生後4週齢の Wistar 系雄ラットに, カゼインまたは分離大豆たん白質を約10%含有する飼料を給与し, 1週間の予備飼育後, 3週間の実験飼育を2回行なった (実験IとII)。
実験飼育の増体重, 飼料摂取量, 飼料効率, N効率, N, Ca, MgおよびPの出納, 56日齢における大腿骨+脛骨 (ひ骨を含む) の重量ならびにそのCa, MgおよびPの含量を調べ, たん白質源の違いによる影響をみた。
増体重, 飼料効率およびN効率は大豆群がカゼイン群よりも低かった。Nのみかけの消化率, 蓄積量および蓄積率も同様でありた。ただし, 実験IのN蓄積率のみは, 有意差がなかった。Ca, MgおよびPの出納については2群間に差がない場合が多かった, ただし, 実験IIのCaのみかけの消化率および蓄積率ではカゼイン群が, またPの蓄積率では大豆群が有意に優れていた。
大腿骨+脛骨 (ひ骨を含む) の重量ならびにそのCa, MgおよびPの全量は, 実験IIでは大豆群がカゼイン群よりも低かった。実験Iでは有意差が認められなかったが, 実験IIと同様の傾向を示した。
分離大豆たん白質は, その製造工程中で, 栄養素含量の低下, あるいはフィチン酸の濃縮による栄養素の利用性悪化, などの可能性を考慮した上で利用する必要がある。
抄録全体を表示