栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
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75 巻, 6 号
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原著
  • 東泉 裕子, 松本 雄宇, 西出 依子, 山内 淳, 竹林 純, 渕野 裕之, 河野 徳昭, 吉松 嘉代, 川原 信夫, 石見 佳子
    2017 年 75 巻 6 号 p. 151-163
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は健康食品素材として利用されているエゾウコギ(EZ)の安全性および有効性に関する科学的根拠を提供することを目的とし,閉経後早期モデルマウスにおける肝臓薬物代謝酵素(CYP)および骨密度に対する影響を検討した。
    【方法】試験1において,8週齢のddY雌性マウスを標準食摂取群,ヒトの健康食品におけるEZ摂取目安量を含むEZ摂取群,その10倍量EZ摂取群および100倍量EZ摂取群に分けた。試験2,3においては,マウスを偽手術(Sham)群,卵巣摘出手術を施した閉経後早期モデル(OVX)群,OVX+EZ摂取群,OVX+10倍量EZ摂取群に分けた。試験1及び2はEZ摂取14日後,試験3はEZ摂取28日後に解剖し,肝臓CYPおよび骨密度へのEZの影響を評価した。
    【結果】正常マウスにおける,14日間の100倍量のEZ過剰摂取は,肝臓CYP2B10 および2C29遺伝子発現を亢進した。OVXマウスにおける,14日間の10倍量EZ摂取は,肝臓CYP2C29,3A41 遺伝子発現を亢進した。28日間の10倍量EZ摂取は肝臓CYP2D活性を阻害する一方で,エストロゲン欠乏により生じた脛骨骨密度の低下を抑制した。
    【結論】EZ摂取は肝臓CYPに影響するとともに,エストロゲン欠乏に起因する骨密度の低下を抑制する可能性が示された。これらの結果より,EZの過剰摂取は一般的な食品の範囲をこえた作用をもつ可能性があることから,EZは食品というよりも生薬としての利用が適切であることが示唆された。
資料
  • 土方 直美, 中岡 加奈絵, 五関-曽根 正江, 髙田 和子, 金子 佳代子
    2017 年 75 巻 6 号 p. 164-173
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/01/16
    ジャーナル フリー
    【目的】2014・2015年度に文部科学省「スーパー食育スクール事業」の指定を受けた小・中・高等学校の食育の内容及び成果を分析し,学校における効果的な食育のあり方を考察する。
    【方法】文部科学省のホームページに掲載された「スーパー食育スクール事業」報告書(63事業,69事例)を対象資料として,事業目標,実施学校における食育の実践内容,評価方法,成果について分析,集計を行った。
    【結果】事業目標で多く取り上げられていたのは,心身の健康(46事例),健康づくり(35事例)であった。食育実践は,教科等の授業,給食指導,個別指導をはじめ多様な場面で実施され,指導者については栄養教諭(33事例)とゲストティーチャー(32事例)が多くみられた。また,講義・講演会,農林漁業体験,調理実習のほか,保護者へも様々な情報発信が行われていた。食育の成果は,自己記入式調査(食生活,心身の健康状態など),生理的指標の測定(身体計測,体組成,骨量,血液検査など),身体活動量調査,体力測定などの方法により評価が行われ,食生活,生理的指標として肥満児童生徒出現率,体力・身体活動量などにおいて改善・向上がみられた。
    【結論】学校における食育を効果的に推進するためには,児童生徒の実態に合わせて,教科等の授業,給食指導のみならず,多様な場面や指導方法を工夫し,学校全体で指導体制を整えていくこと,栄養教諭の専門性を生かしたコーディネート,家庭・地域へも働きかけることが重要であることが確認された。
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