三重県において, 脳卒中死亡率の高率地区であり, かつ, 米単作地帯の大山田村住民の40~64歳の年齢層を対象とし, 血圧測定をおこなった。ついで, その成績を基礎として, 高血圧出現頻度が比較的多かった阿波地区を対象とし, 男子の高血圧者在宅世帯および非高血圧世帯のそれぞれの代表標本として, 各20世帯を任意に抽出し, その栄養摂取状態についてしらべた。
1. 血圧状況では, 全国平均よりも高い値を示した年齢層は最高血圧値においては, 男子群の45~49歳, 女子40~44群の歳で, 最低血圧においては, 男子群の45~49歳のみであった。また, 全国平均よりも低い値を示した年齢層は, 最低血圧のみにおいて, 男子群の50~59歳, 女子群の50~54歳であった。
2. 栄養摂取量では, 高血圧世帯は, 非高血圧世帯にくらべて動物性タンパク質, 脂肪, ビタミンB
2およびビタミンAなどの摂取不足がとくにみとめられ, 一方, 糖質の多量摂取がみられた。
3. 食品群別摂取量では, 高血圧世帯は非高血圧世帯にくらべて, 魚介類および肉類の摂取不足とともに, 穀類および野菜漬物類の多量摂取が, とくに目立った。そして, 油脂類, 乳卵類および緑黄色野菜類は, 高血圧, 非高血圧世帯ともに, その摂取不足がみられた。
4. 食塩摂取量は, 高血圧世帯では, 18.4g, 非高血圧世帯では15.4g, であり, 両世帯の間に有意差はみとめられなかったが, 両世帯とも決して少ない値ではなかった。
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