窒素排泄量にも大差は認められなかった。
しかし骨発達にはかなりの好影響が認められた。
4 スキムミルク群はカゼイン+乳糖群に比べ, 遙かにすぐれた発育, 飼料効率, 骨発達を示したが, 全脂粉乳群, カゼイン+アルブミン群およびカゼイン+アルブミン+乳糖群などに比べ, 体重増加が劣り尿中窒素排泄量が多く, また骨重量や灰分, カルシウム量も上記3群に及ばなかった。
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